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「…え?」
若井は生理的な涙かもしれないが、
もう少しでこぼれ落ちそうな涙を目に溜めていた。
「…………ごめん、こんな事言うつもり無かったのに、、重いよね……」
「いや、いいよ。とりあえず風邪ひくから湯船浸かって?ベットで待ってる。」
俺は急に出た若井の本音に上手く対応することが出来ず、無言で軽く若井の体をシャワーで流してやると、その場を離れた。
歯磨きや一通りの洗面と着替えを終わらせて寝室に向かう。
ベットに腰かけ、さっきの若井の言葉を考える。
「俺も元貴に置いてかれるんじゃないかと不安だった」……か。
活休の時も泣いてたって後から聞いたけど、
また寂しくさせたかな。
ふと気がついた時は最後にセックスした日から三ヶ月以上が経過していて、それまでの記憶は殆どない。
制作期間と、ライブの計画期間は集中して、一段落着いた頃にムラムラして。
俺も、大概ワガママだな。
毎度若井は付き合ってくれて、理解してくれて、我慢してくれてるんだな。
ましてや、男同士、メンバー同士。
恋人だという確信的な言葉も発している訳ではない。
……そりゃ不安になるよな。
そこまで考えて俺は思考を止めた。
愛が何かってのは分からないけど、こんなに最低な俺を好きだと言う若井を今まで以上に愛おしく感じた。
……元々ムラムラしてたし、さっき若井の可愛い姿も見ちゃったし今日は止まらないかもしれない。
……それに、、、こんな俺を思って振り回されて、それでも涙目で俺に縋ってくる若井の事を考えるとゾクゾクする自分がいた。
安心させてやればいいのに。
愛を試してしまう俺の性なのかもしれない。
あぁ。可哀想な若井。
でも、今日はありったけの愛を伝えよう
そう決めた時
ガチャ
ちょうど寝室のドアが空いた。
「若井」
「ん……おふろありがと」
「ちゃんと温まれた?」
「ん」
……二人の間に沈黙が流れる
「そんなとこ、突っ立ってないで隣来なよ(笑)」
そう言うと若井はハニカミながら
キングサイズのベットの俺の隣に腰掛ける。
「なんか久々で緊張する」
「なんでよ(笑)さっきまで一緒にいたじゃん」
「……」
少しの沈黙の後、若井は少し緊張気味に口を開いた。
「あのさ、元貴。さっきのなんだけど……
ごめん。ほんとに気にしないで」
「……。」
「俺、元貴に会いたいって言われたの嬉しくて、しかも来てすぐ求めてくれたし。
ちょっとその……イってすぐで気が動転してたというか……」
「……。」
「俺、そんな事思ってないから……」
「……。」
「元貴……?怒ってる……?」
なんなんだこの子。
不安にさせた俺が100%悪いのに
健気に俺の機嫌を伺う。
俺はその事実にゾクゾクした。
「……元貴?……ごめん嫌……だったよね……俺……大丈夫だから。
置いてかれるより前に付いていけるように努力するから………出来るからさ……」
「……。」
「元貴は……。元貴が思う事を好きにやってね……。俺らの事はきにしないで。」
あぁ。置いていかれるなんて不安を努力で消していく若井。
なんて可愛いんだろう。
なんて愛しいんだろう。
そして俺はなんで安心させる言葉を言えないんだろう。
「……。」
「……も、元貴?
もう、寝る…………?」
そう言われて俺はやっと若井の方を見た。
その顔はとても苦しそうで、
涙は今にもこぼれ落ちそうなのに、
俺と目が合うと、無理矢理いつもの
ハニカミ笑顔を作った。
あぁ。抱きしめて愛してる、心配すんなって
言ってあげればいいのに
そんな若井を見て俺は
もっと泣かせてやりたいという加虐心がムクムクと膨れ上がるのを感じ、
無言のまま若井を押し倒した。