収録日の夜。
目黒ーこの頃、平和だね。
渡辺ー平和だね。嬉しい。
目黒ーちゃんと食べれてる?
渡辺ー食べてる。
目黒ーいつもこうだと嬉しいね。
渡辺ーなんか怖い気もする。
目黒ー何で?
渡辺ーどかーんとした厄災の前みたい。
目黒ー今度の撮影休みの日、どこか行く?
渡辺ーお婆ちゃんち。
目黒ー先月行けなかったもんね。
渡辺ーん。
目黒の運転で渡辺は大好きな、お婆ちゃんちを目指す。
呼び鈴を押しても誰も出て来ない。
ドアを開けると開く。
渡辺ーお婆ちゃーん?
目黒ーこんにちは。
渡辺ーおかしいなぁ。
目黒ー出かけてる?
渡辺ー鍵かけずに?ちょっと見て来る。
目黒ー翔太くん!
いくら田舎でも、最近は物騒だから鍵は掛ける。
老婆も、渡辺たちと海に行く時、ちゃんと鍵は掛けていた。
渡辺ー目黒!お婆ちゃん!
渡辺の呼ぶ声の方へ走る。
老婆が倒れている。泣きそうな渡辺。
目黒は、暑さによる熱中症だろうと思った。
この家にはクーラーがない。
老婆を寝かせて冷凍庫から氷を袋に入れて、タオルを載せた老婆の頭に置く。
目黒は、少し離れた隣りの家に走る。医者はいるのか分からないから。事情を話すと往診してもらう手配をしてくれるそうだ。
その時にこの村に電気屋はあるか聞く。
家の前の道を1キロほど走ったら、あるとの事。
礼を言って目黒は家に戻ってきた。
渡辺ー目黒、お婆ちゃん起きない。
目黒ー熱中症だと思うよ。医者の手配した。俺これからちょっと出かける。
渡辺ーどこ?
目黒ー村の電気屋さん、この家クーラーないでしょ、だからお婆ちゃん倒れたんだよ。
渡辺ー俺も・・。
目黒ー翔太くんは、お婆ちゃんのそはにいて?いつ目が覚めるか分からないから。
渡辺ーうん。
目黒ークーラー買って来る。
渡辺ーお願い。
目黒ー行って来るね。
老婆は、赤い顔してちょっと荒い息遣い。
渡辺はポロポロ泣きながら老婆の手を握り、うちわであおいでいる。
電気屋に着いた目黒。
事情を説明する。この村は全員が知り合いみたいなもの。
電気屋の主人も慌てている。
使いやすいクーラーを探す。
主人が1年前のやつなら操作が簡単だと言う。
それを購入し、すぐ工事に来れるか聞く。
主人ー婆の危機じゃ、今から行く。
目黒ー助かります。
主人ーなんの、これくらい。
目黒ー俺は先に行きます。
主人ーあぁ、すぐ行く。
その頃、老婆の家では。
渡辺ーお婆ちゃん!
老婆ーおぉ、坊、わしはどうしたかの?
渡辺ー熱中症で倒れてた。もうすぐお医者さん来る。
老婆ー泣かしてすまなんだの。
渡辺ー気が付いて良かった。
そこへ往診の医者が来た。
熱は37.8あった。
渡辺はまたポロポロ泣く。
冷やすことと、この家が暑い事を言われた。
渡辺ー今、クーラー買いに行ってます。
医者ー婆、こんな暑い家におったら、家の中で熱中症になるけの?
老婆ーほんに、暑いけくらくらする。
渡辺ーお婆ちゃん。
老婆ー婆もちと、堪えた。
そこへ目黒が帰って来た。
その後から電気屋が来る。
老婆の家に入り、工事を始める。
老婆ー何事じゃ?
渡辺ークーラー買ってきた、取り付けしてもらってる。
老婆ークーラー?坊が買ったんか?
渡辺ー目黒と2人で。
老婆ーありがたや。すまんのぅ。
目黒ー気がつかれましたか?
老婆ーすまんのぅ、クーラー。
目黒ー暑いですから、必要です。
主人ー婆、ええ人らやのぅ。もうちょっとで、出来るけ、待っちょれ。
1時間もすれば、工事も終わり、リモコンを渡された。
戸惑う老婆。使ったことない。
渡辺ーお婆ちゃん、これ、押して。
老婆ーこれかの。
渡辺ー目黒、設定温度っていくらだ?
目黒ー27度くらいでいいんじゃないかな?あんまり冷えても良くないし。
渡辺ー分かった。27度と。
老婆ーおぉ、涼しい風が来よる。
渡辺ーお婆ちゃん、電気代、俺が出すからクーラー使って?
老婆ー坊、ありがたいのぅ。
家の中が涼しくなってきた。
温かいお茶を飲む。
老婆の熱も下がってきた。