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#リクエスト募集
咏 .
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主=関西弁 少佐=標準語
夜。
時計の針が、午後12時を超えた
主は廊下を歩きながら、何度目か分からないため息を吐いた。
「……なんで俺、また呼び出されとんねん」
こんな時間に呼び出す人物など、一人しかいない。
そして、その予想は外れなかった。
扉を開ける。
「遅かったね」
「いや、今何時やと思っとんねん」
部屋の奥。
少佐はいつものように椅子へ腰掛け、こちらを見ていた。
「時間通りだよ」
「そういう問題ちゃうやろ……」
主が呆れたように近づく。
「ほんで? 今日は何の用なん?」
「君に会いたかった」
「…………は?」
あまりにも即答だった。
「いや、待って。用事は?」
「ないよ」
「ないんかい!」
主が頭を抱える。
少佐は楽しそうに笑った。
「君は本当に面白いね」
「その『面白い』って言い方、絶対ええ意味ちゃうやろ」
「どうだろうね」
少佐は立ち上がる。
そのまま、主へ歩み寄った。
「……また近づいてきたやん」
「嫌かな?」
「嫌っちゅーか……」
主は一歩下がる。
「……なんか怖いやん」
「怖い?」
「そらそうやろ」
少佐の笑顔が止まる。
「では、離れよう」
「……え?」
意外な返事だった。
少佐は本当に一歩下がった。
「これでいいかい?」
「……まあ」
主は少しだけ安心した。
しかし。
「ただし――」
少佐が続ける。
「君が私から離れることは、許可していないよ」
「…………」
主の表情が固まった。
「……何それ」
「そのままの意味だ」
「冗談やろ?」
「さあ?」
少佐は笑う。
その笑顔はいつも通りだった。
だからこそ、主は背筋が冷たくなった。
「俺、帰るで」
「構わないよ」
「……ほんまに?」
「ああ」
主は扉へ向かう。
ドアノブへ手を伸ばす。
その瞬間。
「ただ、明日も来てくれるだろう?」
主の手が止まった。
「……なんでやねん」
「君が来なければ、私が迎えに行くことになる」
「それ脅しやろ!」
「お願いだよ」
「絶対お願いの言い方ちゃうやん……」
少佐は笑っていた。
主はしばらく扉を見つめたあと、ゆっくり振り返る。
「……ほんま、あんた重すぎんねん」
「そうかな?」
「そうや」
「なら、覚えておくよ」
「……何を?」
少佐は穏やかに微笑んだ。
「君がそう感じるほど、私は君を気にかけているということを」
「…………」
主は何も言えなかった。
そして、静かに扉を閉めた。
廊下へ出たあと。
「……あかん」
主は額を押さえた。
「これ、絶対普通ちゃうやろ……」
その背後。
閉じた扉の向こうから――
小さな笑い声が聞こえた。
「……明日も来るよね?」
誰もいない廊下に、その声だけが残った。
コメント
1件
うわあ、この主×少佐の距離感、すごくいいですね。関西弁のツッコミと標準語の飄々とした返しのリズムが心地よくて、会話劇としてもうまいなあと。「離れることは許可しない」からの「明日も来てくれるよね?」の流れ、ぞわっとしました。脅しともお願いとも取れるあの塩梅、癖になります。設定がまだ全然見えてないからこそ、「普通じゃない」この関係がどう育っていくのか、すごく気になる……!