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〜 side 小柳 〜
「痛った‥‥痛すぎる‥‥」
砂漠の真ん中に転がり、空を眺める
アーティファクトから派生したカーチェイスの末、撃ち合いに負けてここでダウンした
砂漠にいるというのに体から血が抜け寒さを感じる
死に向かう感覚は何度味わっても恐怖だ
凄い砂埃をあげ、こちらに向かって来る車が見えた
「‥‥魁星君だな」
「ロウさーーーん!」
轢き殺される勢いで目の前に車が止まる
「‥‥魁星君、ありがとう」
「今助けますからね!」
蘇生と薬を貰う
すっかり元通りだ
痛みを除いては
「今から一件寄るんですが、その後でも良かったら警察署送りますよ?」
「大丈夫だよ。ありがとう魁星君」
魁星君の車が激し目に走り去ると頭上からプロペラの音が聞こえた
見上げると青いスパローが飛んでいる
先程のアーティファクトの残党か?
いや、もう居ないだろう
どのみちスパローは早くて車では追いつかない
砂漠の空港近くにある車両庫まで急ごう
次の事件の前までには街中に戻りたい
駐車場に入り車両を確認して出す
先程貰った薬を取り出した時パレトの通知が来た
絶対捕まえてやる
ハンドルを切り返した時、手から薬が足元へ落ちた
慌てて指先で探り、一袋摘み上げ胸ポケットへしまう
北見へ無線を入れようとした時、空港襲撃の通知が入った
“空港襲撃来たよ!手の空いてる人は空港向かって下さい!”
エクスさんの声
空港襲撃か
確かに人手はいる
仕方ない
とりあえず1人で向かおう
俺はまた『コの字』の建物の外壁に張り付き、隙を見て入り口に向かう
入った瞬間足元に銃弾が飛んできた
どう考えても一人だと分が悪いか‥‥
ローレンさんは署に残っているだろうか?
そう思い、無線を取る
“ローレンさんいますか?パレトの応援来れますか?”
空港襲撃の無線にみんな切り替えてるのか?
それとも俺の無線が調子悪いか‥‥
いや、頼む!
誰か‥‥ローレンさん!聞こえてくれ!
“ローレンさん、パレト近くの1051、来れますか!”
「今日は1人で来たんだ。でもね、警察は2人で動いた方が良いよ?」
なんでこの男は足音がしないのか
気付くと背後と無線機を取られていた
無線機は地面に叩きつけ壊された
後ろから胸元を腕で締め付けられ苦しくなる
なんだか今日はそれ以上に体が痛い
「苦しそうだね。お薬の時間忘れてるんじゃない?」
「‥‥!」
胸元から薬を取られる
銃を突きつけられ、腕が離された
この男
今日は仮面をしていない
やはり見覚えは無い
「小柳ロウくん会いたかった!」
「‥‥俺もですよ」
「えぇ⁈両思いやん!」
「一緒に警察署に行きましょう」
「えぇ〜もっと良いトコロ行こうよ」
「結構です」
「こんな薬じゃなく良いもの飲ませてあげるよ?」
「要らないです」
「でもこの薬は欲しいよね?足引きずってるよ?」
「‥‥‥‥」
袋を破り指先で摘み上げる
銃を左太ももに下ろし、グイッと押しつけられた
「‥‥っ!」
「ここ、撃たれてたよね?」
「なんで知って‥‥」
「空から見てたよ?」
あのスパローはコイツだったのか
「空港は始まったし、キミは1人だし。やったら来てくれると思ってた」
情報に長けてるのは本当らしい
「戦う前に痛み止めは必要じゃない?やっぱ」
「‥‥要らない」
「そう言われるとあげたくなっちゃうな」
「‥‥!」
男は薬を飲み込み、俺の顎を強く掴み上を向かせた
無理矢理開いた俺の口に薬を押し込みながら舌が入ってくる
「‥‥っん!ぁん‥‥んんっ!」
「んー?‥‥飲める?」
「やめっ‥‥んっ、離しっ‥‥!」
八重歯が舌を挟み、背筋がゾクゾクする
ようやく離された時には口内に薬は無かった
いつの間にか飲んだようだ
手の甲で唇を拭う
「今日でこの街も最後だから小柳ロウを頂いて行こうかと思って」
「‥‥は?‥‥え⁈最後‥‥?」
スッと頭上に影が出来る
気付くとプロペラの音が迫っていた
見上げると警察ヘリとスパローが俺たちを挟み、前後で着陸しようとしている
「だからキミを連れてっても良いよね?」
「え?‥‥聞こえな‥‥」
「ロウ!大丈夫か⁈」
後ろのヘリからローレンさんが降りてくる
ローレンさんへ振り向こうとすると男に腕を掴まれる
「次は絶対さらって行くからね!」
「え!ちょ‥‥んんっ!」
「オイ!お前ロウになに‥‥!‥‥え?」
キスのあと、無邪気な笑顔でウインクするとスパローに乗り込み飛んでいってしまった
「‥‥‥‥かな」
「‥‥?何か言いました?」
「いや、何も。戻ろう」
ヘリに乗り込むとすぐにユニオンの通知が来た
「これ、向かいますか?」
「いや、ワロタで来たからサーマル無いし、今日はロウと話しがあるから早めに帰ろう」
「‥‥?分かりました」
俺達は後の仕事をエクスさんに頼み、2人で家路についた