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〜 ローレン 〜
時間は少し遡って 朝
俺はロウが置いていったであろう指輪を持ち、署へ出勤した
署へ行っても俺の心は置いて行かれたコイツに向いている
俺の薬指では少し狭い
隣の小指にはめて眺めている
「ローレンさん、おはようございます」
「お、おはよう北見」
慌てて指輪を外しポケットに隠す
そんな必要ないのに‥‥
「あの、すいません。ロウさんから頼まれてたものがあって、もしまだ署に残ってるなら渡してもらえますか?」
「良いよ」
「これ‥‥」
渡されたのは使い込まれたネックレス
「すぐ欲しかったみたいで、休みになったら買いに行くからそれまでおもちゃでも良いから貸してくれって言われて‥‥」
「‥‥は?」
「ロウさんがしてた指輪あるじゃないですか。あの指輪大きかったみたいで、直すまでネックレスに通して使いたいって言ってました」
ロウの指輪が大きい?
あの指輪はオーダーメイドで2人でサイズ測って作って貰ったものだ
作って貰ってから2ヶ月
ロウは2ヶ月で痩せたんだ
いや、『やつれた』が正しいか‥‥
外して置いてた訳じゃない
指からすり抜けるくらい細くなってたんだ
俺はロウの何を見ていたんだ?
その時無線が入る
“空港襲撃来たよ!手の空いてる人は空港向かって下さい!”
「‥‥空港か、今日人数足りてないかもな。俺も行こうかな。行くぞ、北見」
「はい!」
俺達は一旦装備の確認をして署を出ようとした
“‥‥‥‥”
ん?
空の無線‥‥誰かやられたのか?
“‥‥レンさん‥‥レト近く‥‥1051‥‥来れま‥‥”
ロウの声⁈
「北見、お前は空港向かってくれ。頼んだぞ」
「了解です!」
早く向かわないと
ロウが俺を呼んでいる!
ヘリに乗り北へ向かう
“小柳、大丈夫か?”
応答が無い
聞こえてるのか壊れてるのか‥‥
「クソッ!新しいのに変えときゃ良かった」
聞き取れた番地へ急行する
『コの字』の建物だ
旋回すると入り口に人影を見つける
少し後方に戻りヘリを降ろす
着陸する前‥‥ロウの後ろに黒いコートの男
アイツが犯人か?
銃を構えながらヘリを降りる
「ロウ!大丈夫か⁈」
俺の声にロウが振り向こうとすると、犯人に腕を掴まれ‥‥‥‥
頭に手を回しキスをしている
「え!ちょ‥‥んんっ‥‥!」
「オイ!お前ロウになにし‥‥!‥‥え?」
男はフードを被りながら一瞬こちらを見てウインクをした
あっけに取られているとヘリに乗り空へ消えていった
あの瞳の色‥‥
いやでも‥‥
ここにいるはずがない