テラーノベル
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大瀬視点
「失敗するのはいい。」
「人に迷惑をかけるのもまあ、生きてればある。」
「……はい。」
「でも君が自分で自分の価値を決めるのは駄目。」
僕は思わず瞬きをする。
テラさんはソファに腰を降ろす。
「オバケくん。」
「はい…。」
「君、君が思ってるよりずっと優しいよね。」
「…えっ。」
「皆が落ち込んでるとき、最初に気がつくし。」
「そ…それは…。」
「なんだかんだ言って誰かが困ってたら放っておかないでしょ。」
「そんなこと__」
「あるよ。」
テラさんは即答した。
まるで疑う余地もないくらいに。
「テラくんは知ってるんだ。」
僕は何も言えなかった。
自分の良いところなんて考えたこともなかったから。
悪い所ばかり考えて。
「でも」
テラさんは笑う。
「君は全然自覚ないんだよね。」
「……すみません。」
「謝るところじゃないって。」
くすりと笑う声。
その声は不思議と温かかった。
「テラさん。」
「なに?」
「なんでそんなに優しいんですか。」
するとテラさんはきょとんとした様子で
「優しい?」
「はい。」
「違うよ。」
「え?」
「僕は好きな人にはちゃんと伝えるだけ。」
さらりと言われた言葉に、思考が止まる。
「……す、好き?」
「うん。」
テラさんは当然のように頷いた。
「オバケくんのこと。」
「………。」
「好きだよ。」
あまりにも自然だった。
「1+1=2です。」とでも言うくらい自然に。
顔が一気に赤くなる。
「え、あ、あの、その。」
「?」
「自分、そういうの慣れてなくて……」
「というかこんなクソ吉なんかを好いてくれる人になんて出会ったことなくて。」
「そっか。」
「む、無理です……」
「無理なの?何が?」
「心臓が。」
「それは大変だ。」
全然慌てていない。
むしろ楽しそうだ。
僕は両手で顔を覆った。
そんな様子を見て、テラさんは小さく笑う。
「オバケくん。」
「……はい。」
「君のことを嫌いな人がいたとしても」
「……」
「少なくともテラくんはずっと君の事を好きだからね。」
その言葉に
胸の奥がじんわり温かくなった。
自分を肯定するのが苦手で
いつも自分を責めてしまうけれど
今だけは
少しだけ
ほんの少しだけ
「……ありがとうございます。」
自分を嫌いでいられなかった。
するとテラさんは満足そうに笑った。
「うん。」
そして最後に
「だからもっと自信持ちなよ、オバケくん。」
「……それは難しいです…。」
「じゃあ少しずつでいいからさ。」
「少しずつ?」
「僕が褒め続けてあげるから。」
「全てが完璧なテラくんに褒められたらきっと自信持てるって。」
「テラさんにそう言われたらそうなる気がします。」
「もちろん」
テラは胸を張る。
「だって僕、テラくんだからね。」
そのあまりにもテラさんらしい答えに。
僕、湊大瀬は久しぶりに、心から笑った。
コメント
1件
最終話まで読ませていただきました…!第2話でこの優しい着地、すごく好きです。テラさんの「好きな人にはちゃんと伝えるだけ」という言葉に、心がじんわり温かくなりました。自分を否定しがちなオバケくんに「ずっと君の事を好きだから」って、当たり前のように言えるテラさん、かっこよすぎます。お互いの距離感が絶妙で、読んでいて心地よかったです。素敵な物語をありがとうございました🌷
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