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そして私と柚彦君のテーブルの前に、短髪の男性が私に話しかけてきた、試合の時に彼のセコンドにいた人だ
「初めまして、ユズの2番目の兄でトレーナーの稲垣健司と申します、そして私はSBCE総合格闘技ジムのオーナーです。先日はうちの弟が栄養失調で倒れている所を助けていただいたそうで・・・本当にありがとうございました。もっと早くにお礼に伺いたかったのですが・・・」
そう言うと彼はにっこり笑って私に名刺を渡した
やっぱりこの人柚彦君のお兄さんなんだ!近くでよく見るととても顔が似ていた
たしか3人お兄さんがいるって・・・
この人も身長は低いが、筋骨隆々で、きっとひと昔は格闘家だったのだろう、柚彦君の何番目のお兄さんなんだろう
「い・・・いえ・・・そんな・・・私は何も・・・ 」
そんなたいしたことをした記憶もないのに、なんだか恥ずかしい
思わず顔が赤くなる、今日はなんて日なんだろう
突然俊哉にさらわれそうになって、柚彦君が倒して、そして彼の正体を知り、試合を見て、彼のご家族に紹介されるなんて・・・・
「鈴ちゃんがあの時助けてくれなかったら、僕はこうして今日試合に出れなかった 」
ニコニコして柚彦君が言った
「そうなんです!コイツはトレーナーの私やスポーツ栄養士のいう事を聞かずに、無茶な減量をしていたみたいで・・・本当にお恥ずかしい 」
「まぁ!それじゃ私達が出会った時は、試合の前の減量中だったのね・・・それに・・・柚彦君ったらブラックを突き飛ばしちゃってひどいわよ」
「アイツは君を触ったから当然だ」
柚彦君が言った
「あんなのびくともしないさ、気にすることないよ 」
トレーナーのお兄さんも笑いながら言った
私はブラックをチラリと見たが、彼らの言う通りまったく何のダメージを受けていないようだった、ブラックが他のテーブルの格闘家達に自分のガンの話を、また一から大声で泣きながら話していた、そして周りはうんざりしていた
「ずっと黙っててゴメンね・・・その・・・どう思った? 」
彼がおずおずと私の顔を伺っている、どうやら柚彦君には私の知らない一面が沢山あるようだ