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《お前、きもい》
「せんぱ〜い、これ合わせませ〜ん?」
「何、どれ…?」
「だからこれですって」
「もー、分かった!」
返事をするのが面倒くさい。
俺が面倒くさがり、って話じゃなくて、
何だろう、何か鬱陶しい。
更に俺の反応を見て楽しんでいる感もある。
腹が立つ。
「っふーー!先輩、休憩しましょー。」
「うん、する。」
「………あ、そうだ。チューバ、吹かせてくださいよ。」
一瞬固まった。
俺が893のフルートを吹くとかならまだいけたかもしれないが
チューバはマウスピースだ。
洗ったとしても間接キス、ということになるのだろうか。
「…いっくん、顔赤いよ〜?」
バレた。
「っ…黙れ!」
俺はこの一瞬で何を想像したのだろう。
最悪だ。
「ま、俺顧問に呼ばれてるんで行かなきゃいけないんですけどね。」
「何で呼ばれてんの?」
「…気になります?」
893はニヤッと笑った。
「………気になってない。」
何とか誤魔化す。
おそらく誤魔化せてないだろう。
「じゃあまた後で〜」と言った後、
893は教室から出ていった。
暇だな。
基礎練は終わったし、
あまり練習が必要な曲も無い。
教室見学でもするか。
………893の席。すーわろ。
意外と前。
全然意外と、じゃなかった。
先生からしても面倒くさいだろうな、こういう奴。
………顔熱い。
そろそろ練習に、戻、
れない。
立てない。
まずい。
「意外と早く終わったー、せんぱ、え?」
「あ、待って、違う、違う、ぁのっ…。」
「ん?」
「…………」
絶対引かれただろう。
後輩に好意を寄せて、更にこんな姿まで見せて。
だから恋愛はしたくなかったんだよ…。
「先輩………」
「かっっっ…わいいっすね…」
「は…ぁ、ぇ」
可愛い?かわいい?俺が?
「とりあえずこれ抜きましょうよ」
「俺がやりますから。いいよね?ね。」
何故か断れない。
「く゛ッふ………っ」
「ん゛ん゛…んぅ゛……!」
「やっぱり口塞いでよかったですよ」
「塞いでもこんな声出てるんですから」
腹立つ…。
「は、はぁッ…ん゛」
「あれ、いっくん、尻、緩くない?」
そっちも見られると思ってなかった。
にしてもなんか上手いこいつ……っ!
「指入れる」
こいつ抵抗とかないのか?
こんなところに指突っ込むなんて…
「っ!ぁ゛う」
こいつの指長い。
身長でかいんだから当たり前か。
「何考えてるんですか。」
「まだですよ、せ〜んぱい」
「あ゛ぁ゛ッ!?」
893は不気味な笑みを見せる。
こいつにしては甘い声。
ドSすぎてきもい。ほんとに。
「お前…きも…いぃッ」
俺の口を塞いでいたベルトがずり落ちる。
「…そんなこと言っちゃっていいの?」
「主導権は俺が握ってるのにさ。」
あ。
後ろになにか当たっている。
本当に、ここでやるもんじゃない。
「先輩、煽った罪、償ってくださいよ?」