💚「あーあ、フラれたぁ」
❤️「フラれたね」
阿部がそう言ってソファに寝そべると、片付けるでもなく並べて置かれていた空の缶ビールに脚が当たった。
カラカラと音を立ててドミノのように缶が倒れ、転がる。
💚「あっ、ごめん」
❤️「大丈夫。1回片付けようか」
今日、俺たちは同時に失恋した。
阿部は照に、俺は佐久間に。
俺がこの気持ちが何なのか考えている間に、阿部は照への想いを自覚したその次の日に。
2人はみんなに恋人付き合いを公表した。
表向き祝福して、あとでやり切れなくて非常階段に逃げてきたら先客がいた。
それは現実を受け止められず、可哀想なほど泣いている阿部だった。
❤️「今日、一緒に飲もう。笑えるようになるまで付き合うから」
もう隠せないと思ったのか、恋に敗れた話をする阿部。
俺も失恋仲間だと伝え、ハンカチを渡しながら気晴らしを提案した。
❤️「阿部」
💚「…ん…やばい寝そう」
❤️「仕事に支障ないなら泊まって行ったら?」
💚「いいの?」
こうして宅飲みからのお泊まりが決定。
風呂を沸かして、ちょうど別の花に替えようと花瓶から抜いていた薔薇から花弁を取って湯船に浮かべた。
❤️「お待たせ。宮舘特製ローズバスへご案内いたしましょう」
💚「あははは!!!」
ロイヤルムーブで語りかけると、阿部は酔いも手伝ってか手を叩いて大喜びした。
💚「あはっ、もっかい言って」
❤️「宮舘特製ローズバスに」
💚「あはははは!!!もっかい!」
❤️「宮舘」
💚「あっはははは……」
大笑いしていた阿部が涙を流し始めた。
💚「ふふっ…ふ……うっ」
涙を拭う度に、笑顔が崩れていく。
思わず隣に座って背中を撫でた。
❤️「…そんなに泣かないの」
💚「だって、だって俺、ほんとに好きだったんだもん」
❤️「わかるよ、俺も好きだったよ」
💚「うわあぁん」
笑えるまで付き合うと言っていたが、これは気が済むまで泣かせてやった方が良さそうだ。
💚「…舘さん」
❤️「うん?」
💚「今日だけ、甘えてもいい?」
❤️「勿論」
言うが早いか阿部は俺の膝に頭を突っ込んでぐずぐず泣き、そのうち眠ってしまった。
❤️「宮舘のローズバスが」
そう呟いた時、阿部が寝たまま『ふっ』と笑ったのであまりの偶然に驚いてちょっと飛び上がった。
終
コメント
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可愛い。ローズバス。 はあ。好き。
待って好き😂😂😂 続編希望でーす🖐🏻🖐🏻🖐🏻
宮舘特製ローズバス🌹に 私も入りたい!🤣