いいッ?変身は“3回“まで!!このターンでヤツを倒さないと、もしもの時にーーー
「わかってッ‼︎‼︎んだよッ‼︎‼︎ちょっと黙ってろ‼︎」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ‼︎‼︎‼︎」
“果汁”の巨大な盾が、目の前にグサっと突き刺さり“ギロチン”のように、首元ギリギリを何度も狙ってくる。いくら僕でも、これじゃ、いつかは当たるッ。攻撃しないとッ!殺られるッ!!
「黒柩ッ(ブラック・コフィン)」
「・・‼︎」
もはや、人間(ヒト)ではない“黒いナニか”に変貌した使役霊(シキガミ)の両脇から、楕円形の柩(ヒツギ)がガガガガガッと競り上がり。使役霊(シキガミ)を“バチッ”と、静電気が走るような音を立てながら、鋏(ハサミ)込んだ。よしッ倒したッーー!
ーー倒した。のは、いいけど・・。あのさ。師匠の使役霊(シキガミ)封印したら、どうやって情報集めるの?いつも、知らない間に着いちゃってたから、わからないけど。『BAR96』って、普通に行けるような場所にはなかったハズだよ?どうすんの??
「知るかよッ??あいつが“能力みたいわ♡”なぁんていうから、“柩”(コフィン)のストックを使わざるをえなーーー」
「ナニを使わざるを得ないッて‼︎?」
!!!?
「なに‼︎‼︎?」
「あんな“小道具”で、ワタシが倒せるなんてッ。思ってないでしょうねぇ‼︎‼︎“あんた”このッ‼︎‼︎ふざけんじゃないわよ‼︎‼︎‼︎」
「ーーーッ」
おかしい。封印の『黒柩』(ブラック・コフィン)は、“1-A”クラスの部類霊に特攻性のある絶対封鎖系の陰陽術(レイノウ)なのにッ!折角、“あの喫茶”でわざわざ食事したのにッ。効かないなんてッ!
「あんな“小道具”だと‼︎‼︎?アレはなッ!カフェインクセェのをガマンして、やっと発現できる陰陽術なんだッ‼︎‼︎」
主に。ボクが、ね。
「うるせー‼︎‼︎」
「・・・・(汗)」
兄さん。敵、呆れてるよ。バカだってーーー
「だれがバカじゃコノヤローがッ‼︎‼︎‼︎‼︎」
怒りに任せて僕は、“果汁のバケモノ”に殴りかかるーーーフリをして、股の間に滑り込んだ。なにしてるんだ?そんなことしたって、いまのボクらには『柩』(コフィン)しかないのに。どうするつもりだよ?
「見てりゃわかるってッ」
「そうそう。よーく、見てるよッ。その。ウスラ汚い面の皮(ツラノカワ)をねッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
脊髄から生えていた“果汁盾”をバキバキ(明らかに、痛そう)と自らへし折り、“バスの運転席のバケモノ“だった“果汁のバケモノ”は「ァァアアァァ」という金切声とともに、“バーテンダー風のオレンジ色の髪の男“に変身を遂げた。
・・師匠??
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ‼︎‼︎おまえらの師匠だッ‼︎‼︎おまえらが敬愛するこのワタシを殺すことなど、おまえらにはーーーー」
「キモいッ‼︎‼︎‼︎」
バキバキ、ガスッという、悲惨な音と「イヤァァァァァァァァァァァ♡」という、師匠の悲痛な叫び以外、しばらくは何も聞こえなかったが、やがて、顔に青アザを作った師匠がピクピク横たわっているのが、ハッキリ見えた。
・・やっぱ、こうなるんだ。
「おまえさ。ホントに師匠の使役霊(シキガミ)なのかよ?」
「だったら?どうだっていうのッ‼︎⁈」
うーん。どうも、何も。
「違うから聞いてんだよッ!どバカ野郎ッ!」
「どバカ?」
たしかに、すんごいバカみたいな展開。
「あのな。師匠の使役霊(シキガミ)なら、『僕』相手に、師匠に化けるようなバカなマネは絶対にしねぇんだッ‼︎‼︎しかもな、おまえッ!股の間に“50%”ってタグがあるだろ??」
え、そうなの?? ・・ああ。だから“スライディング”なんて、ワケの解らない行動したのか。分かっててやったのか“いつもの”ラッキーパンチだったのか。知らないけど。
「断言してやる。クマか、なんかの“ぬいぐるみ”の憑依霊か、付喪神(ツクモガミ)だろ。おまえ」
「だって、だって」
????
「こうでもしないと‼︎‼︎売れ残りで捨てられる悲しみを発散して“送還”して貰えないじゃないデスかァァァァァァァァ‼︎‼︎おヨヨよッ‼︎」
うわぁーー。似てる、“あの人”に。
「キモいから、“送還”してやぁらないッ」
え?“送還“するから変身したんじゃーーー
「なんでェェェェエエェェェェエエェ‼︎‼︎‼︎なにも、じでナイのにィィィイイィィィッ‼︎‼︎‼︎」
・・いや、いや。さっき、13話で「腸までえぐる」とか。まぁまぁヤバいことしてたじゃん。いまは、“もう治ってる”からいいけど。マジ、痛かったし。
「反省したか?」
「しまじダァァァァアアァァァ!‼︎‼︎ 廃棄処分されるの上に、バスの中にわずれる何でェ‼︎‼︎そ、そんなの許せながッダんデスゥゥゥゥウウゥゥゥ‼︎‼︎‼︎」
・・・。
「もうしないか?」
「しないッ!じない‼︎しマセンンンンンンン‼︎‼︎‼︎」
・・なあ。もう、いいだろ。こいつ、無害なタイプの呪縛霊だ。化けるのが得意なのは、人間のスキな姿になって、愛されたいからだよ。愛されれば、呪縛の呪いは解けるから。その上、ぬいぐるみの呪縛霊だなんて・・。そりゃ、辛いさ。愛されることが、コイツの仕事なのに。それに、師匠とは何の関係もーー
「ーーわかってる。もう、“逝け”」
”ブチッ”。と、“ぬいぐるみのバケモノ”の股下にブラ下がった『50%』のタグを引き千切ると、それまで発現していた“果汁武器”は消え。アリガトウ….. という“与音”を残し、バケモノは“送還”された。
「・・逝ったね」
ああ。逝ったついでに、もう“リミッター”が2回しか残ってねーしな・・。牧原絆(マキハラ・キズナ)を2号室から連れ去った“師匠の目的“も、分からなかったのに。これじゃあ、“いつもの仕事”だな。
・・なんかさ。スゲー、もったいないコト。しちまったかなぁ・・
「・・そんなこと。ないさ」