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戦後廃墟のような収容所の片隅で 、私はそれをつけた。
埃まみれの毛布の中、薄く折り曲げられ2冊のノートを見つける。
紐でまとめられていた。
まるで、見つけ欲しかったみたいに、
開いた時、私は指を止めた
「…エスターの字…」
そう、エスターの文字だった
震えていても、小さくて可愛い字
エスターらしい字、
何行にも渡って綴られた文字は涙で滲みところどころ読めなかった。
その涙が私のものかエスターのかは分からない。
でも最後のページの最後の行だけはかすかに読めた
「生まれ変わっても、離れ離れでもまた会いたい。生まれ変わったらまたパパの子になりたい。」
その場に私は崩れ落ちた。
久しぶりに子供のように声を上げて泣いた。
ページの端にはあの赤いリボンが描かれてた 小さい頃にいつもつけていたあのリボン。
そして家族で食べたケーキ、あの夜の笑い声と紅茶の香り。
絵は前よりずっと上手くなってた。それがなりより苦しかった。
彼女はここで何もかもが成長して奪われた。
私はそっとノートを胸に抱いた
「…すまない…エスター…」
「次に生まれ変わったら、今度こそ君を守れる父親になる。君の前で銃ではなく、手を差し出すよ…そしてケーキも、紅茶もこぼさず運んでみせる。」
風が吹いた、その風にエスターの声と甘い匂いが混ざっている気がした、
ケーキのような甘さじゃない。春の午後のような匂い。