⚠︎︎nmmn⚠︎︎
死ネタ(🎲サマ✖️)
ご本人様とは一切関係ありません。
───🐇回想───
母『あんた,春からお兄ちゃんになるんよ』
白『…へ、』
庭の桜が綻び始めた初春の朝。
朝食を食べる母から穏やかに爆弾を投下された。
父が用意してくれたトーストがするりと両手をすり抜けてトレーに落ちる。
白『ほんまにっ!?』
父『ほんまほんま。笑』
『初兎,ずっと弟欲しいゆうてたもんな笑』
母『ふふふ…笑』
『ほんまは昨日の昼には分かっててんけど,言うタイミングわからんかってん』
『堪忍な?』
白『…や、そんなんどうでもいいんよっ』
『おにぃちゃん…おにぃちゃんかぁ…』
『…えっへへ…笑』
『とーさん,かーさんありがとうっ!』
小さい頃から憧れていた,【弟】という存在。
大好きな母のお腹に待望の命が宿ったことがただただ嬉しくて。
幼子らしい桃色の悲鳴をあげて跳ね上がったのを今でも鮮明に覚えている。
母の言った通り,翌年の春に陣痛が訪れ,特にこれといった問題もなく安産で出産を迎えた。
水「…んぇ…ふあ…っ?」
白『……ごっつかわええ…笑』
『この子が僕のおとーとなん?』
父『そうやで〜笑』
『ほんまにかわええなぁ…』
母『…名前,どないしようか…笑』
『初兎が決めたいゆうてたやんな?』
白『おんっ!』
父『…その感じやともう決まってるんやね笑』
『なんにするん?』
白『…えっとな,僕…弟できたらずーっと【いむくん】って呼びたい思っててん!』
『せやから…カタカナでイムって書いて,くっつけたら仏になるさかい……』
『ほとけがいい!!』
予想外の返答だったのか,ぽかんと口を開けたあと,2人が同時にぶはっと吹き出す。
父『えっらい神々しい名前やなww』
母『ちょっと、神様やなくて仏様やろ?笑』
父『いやつっこむとこそこなん?w』
『……まあ,初兎はそれがええんか笑』
白『…(コクッ』
『あかん…?』
父『あかんわけないやろー?笑』
母『初兎が考えてくれた名前やったらきっとこの子も嬉しいわ笑(撫』
父『名前は有栖ほとけに決定やー!!』
白『うおーー!!笑』
『これからよろしゅうな〜いむくんっ!!』
母『あははっ笑笑』
いむくんが生まれて2年が経った冬の末。
節分を終え,世間がバレンタインへと関心を傾け始めた日曜日のこと。
いつもは出張で忙しい父が珍しく休みをとっていたため,久しぶりに4人全員でゆったりとした午後を過ごしていた。
水『しょうにぃ〜っ!(抱』
白『ッうお…っ!?』
『…ふふっ,どしたんいむくん?』
水『ぶーぶ!!あそぶの!!』
白『ぶーぶーで遊びたいん?笑』
『しゃあないなぁ』
水『えへへっ笑/』
『しょーにぃすきっ!!』
白『…!//』
『僕も大好きやで〜っ…!!♡(ギューッ』
父『ん…ずるいでー父さんも混ぜろー!!』
白『おわぁ…っ!?笑』
『ねぇくすぐったい!!w』
父『はははww』
母『ちょっと…笑』
『怪我せんでよ〜?笑』
…どこにでもあるような,至って普通の幸せな家庭。
そんな僕らの日常が音を立てて崩れ去ったのは,この日の夜のことだった。
深夜2時半。
ぎしぎしと何かが軋む音で目を覚ました。
ぼんやりとした頭で隣に眠る母の背中を揺する。
白『かあさ…っ,かあさん…』
母『…んん”…,なにぃ?』
白『下から変な音する…ぎしぎしって』
母『…』
母が黙って耳を澄まし,軽く目を見開いた後に間髪入れずスマホを手に取った。
母『あんた…あんた。』
父『…”?』
『どないしたん?』
母『───。』
耳打ちをする母と,黙ったまま表情を曇らせる父。
父『…。』
『…初兎。いむと一緒に着いてきて。』
『静かにな。』
白『…、?』
虫の羽音のように小さな声で母が誰かに電話をしていて。
何が何だかよく分からないまま,寝息を立てて眠るいむくんを慎重に抱き抱える。
父に連れられ,寝室の奥にあるクローゼットへと足を運んだ。
父『…ええか初兎?』
『今からお前はいむと一緒にここに隠れるんや。』
白『…どうして?』
父『……どうしても。』
『物音たてへんように,なるだけ静かに息して,父さん達が開けるまで絶対出てこんといて。』
白『…、』
尋常でない父の様子に全身が徐々に強ばっていくのを感じた。
ゆっくり閉じていく木目調の扉の隙間から,固い笑顔を浮かべる母と父が映る。
そして完全に扉が閉まったところで,2人が部屋から出ていく音が聞こえた。
真っ暗闇の中,いむくんと2人きり。
地の底からせりあがってくるような行き場のない恐怖に涙腺が緩む。
…それから数分後。
誰かの怒鳴り声が鼓膜を劈いたのと同時に睡魔に負けた僕は,そのまま眠りに落ちてしまった。
男『…君…君…っ!!』
白『……ぅ、?』
水『…ん,(ギュウッ』
男『…!!』
『大丈夫?怪我してへんかっ?』
カーテンから射し込む淡い光と,見慣れたフローリングの床。
もふもふのパジャマに身を包んだいむくんが,僕の襟元を弱々しく掴んだまま眠っている。
肩の揺れを感じて目を覚ますと,僕らは知らないおじさんの腕の中だった。
白『…おじさんだれ、?』
男『……警察やで。おまわりさんって言うたら分かる?』
白『…おまわりさん…?』
『なんでおまわりさんがうちにおるん?』
男『……,』
白『…?』
男『…2人とも…怪我はしてへんねんな?』
白『………え?うん,』
投げかけた問いを華麗にスルーされ,先程から繰り返される怪我の2文字に疑問を抱きつつも取り敢えずといった様子で頷く。
壁に掛かった丸時計は9時を指していた。
白『…遅刻……。』
男『……うん?』
白『おまわりさん,僕ら遅刻や!!』
男『…っちょ,!?』
週5で耳にする始業のチャイムの音を思い出す。
いつもは母さんが起こしに来てくれるから,その日のその日まで寝坊なんてしたことがなかった。
非日常に焦った僕は,警察と名乗るその男の膝にいむくんを置き去りにし,勢いよく部屋を飛び出した。
どたばたと足音を鳴らして階段を1段飛ばしで駆け下りる。
そしてそのまま,何度開けたか分からないダイニングへの扉へ間髪入れずに力を込めた。
がちゃ…っ!!!
白『とーさんかーさん!!』
『なんで起こしてくれへんかっ……たん、?』
視界いっぱいに広がる非日常に,僕は言葉を失った。
白い手袋をつけて,先端にふわふわした綿がついた棒を持った人。
床に向けてフラッシュをたく人。
顎に手をやりながら神妙な面持ちで話し込んでいる人。
皆同じ姿格好で,僕に気づいた何人かがぎょっとしたような様子で僕を凝視した。
開け放された窓の奥には野次馬がたかっていて,その背後に何台ものパトカーが停まっている。
ドラマでしか見たことの無いような光景に軽く目を瞬かせると,窓に反射した光の先に赤黒いなにかが覗いた。
明らかに様子のおかしい我が家にひしひしと積もる焦りと動揺。
それと同時に脳内に木霊した昨晩の父の言葉。
『父さんたちが開けるまで絶対出てこんといて。』
白『………とー……さん、?』
僕が7歳でいむくんが2歳。
3度目の春を待たずして,父と母が✘んだ。
───💎side───
白『……隣の県であった強盗事件の犯人が近所に潜伏しとったんやって。』
『物色中に降りてきた父さんと揉み合いになった後,パニックになって近くにあったタチバサミで刺殺した。』
『階段におった母さんも一緒に殺されて,』
『犯人は警察が来る前に……自殺してたらしい。』
『…あくまで,鑑識の人の見解やけど。』
白い人が苦しそうに顔を歪めて,強く強く,僕の手を握り締める。
ちらりと目をやると,青い人と黒い人は,陶器のように綺麗な肌へ暗い影を落として目を伏せていた。
重っ苦しい空気が流れる中で込み上げてきたのは同情でもなんでもない。
静かな静かな,嘲笑だ。
水「馬っ鹿みたい…笑」
白『………え、?』
水「…黙って聞いてたらペラペラペラペラ出任せばっかり…」
「誰と間違えてんのか知らないけど,僕の名前はいむだし,家族なんかいないから」
「なんにも知らない癖に適当なこと言わないで(睨」
白『…っ!!』
『適当なんかやないっ!!!!』
『僕はほんまにいむくんの…ッ───』
黑『…ポンッ(肩』
白『…!』
黑『……しゃあないよ初兎。』
『今のこの子は…ほとけやないんやから。』
白『…ゆうくん……ポロッ(泣』
アメジストのように深い紫色の瞳から堰を切ったように涙が溢れる。
散々監禁された挙句にどうして僕が泣かれないといけないんだろう。
水「うざ…(ボソッ」
碧『…。』
おもわず声に出た2文字。
青い人には聞こえてたみたい。
…だったらなんだって話だけど。
水「……,(ジャラ…っ」
「外してよ,これ」
「ボスとりうちゃんの所に帰りたい」
碧『…。』
水「…。」
「ちょっと、聞いてんの?」
碧『……』
水「…ねぇってば───」
碧『あにき,飯にしよ』
黑/水『…………は?』
碧『腹が減ってはどうのこうのみたいなんあるやん。』
『尋問はまぁ……その後にでも』
黑『…お前,今の空気分かってて言うてんの?』
碧『……空気とか知らんし。』
『まろ腹減ってんやもん。』
『…初兎もほとけもそうやろ?』
白『…(チラッ』
青い人の言葉に動揺しつつも恐る恐るといった眼差しで様子を伺ってくる白い人。
言いたいことは何となくわかった。
水「……僕は食べないから」
白『…。』
トレードマークのようにサイドへ跳ねた2束のアホ毛がしゅんと項垂れる。
ほんとに兎みたいな人だななんて思いながらも,僕の口からは自然と棘のある言葉が漏れていた。
水「被害者面ばっかりしないでよ」
「何言ったって無駄だし,」
「…第1誰が敵の作ったご飯なんか───」
ぐうぅぅぅぅ……っ
水「…。」
白『…。』
黑『…。』
碧『…。』
白『……ぇ、今のいむくん,?』
水『…うるさい。』
数秒の沈黙。
目の前に座る白い人の肩が徐々に震え始める。
また泣くのかななんて考えていると,予想外にもふはっ…wと軽い笑いを零して。
思わず顔を上げると,ばちっと視線が交わった。
白『…意地っ張りなとこ,やっぱ変わってへんのやな。笑』
水「……は?」
白『あーあ!!なーんか吹っ切れたわぁ〜…w』
白『しんみりしとってもいむくんが帰ってくる訳やないんやし…』
『そもそもこんなん僕やないしな!!』
…さっきまでの涙はどこへ行ったのやら。
あまりの人の変わりように流石の僕も目を点にした。
その証拠…になるか分からないが,隣で肩を抱いていた黒い人は,開いた口が塞がらないとでも言いたげに絵に描いたようなあほ面をこいている。
白『じめじめタイムはもう終わりっちゅーことで!!』
『ゆうくんご飯つくって〜!!』
黑『……お、う…』
『簡単なやつでええか?』
白『おん!』
口角を引き攣らせながら腰をあげた黒い人がキッチンと思わしき空間へ姿を消した。
なんだか流れに置いていかれている気がして,慌てて白い人の手首を掴む。
水「…まって…ッ、作っても僕食べないからね?」
白『なーにゆうてんねん笑』
『あれっばあ腹空かしてんねんからちゃんと食わんと帰り着く前に餓死すんで?』
『…まぁ帰す気もあらへんけど、w』
水「は…?、」
白『だーいじょうぶやって』
『味の保証はしたるから。な?』
水「そうゆう問題じゃな…っ!」
碧『えーーから』
『はよ席つけ。ほら。』
水「…ッな、変なとこ押さないで!!!!」
「青い人のえっち!!」
碧『…あ?』
白『ww』
『…てかいむくんさ』
『せっかく名前教えたんやさかい名前で呼んでーや』
水「…え…」
白『……あかんの?』
水「…」
確かに,いちいち白い人・青い人・黒い人で呼び分けるのは正直言って面倒臭い。
かと言って【さん】付けで呼ぶような目上の存在でもないし,呼び捨てにするのもなんか違う。
…考える方がめんどいななんて思ったのと同時に,白い人が口を開いた。
白『しょーちゃん』
水「……え?」
白『しょーちゃんって呼んでや。僕のこと。』
水「…」
先程とは違う,緊張を表に出したように固まった表情。
…さっきの話を信じた訳ではないけれど,何となく,その “ 昔の僕 ” が使っていた呼び名なのではないかと思った。
水「……いいよ」
「考えるのめんどくさいし。」
白『…ッほんまに、?』
水「…(コクッ」
白『…!!』
『ッじゃあじゃあ…っ』
『まろちゃんのことはいふくんで,ゆうくんのことはあにきって呼んでくれへん?』
水「…別にいいけど,」
ぼそりと呟いた瞬間,白いひ──しょーちゃんの顔が一気に華やいだ。
満面の笑みで『ありがとういむくん』と残し,ダイニングチェアに座る青i──いふくんの元へと駆けていく。
徐々に漂ってきた香ばしい卵の香りに誘われるようにして,ぎこちなくしょーちゃんの後に続いた。
────── ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ──────
コメント
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初コメ失礼します‼︎ 最高すぎます✨ マフィアパロ大好きだし悲しい系も大好物なので嬉しいです‼︎ 🍣ちゃんのとこのチームは果たして悪いとこなのか何か事情があったのか、、 続き楽しみです♪フォロー失礼します‼︎
うわ辛すぎる🥲︎🥲︎ 💎さんはショックで覚えてないのか洗脳で覚えてないのかとか、🐶さんのチームが悪者なのかとか考察楽しいです!!! いつも素敵な小説ありがとうございます!! 連載めっちゃ楽しみに待ってます👍🏻 ̖́-