⚠︎︎nmmn/過呼吸表現㊒⚠︎
───💎side───
白『ほい、いむくんあーん』
水「…は?」
葬式会場さながらにじめじめとしていた空気から一転。
ニコニコと屈託なく笑う初兎ちゃんが,卵焼きを摘んで僕に話しかける。
口元にゆったりと運ばれたその一欠片に僕は声をあげずには居られなかった。
水「……食べろってこと?」
白『おん』
『嫌なん?』
水「…当たり前じゃん」
「僕もう子供じゃないし」
似たような会話をさっきもしたような…なんて考えを巡らせながら,彼と距離をとる。
白『それは分かってんけどさー』
『手枷外すにもまだ早いし,食べにくいやろ?』
水「……そんなこと…」
水「……あるかも」
白『やっぱなw』
『見るからに重そうやもんそれw』
水「そう思うなら外してよ…!!💢」
黑『はいはい』
『えーからとっとと食え〜』
水「…ッむぐ…っ」
あんまりにも大人しいからそこまで警戒してなかったあにきが,痺れを切らしたように初兎ちゃんの箸を口に突っ込んできた。
白『あーっ!!!自分でやりたかったんにー!!』
黑『大して変わらんやろ』
『お前もはよ食え』
白『変わるわ!!』
『食うけどさ!!』
水「…」
殺意がない事が分かったとはいえ、初対面の人間の手料理なんてそうそう口にできるものではない。
果たして噛んでもいい物なのだろうか。
碧『…この流れで毒なんか入れる訳ないやろ。』
『さっさか飲み込め。』
水「…!」
静かに馳せた疑念をいとも容易く見透かされ,頬にムッと力が入る。
ほんとにこの人は人の心を読むのが上手い。
単純に頭が良いだけなのかもしれないけれど。
水「…(モグモグ」
「………(ゴクンッ」
「…。」
…おいしい
ふと隣から感じる視線。
口に含んだ1口をゆっくりと頬張りながら首を横に回す。
ウインナーを摘んだ箸を口元で停止させ,驚いたように,そしてどこか嬉しそうに目を剥くあにきがそこにいた。
水「…なに?」
黑『……いや…その』
『よかったなぁって』
水「……?なにが」
黑『………口に合って…』
水「…」
「…うそ、声に出てた?」
黑『がっつり…笑』
『むっちゃ嬉しいわ,ありがと。(ニコッ』
柔らかいあにきの笑顔が,昨日のりうちゃんと重なる。
水「…っ…」
「……別に、」
くっと眉根を寄せて前に向き直る。
白『…んふ…w素直やないなぁ…笑』
『もう一口いる?…どっちみち全部食わすけど』
水「…。」
有り余る食欲が何とも憎らしい。
無言で口を開くと,初兎ちゃんがくすくすと笑って箸を運んだ。
簡単なもの…と言っていた割に食卓に並んだメニューは手の込んだものばかりで。
悔しいけれど,素直に美味しいと感じてしまった。
碧『…なんかあれやな。』
『雛の餌付けっぽい。』
水「……は?殺すよ?」
白『まあまあ…w』
1悶着2悶着ありつつも,どうにか朝食を食べ終え,今日から僕に使う部屋へと案内される。
あにきは食器洗いに忙しく,いふくんは諸々の整備があるとかなんとかで,僕の傍にはずっと初兎ちゃんが着いて回っていた。
水「…ほんと広いよね、ここ。」
白『ん…そう?』
『慣れてもうてるからなんかなー…考えたことなかったわ、笑』
水「…」
白『…っと,ここやな。』
『いむくんの部屋。』
水「…ん」
『ほとけの部屋』という手書きのプレートがぶら下がった白樺の扉。
網目状の覗き窓越しに広いとも狭いとも言い難い室内が覗く。
きぃ…と音を立てて顕になったその空間は,如何にも子供部屋という雰囲気を醸し出していて,つい最近まで使われていたような生活感があった。
白『ずーっと放置してたんよ。いむくんがおらんなってから。』
『一応掃除はしててんけど,家具の配置とか,散らかってる玩具とかはそのまんま。』
水「…ふーん」
無駄に凝った設定だなぁ…と少しばかり呆れる。
言ったところでさっきみたいに気まづくなるだけだから、口に出すつもりはないけれど。
水「……触ってもいいの?これ」
白『もちろん。』
水「…」
ゴミ箱の隣に無抵抗に転がった兎のぬいぐるみ。
年季が入っているためか色はかなりくすんでいる。
本能的に…といえばいいのか分からないが,何の気なしに,くたびれたその子を手に取った。
しっぽの根元に縫い付けられた小さなタグには不器用に記された『ほとけ』の3文字。
白『…自分で書くーゆうて、聞かんくてさ笑』
『散々駄々こねた挙句に上手く書けへんかったからってギャン泣きやで?笑』
『意味わからんやろw』
そう言って笑う初兎ちゃんの目には,心做しか薄い透明の膜が張っているように見えた。
気づいていない被りを振りつつ,再度手元のぬいぐるみに焦点を戻す。
ビーズクッションのような手触りと,黒ビーズのつぶらな瞳。首に巻かれた水色のリボン。
所々に伸びた糸のほつれから,これが手作りの品物であることは容易に想像がついた。
水「…」
水「…っ?」
白『……いむくん?』
水「…。」
…なんだろう。動悸がする。
白『どしたん…?』
水「……ちょっと…偏頭痛」
「座れば治るから」
咄嗟に視界に入った回転式の椅子に腰掛けた。
心臓が不規則に波打って,正常な呼吸ができなくなっていく。
初めての事態に背筋に嫌な汗が浮かんだ。
さっきの料理,やっぱり何か入ってたんじゃ…?
水「………違う、」
さっき目覚めた部屋で,愛用の銃が没収されていることをこの目で確認した。
仕事柄,あれがないのは命を鷲掴みにされたのと同意義。
あの瞬間,僕は自分の戦力がゼロに等しくなったと痛いほど悟ったのだ。
…だから,気づくことが出来なかった。
白『…なあ…大丈…』
水「初兎ちゃん」
いつも予備を持ち出すのを忘れて,りうちゃんに叱られた。
大切な大切な…お守り。
水「初兎ちゃん…僕の薬,どこやったの…?」
白『…薬?』
水「……服用薬。」
「ここに来た時は絶対持ってた。」
白『…知らんけど、』
『僕が回収したんは銃だけやから…』
水「ッとぼけないで…っ!」
「ピンクのカプセル!!知ってるでしょ!?」
荒らげた声に肩を跳ねさせながらもムキになったような表情を浮かべる。
白『…っほんまに知らんって!!!』
水「じゃあなんで無いのさ!!」
白『知らんわ!!』
水「知らないわけな…っ!」
「…~~ …ッ」
…やばい…なにこの痛み。
頭…割れそ……
碧『…おい,なんの騒―』(ガチャッ
がたん…っ!
碧『…っ!』
『…ッ(ガシッ』
ぐらりと傾いた体をいふくんが抱きとめる。
整備,もう終わったのかな。
水「…かひゅ…っ,ッ…はぁ…っ…」
碧『ッちょ……ほとけ…っ?…おい…!!』
『いきなりどないしたんや!?』
白『っわ…分からへん…まろちゃ…っ』
『いむく…ッ,どないしよ…顔色…なんで?』
碧『落ち着け初兎…っ!!』
水「……―り,…」
碧『…ッ、?』
『なんて?』
水「くすり……」
碧『……薬?』
水「ぴんくの…くすり……はやく、」
碧『……ピンク…』
『…!!』
『初兎!─────の───け!!!』
白『…ッわ、わかった…っ(泣』
水「……」
耳鳴りで何も聞こえない。
息もできない。
視界が狭窄する。
…これ……駄
目なや…
つ…
…。
水「……(ガクンッ」
──────ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ──────
コメント
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何事〜?!?! 💎くん大丈夫か?💦 私はあの3人の話し完璧に信じきってるから🐇ちゃんがマジ可哀想😢 目の前で💎くんが過呼吸になってるし、、😭 薬ってなんの薬なんだ、、 続きが気になる〜🫣楽しみです♪