アーサーside
4限目が終わり、昼食の時間になった。いつも通りフランシスとアントーニョと弁当を食べようと2人のところに向かおうとしたら、2人は頭を本田の方にクイッと動かし、行けと言わんばかりに俺に目で訴えかけてきた。
露骨にえーと嫌そうな顔を演じてもしても、2人の行動は変わらない。
仕方がないから諦め、本田と昼食をとることにした。
そういえば……本田が教室で弁当食べてるとこ見たことねぇな。
そう不思議に思い、弁当を持って教室から出た本田の後を追った。
どこに行くのかと思ったら、なんと4階の滅多に使われないトイレだった。
トイレで弁当食べるやつって実在したんだな、と驚いたまま本田が入って行ったように、自分もトイレへ入る。
本田のことだから、きっと場所は1番奥だろう。そう思い脚立を使って、トイレのドアの上から中を覗いたら、まぁこれがビンゴだったようで。
「お前、こんなとこで毎日弁当食ってんのか?」
「なっ!?アーサーさん!?」
彼は顔を真っ赤にして驚いた顔をしていた。まぁそれもそのはずだ。こんなこと知られたら俺でも恥ずかしいくてそういう反応をしてしまうだろう。
「破廉恥な、!覗きです!訴えてやります!」
「いや、弁当食ってただけだろ」
ツッコんだら何も言えなくなったのか、頬を膨らまして睨んでくる彼はハムスターのようだった。
「悪い、少し意地悪しすぎたな。弁当を一緒に食べたいだけなんだ。」
そうやって正直な事を本田に伝え、鍵をあけてもらった。
「こんなとこで食べるより、屋上行こうぜ屋上」
「え、行けるんですか?」
「あぁ。この前行けたから今回も行けんだろ」
案の定、考えはビンゴ。屋上への扉に鍵はかかっていなかった。そのまま本田と屋上に出て、壁にもたれかかった。
「風が気持ちいいな」
「そうですね、なんか慣れません……」
「そりゃあ、お前トイレと屋上だからな(笑)」
俺達は弁当の蓋を開け、互いの弁当を見せあった。
「あの…失礼ですが……その炭のようなものは…」
「ん?あぁ、俺の手作りなんだ!」
「そ、そうですか、」
本田は俺の弁当を見るや否や、顔を真っ青にしながら自分の弁当のたまご焼きを頬張っていた。
彼の弁当を覗き込むと、なんと黒い物体が1つも無かったのだ。びっくりして、声をかけてしまった。
「え、すげーなお前の弁当!黒いの1つも入ってねぇ!」
「入ってないのが当たり前なんですよ」
「自分で作ってんのか?」
「いえ、毎日義兄が作ってくれます」
「そいつすげーな。どれも美味そうだ」
「………良かったら、少しあげましょうか…?」
「いいのか!?」
「はい、1、2つぐらいなら」
「じゃあ物々交換しようぜ。俺のウィンナーあげるからたまご焼きくれよ」
「い、いえ!大丈夫です!」
「いいから食べろって〜」
遠慮する本田を無視し、俺は箸でウィンナーを掴み、本田の口へと運び食べさせた。
その後、本田が目を開ける事は無かった。
「本田?……本田ぁぁ!」
本田side
4限目が終わり、いつものように4階のトイレへ向かった。ボッチの自分にとって、そこは唯一静かで心を休めることができる、オアシスのようなものだ。
が、そのオアシスはすぐに壊された。
「お前、こんなとこで毎日弁当食ってんのか?」
「なっ!?アーサーさん!?」
突然なことに驚き、弁当をこぼしそうになる。なんたってトイレの上から堂々と覗いてきたのだから。
「破廉恥な、!覗きです!訴えてやります!」
恥ずかしさのあまり、意味の分からないことを口にして、アーサーを追っ払おうとしたが
「いや、弁当食ってただけだろ」
なんて正論を吐かれるので頬を膨らまして睨むぐらいしか抵抗の術はなかった。すると彼は顔に笑みを浮かべ、
「ごめんごめん、少し意地悪しすぎたな。悪かった。お弁当を一緒に食べたいだけなんだ。」
なんて胸キュンゼリフを言ってくるから、イケメンには勝てずそのまま鍵を開けてしまった。
「こんなとこで食べるより、屋上行こうぜ屋上」
「え、行けるんですか?」
「あぁ。この前行けたから今回も行けんだろ」
彼は私の腕を掴み、そのまま屋上へ向かっていった。
案の定、アーサーさんの考えはビンゴ。屋上への扉に鍵はかかっていなかった。そのまま屋上に出て、壁にもたれかかる。
「風が気持ちいな」
「そうですね、なんか慣れません……」
「そりゃあ、お前トイレと屋上だからな(笑)」
なんでそこで笑うんですか。そりゃあ陽キャのアーサーさんには私の気持ちなんか分からないですよね!なんて少し腹が立った。
私達は弁当の蓋を開け、互いの弁当を見せあう。
が、初めて見るそのお弁当に恐怖を覚えたのだ。なんたって、全てが食べ物なのか分からない、炭のように黒い物体しか入っていなかったのだから。もしかしたら海苔が大好きな人なのかと思い、確認のためおかずを聞いてみた。
「あの…失礼ですが……その炭のようなものは…」
「ん?あぁ、俺の手作りなんだ!」
「そ、そうですか、」
ものすごい料理下手な人なんだなと結論付けた。あんなダークマターを作る人、そういませんよ………。なんて呆れながら耀さんが作ったたまご焼きを頬張った。
すると、アーサーさんが私の弁当を覗き込み、
「え、すげーなお前の弁当!黒いの1つも入ってねぇ!」
なんて目を輝かせながら言ってきた。
「入ってないのが当たり前なんですよ」
「自分で作ってんのか?」
「いえ、毎日義兄が作ってくれます」
「そいつすげーな。どれも美味そうだ」
ずっと見てくるものだから、あまりに可哀想なので、今日ぐらいは色がついたおかずを食べてもらおうと同情してしまった。
「………良かったら、少しあげましょうか…?」
「いいのか!?」
また目を輝かせながら言ってくる彼がいた。これじゃまるで子犬だ。
「はい、1、2つぐらいなら」
「じゃあ物々交換しようぜ。俺のウィンナーあげるからたまご焼きくれよ」
悪魔の発言だった。そのダークマターを?食べる?状態じゃありません私死にますよえ?殺したいんですか私のこと
「い、いえ!大丈夫です!」
と、全力で否定するも、
「いいから食べろって〜」
否定する私を無視し、彼は私にダークマターを食べさせた。
頑張って噛み砕き、飲み込んだ瞬間、私は意識を手放した。
コメント
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キャアアアアアアアアアアア!?…誰かッッ!!救急車!!
きっ、菊さぁあ゛ん!目を覚ましてくださぁぁ゛い!初コメ失礼します🙇♂️