第3話「はじめてのおでかけ」
飼い主は今日ずっと家にいるらしい。僕はしーと遊んでいた。
「はきゅー?しー?」
飼い主の呼ぶ声。
しーが飼い主に聞いたところ、2匹と出かけたいらしい。
「行くか?」
「行く!」
「じゃあ草原にピクニックしにいこうか!」
しーが飼い主を乗せ、僕が後ろからついていく。10分ほど走ると、綺麗なお花畑に到着した。
「綺麗だねー!」
飼い主がお花をつんで花冠を作ってくれた。
「よかったな」
「はきゅが家に来てからしーが明るくなった気がするよ!」
「余計なことを…」
あ!ちょうちょ!僕はちょうちょを追いかけて、森の奥へ入っていった。
「まってー!」
ちょうちょはとても速くて、逃げられてしまった。そして気がつくと知らない森の中1人だった。
「ここどこ…?」
ガサッ!草の揺れる音が聞こえる。
「誰!?」
振り向いても誰もいない。どうしよう…
出口を探そうと彷徨うが、逆にどんどん深い所に入ってしまう。
「寒いよ…飼い主―!しー!」
すっかり日も暮れて、どんどん寒くなっていく。
「うぅ…迷子になっちゃった…」
泣きそうになっていると、ガサガサっ!と草の揺れる音が聞こえた。
「なに!?怖いよぉー!」
思い切ってガサガサと物をたてる草を焼き払うと、1匹のちいさなうさぎ…いや…これは…!!
あっという間にモンスターに包囲されてしまった。
僕じゃ勝ち目はない。
「ぼ、僕は美味しくないよ…!!」
一匹がとびかかってきたその時…!
「グォォォォォ!!!!」
大きな何かが鋭い爪と太陽のブレスでモンスターを一匹残らずバラバラにした。
それを見ていた近くにいるモンスターたちは顔を真っ青にして逃げていった。
「無事か?」
低くて冷たい声。恐る恐る顔を上げると、モンスターの返り血でさらに赤みが増したしーが心配そうにこちらを見つめている。
「しー!」
「もう飼い主から離れるな。草原で飼い主がまっている。戻ろう。」
しーは少し怒っているようで、いつも以上に無口だ。気になるのは、いつもと全然違って、強いドラゴンの性格?をしている。とりあえず謝った方がいいだろう。
「しー、ごめんなさい…」
「気にするな。だが飼い主はとても心配していた。謝るなら飼い主に謝れ。」
「うん…」
草原では、飼い主が涙を浮かべて座り込んでいた。
「見つけた」
「はきゅ!!よかった…!」
飼い主がしっかりと抱きしめてくれた。初めて抱きしめられたから少し迷ったが、暖かくて心地よかった。
「さぁ、帰ろう」
帰り道、しーは肉をくれた。
「しー?その肉どうしたの?」
「はきゅを襲ったモンスター。」
「え?」
困惑する飼い主を横目に、大きな肉を頬張った。
「おいしい!」
「もう!モンスターなんて危ないのに近づいたらダメだからね!」
少し飼い主に怒られたけど、楽しかったからよし!
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3話なう。