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剣豪「んで、お前が黒幕って訳か」
最奥のさらに奥。紫の長い髪を揺らし、光の無いうつろな目をした人物と剣豪は対峙していた。彼女こそがダンジョン地方のモンスター異常発生の元凶。人生終了だ。
剣豪「悪いことは言わねぇよ。あの四人を解放しろ。んで、天使と悪魔に会ってこい。あいつら、心配してたぞ」
人生終了「……」
剣豪「……ま、言葉が通じるなんて思っちゃいねぇけどな!」
剣を抜いた。
剣豪「特別だ。お前が地獄に来る前にこの俺が可愛がってやるよ」
人生終了に斬りかかる。確かに人生終了に当てた。しかし、硬い。剣豪の一撃を受けても、無傷だ。
剣豪「(魔法のバリアを体に密着させている、といったところか……しかし、不気味な奴だ)」
ガンッ! ガンッ!
剣豪「(どれだけ攻撃を当てようとびくともしねぇ。のらりくらりとやられている感じだぜ。こりゃジリ貧だな)」
その時。
「『ファイアバレット』!」
聞きなれた甲高い声と共に無数の炎の弾丸が飛んでくる。そして、その光の奥から影が飛び出す。
雷神「『避雷針』!」
大剣を人生終了目掛け振り下ろす雷神。
風神「剣豪君!」
風神の声で剣豪が振り返ると、そこにはジェネラルや魔法少女もいた。
魔法少女「剣豪さん⁉ 私達より先にここに……⁉」
剣豪「余計な事言うな。この不気味な女ぶっ飛ばしてくれ」
魔法少女「言われなくても! 『アイスフィールド』!」
地面が凍り付いていく。やがてその氷は人生終了の足を凍り付かせた。
ジェネラル「『炸裂弾』」
ジェネラルの弾丸が、動きを封じられた人生終了に襲い掛かる。着弾した瞬間、弾丸は大爆発を起こした。しかし、巻き上がる土埃の向こうではまだ立っている影があった。なんとまたしても人生終了は無傷だ。
魔法少女「何あれ! 何なのよあのバリア!」
人生終了がゆっくりと手をあげる。
人生終了「『ぺぱいとす召喚』」
とたん、辺りがオレンジの光に包まれた。小規模な太陽が、辺りを焼き尽くす。先ほどの氷など、蒸発してしまい跡形も無い。
雷神「ぐっ……」
風神「『ウィンドフィールド』!」
魔法少女「『アイスフィールド』!」
風神と魔法少女がフィールドを張ると、少しだけ、ほんの少しだけ涼しくなった。
魔法少女「(……! もしかしてあれって……バリアじゃないんじゃ……? だとすれば……!)ジェネラル!」
ジェネラル「何だよ」
魔法少女が何やら耳打ちする。
魔法少女「行けそう?」
ジェネラル「……やってみる価値はあるな」
ジェネラルがライフルを構えると、まだ残っていた先ほどの恐ろしい弾丸を発射した。狙いは口だ。
ドカーン!
爆風と共に、人生終了が吹き飛ばされる。同時に、パリーンという音がした。
魔法少女の予想は的中した。
魔法少女「(そう。これは魔法のバリアじゃない。結界ね……それも塵一つ通さない超固いの……でもそうなると酸素も通さないから呼吸が出来るように鼻や口の部分は結界に穴が開いているはず……あの化け物なら簡単に狙えるはずよ!)」
土埃の向こうに人生終了が倒れていた。普通なら喉が千切れているはずなのだが、すぐに回復魔法でも使ったのか、首は繋がっている。やはり、気味が悪い。
そこに、剣豪が飛びかかる。
剣豪「『次元斬』!」
剣豪が、いつも背負っている二本の剣のうち紫の方を抜くと、空間を切り裂いた。すると、そこにブラックホールが現れる。少しずつ、人生終了が吸い寄せられていく。
しかし、完全に吸い込まれる前に人生終了はどこかへ消えてしまった。
剣豪「待て!」
剣豪の声も虚しかった。追いかけようとしたが、後ろからのドサっと言う音で諦めた。後ろで魔法少女とジェネラルが倒れていた。剣豪は急いで仲間の元へ向かった。
剣豪「魔法少女! ジェネラル! 大丈夫か⁉」
風神「……大丈夫。二人とも生きてるよ。私の魔法でみんなホームまで送るよ。そしたら楽でしょ?」
風神がそう言うと、すぐに洞窟が見えなくなった。
風神「着いたよ」
風神は魔法少女に魔力を分け与えようとするが、うまくいかない。
風神「……ダメだ……これカラカラすぎて魔力あげるだけじゃダメなやつ……」
剣豪「……とりあえず冬乃呼んで来るか」
冬乃「うわぁ……死屍累々ですね……魔力切れ……はよくわかんないですけど薬で大丈夫なんですよね?」
冬乃が回復薬を持ってやってくる。
雷神「うん」
冬乃「ジェネラルさんの方は……あぁ……熱中症っぽいですけど……でもこの季節で熱中症?」
雷神「あー……まあ心当たりはあるから大丈夫」
冬乃「大丈夫って……まあ意識はあるか……取り敢えず医務室まで運ばなきゃ……」
なんとか三人を医務室まで運ぶと、今度は手当てという激務が待っていた。巫女の回復魔法の力も借りながら手当てを終えると、辺りは暗くなっていた。
冬乃「ふぅ……これでなんとか……ごめんねこんな遅くまで付き合わせて。見たくもなかったでしょ。」
巫女「いえ、そんな。でも、ダンジョンがどれだけ過酷なのか、よく分かりました」
冬乃「過酷って……そもそも私には、喜んで戦いに行くその精神がわからないな。何でわざわざ痛いことされに行くんだろう?」
巫女「……実はですね……冒険者って結構高給取りなんですよ」
冬乃「えっ⁉ それで⁉ 戦いに行くの⁉」
巫女「はい。ほら、ギルドの依頼って個人からのもの少ないですよね? だいたいどこかの会社とか、国とか自治体とか」
冬乃「本当だ……それで金は有り余ってる訳か……」
巫女「それに、モンスターとかって結構国の平和に直結するので結構冒険者は優遇されてるというか……」
冬乃「へぇ……えっ? じゃあうちの依頼料って……冒険者ギルドがどれぐらい取ってるかは知らないけど……あれって……」
巫女「個人の依頼もあったりするんですけど個人から取ってる額としては結構……これでもギルドと同じか少し安い位で……」
冬乃「うわぁ……なんか闇見ちゃった」