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お正月を実家でゆっくり過ごした私は、久しぶりに身も心もリフレッシュできた。
両親も、おじいちゃんもおばあちゃんも……
結婚が破談になったことに対して、特に何も言わずに私を迎えてくれ、家族にはいっぱい励まされた。
おせち料理やたくさんのご馳走も、心から美味しい……と思えた。
「また、時々、帰ってくるね」
私は、お礼に、貯金の中からみんなにお年玉を渡して、実家からマンションに戻った。
「ただいま」
誰の返事もない。
1人なんだから当たり前だ。
来週、私はバイトを始める。
それまでは少しゆっくりしよう。
その時、真奈から電話が入った。
「真奈、あけましておめでとう」
「柚葉! おめでとう~。今年もよろしくね。お正月、実家でゆっくりできた?」
「うん、すごく楽しかったよ」
「そっか、それなら良かった。バイトもうすぐだよね?」
「うん、来週からなんだ」
「真奈は、明日から仕事だよね」
「ほんと、もう少し休みたいよ」
真奈は、ずっと柊君の会社で頑張っていくんだろう。
ちょっとうらやましい。やりがいのある好きな仕事を辞めるのはつらかったから。
とにかく年末までのプロジェクトが無事に終わって、やりきった感はあるけど……
やっぱりすごく寂しかった。
「真奈、本当にありがとうね。いろいろ助けてもらって。バイトも真奈が良介君に頼んでくれたおかげですぐに採用になったし」
そう、私のバイト先は、真奈の彼氏が働くカフェ。
家から近いし、知ってる人がいるだけで安心できる。
真奈があのカフェを勧めてくれて、本当に良かったと思ってる。
「もし、良介が悪いことしてたら報告してよね」
真奈が笑いながら言った。
「良介君はそんなことしないよ。本当に真奈のこと大好きなんだから」
それから少し話して、電話を切った。
真奈と話してたらいつも無条件に元気をもらえる。
大切な友達がいることに感謝が溢れた。
数日が経ち、いよいよバイト初日を迎えた。
「おはようございます。こちらは、今日からバイトで入ってくれる間宮 柚葉さんです」
店長さんが、私をみんなに紹介してくれた。
ちょっと年上の、感じの良い紳士的な雰囲気の店長さん。怖い人じゃなくて良かった。
「間宮 柚葉です。どうぞ、よろしくお願いします」
一通りみんなの自己紹介が終わり、私は良介君に仕事を教わることになった。メニューを覚えたり、接客を少しずつさせてもらったり、新しい仕事に必死で取り組んだ。
良介君もとても親切に教えてくれるし、周りのバイトの人も、お客として来ていた私を覚えてくれてたりして……
みんな気さくに話してくれるのが有難かった。
まだ始まったばかりだけど、仕事することは好きだし、すぐに慣れそうな気がして、ここなら頑張れると思った。
本当に真奈と良介君に感謝だ。