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12. ◇嫌な女になる
私は夫から何を言わせたいんだろう。
なんで思ってもないことを、こんなにスラスラと口から吐き出して
るんだろう。
なんか自分で自分を制御できない状態になっていた。
「私が知らないでいれば、啓吾、当分このままの立ち位置でいたかもしれないし、
そうしたらその内彼女との関係も消滅してたかもしれないのに……。
私ったらまずいことしちゃったんだ。
啓吾から『自分は疲れていてしばらく帰省できないけど――――
だからって私だって仕事もあって祖母の介護もあるんだからわざわざ来なくていいよ』
って言われてたのにねぇ? 」
あらっ、やだ……私もしかして皮肉言ってる?
何か嫌な女になってるぅ。
不味いカモカモ。
だけど私の口はそこで止まらなかった。
ギャッ、ヤバイ!
「そうじゃないよね?
あの綺麗な女と一緒に暮らし始めてたからっていうのが
本当の理由だったんだからね」
「いや、その……一緒に暮らしてはない……」
と言いかけた夫の話を遮り、私は追及の手を緩めなかった。
すごいなぁ~、私やるじゃん。
やれる自分にちょっぴり惚れたわ。
「隠さなくていいよ。
もうバレてるんだってばぁ。
私今日、あなたの部屋に入れてもらおうと思って管理人に
鍵を貸してくれるよう頼んだの。
そしたら胡散臭そうに『あなたが奥さんっていうのはおかしい』
ってはっきり言われちゃった。
『奥さんはあなたじゃない』って!
あなたのほんとうの奥さんを知ってる口ぶりだったから、何がなにやら
最初は頭こんがらがりそになったけど、あなたたち2人がまるで恋人のように
エントランスに入ってくる姿を見て、|トロイの木馬(鈍い私)な私でも
さすがにその意味するところが理解できたわよ。
あっ、ごめんなさい私ばっかり話しちゃって。
続きどうぞ……」
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