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13. ◇情熱的なんだね
「君に対しては何の不満も不足もない。
俺が、その……全部悪いんだ。
俺の職場に彼女が入って来て、そんなに人手のある職場でもないから
当然内勤同士話したりする機会がたくさんあって、気が付いたら彼女に
惹かれてた。
彼女は大山貴理といって、バツいちで男の子ふたりの母親なんだ。
元夫が親権を握っててあっちが育ててる状況。
彼女、いずれは子供たちを引き取りたいって言ってる。
彼女の元夫はひどいDVする奴で、かなり苦労している女なんだ。
子供も奴に取られてしまって、悲しい想いをしていてね。
それに1人娘で年老いた両親もいて、いろいろと気苦労の耐えない人なんだ。
だから、支えてあげたいと思ってる」
啓吾が彼女のことをたくさん私に教えてくれる。
へぇ~、そんなの……っていう態度で聞いている私に
次から次へといろいろ教えてくれる。
『それって、同情をかうっていう戦法なの? 』 と聞いてみたら、
啓吾は何て答えるだろう。
……なんて想像しながら、口を挟まず夫にそのまま続けてしゃべらせた。
最初のほうはちゃんと聞いていたけど、途中であほらしくなってきた。
そのため、耳が夫の話を受け付けなくなって困ったけど、私は他ごとを
考えながらその場を漸よう凌いだ。
私が、聞きながら考えてたこと。
その大山貴理とかっていう美女がブサいくな女性だったら?
それでも支えてあげたいと思ったのかな? とか……。
まぁ、不細工ではないにしてもただの中年女性だったら?
そんな不良物件横目で流してたんじゃなぁ~い? とか。
ひとしきり話し終えた啓吾は、私に突然土下座した。
あまりのことで、私は面食らう。
すごいっじゃない――――
あの女のために、あの美女びじょと暮らすために、ここまでするんだぁ~
情熱的なんだね啓吾。