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🐱side
カーテン越しの光で目が覚めた。
……知らない天井。
一瞬で思い出す。
昨夜帰らなかったこと。
ふみくんの家で夜を超えたこと。
身体は……なにもされてない。
触れられてもいない。
なのに。
胸の奥だけが妙に重い。
fm「起きた? 」
キッチンの方からふみくんが顔を出した。
もう着替えている。
いつもの”表の顔”に近い。
ym「……おはよ」
俺がそう言うとふみくんは一瞬だけ目を伏せた。
fm「コーヒー飲む?」
ym「うん」
それだけの会話。
でも昨日までとは明らかに違う。
テーブルを挟んで向かい合う。
距離はあるのに空気は近い。
ym「……昨日」
口を開く。
ym「俺、来てよかった?」
ふみくんはすぐには答えなかった。
カップを置いてからゆっくり言う。
fm「正直に言うね。」
ym「……うん」
fm「嬉しかった」
その一言で胸がきゅっとなる。
fm「でも」
続く言葉に身構える。
fm「これ以上曖昧にできなくなった」
視線があう。
fm「昨日、ゆうまが来たことで俺の中で線がひとつ消えた」
ym「……線?」
fm「”まだ引き返せる”って線」
静かな声。
fm「今まで仕事と恋人を分けてるつもりだった」
「でもそれがもう危うい」
俺は唇を噛んだ。
ym「……俺が、悪い?」
fm「違う」
即答だった。
fm「悪いとかじゃない。ただ――」
一拍。
fm「このままだと俺が外で平気な顔できなくなる」
その意味が重くのしかかる。
fm「だから決める」
ふみくんははっきり言った。
fm「しばらくプライベートでも距離をとる」
ym「……え」
fm「別れる訳じゃない」
すぐに続ける。
fm「でも”会いすぎない””触れすぎない”」
「ゆうまを守るためでもあるし俺自身のためでもある」
指先が少し震えた。
ym「……それ、耐えられると思ってる?」
小さく、でも本音。
ふみくんは少しだけ苦笑した。
fm「耐えられなかったら」
視線が真っ直ぐ来る。
fm「その時は全部捨てる覚悟で向き合う」
重すぎる言葉。
何も言えなかった。
fm「…今日は先に出て」
立ち上がりながら言われる。
fm「俺と一緒に出ると勘のいいやつに気づかれる」
ym「……分かった 」
玄関で靴を履きながら振り返った。
ym「ふみくん」
fm「なに」
ym「…俺煽りすぎた」
初めてちゃんと認めた。
ym「ごめん」
ふみくんは少しだけ目を細めて言った。
fm「分かってる」
「だからちゃんと好きでいて」
それだけだった。
ドアが閉まる。
道を歩きながら俺は思った。
ym(距離を取るって)
(…一番怖いやつじゃん)
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