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ちびちゃんside
次の日。
貴方は目を覚ます。朝の肌寒さは季節関係なく広がっており、嫌でも貴方の目を覚ます原因となるだろう。
ちび「・・・朝が来たぁ。あ、天翔。」
隣で眠っているのは、貴方の大切な家族である。天翔の体にはタオルがかかっておらず、今の気温に合わない格好だった。真っ黒いピシッとした服を着た上級身分達が鼻をすすりながら前を通り過ぎていく。
ちび「っもう、天翔風邪引きますよ〜。」
貴方が天翔にタオルを掛けようと天翔の体に触れた途端、貴方は妙な感覚に襲われる。
周りから音が一切なくなったと思った直後、聞いたことがない音がした。
ピコン、ピコン
ピリリン、ピリリン
耳鳴りがひどく、突然こんな状況になり理解が追いつかない。声も出せず体も動かない。視覚情報からわかるのは、昨日見たキラキラと光る壁と、手術台の上で隣で血に濡れた服を着て寝ている天翔だった。元の色さえ判別できないほどに服は赤黒く、それとは対照的に肌は白かった。
ここでノイズがはしり、目を開けるといつもの光景だった。街の建物の端には自分たちと同じ下級身分が、裕福な暮らしができない分周りと協力している姿。そして、隣には天翔がいる。変わらない日常のはずだ。先程の光景がまるで嘘のように面影を感じさせない。
ちび「天翔!起きて!起きてください!」
天翔「・・・っえ、?おはよう。ちびちゃんどうしたの?朝からそんなに大きな声出して。」
ちび「、、夢とかは見ませんでしたか?」
天翔「え?夢ですか?見てないけど、、何かあった?」
ちび「・・・良かった!ちょっとうなされてたから、怖い夢でも見てると思って!」
天翔「あ、そうだったんだ。ありがとうちびちゃん。」
ちび「全然!起こしちゃてごめん!」
昨日の出来事が少し蘇っただけ。明日からは普通の生活に戻る。今日だけ。今日だけ。
貴方は自分に言い聞かせるように過ごした。でも、何も変わらなかった。
次の日も、
また次の日も。
あの現象が日に日に小刻みに起こって、その度に壁は大きくなって。貴方は心に限界を迎えていた。でも、
ちび (天翔には、心配かけたくない。)
この気持ちだけは変わらなかった。だから貴方は体調が悪くても、視界がぼやけても、音が聞こえなくても
“大丈夫なフリ”をした。
天翔side
ちびちゃんがおかしいことに気づいたのは、あの日の次の日。ちびちゃんの顔色は悪く、我慢をしているのがすぐ分かった。一点を集中して見ていたり、目を逸らしたり。明らかに様子が変だった。でも、それをちびちゃんは隠す。貴方は、詳しく聞く勇気がなかった。自分が知られたくないことが知られていたら、と思ってしまうからだ。
天翔「ちびちゃん、大丈夫?」
こんなことを聞いても意味はない。だって返ってくる言葉は一つだけ。
ちび「全然大丈夫!」
そう言って街に走っていってしまう背中を見た。
ちびちゃんは我慢するから。全て自分だけで抱え込んで、周りに心配をかけないようにしているから。
ふと、貴方はちびちゃんに異変があった日を思い出した。あの日は上級身分に会って、お菓子をもらって、ご飯を集めていた。そういえばあの日から変な壁が見え始めたとちびちゃんが言っていた。
天翔「こうなったのって、あの上級身分のやつが来てからだよね。あの人なら何か知ってる、!」
天翔「ちびちゃんに無理させないようにしなきゃ。」
ちびちゃんside
街に着いた貴方は、人がなるべくいない場所に行くことにした。あの現象が起こったとき何かと不便で怪しまれるから。貴方は上級身分が多い通りに移動し、物陰に隠れた。すると、近くから上級身分と思われる話し声が聞こえてきた。
上級「ねえ聞いた?王様、死の真実を下級身分に伝えようとしてるっぽいのよね。」
上級「ええ〜そうなの?それで上級身分を増やそうとしてるんじゃないかしら。」
上級「ありえるわね〜。」
ちびちゃんは”死の真実”という言葉、上級身分を増やそうとしているという言葉を聞き、この街に何かが起こっているのではないかと感じる。
ちび「真実ってなに、?あー、我慢して辛くなってきた。天翔、大丈夫かなぁ、?」
貴方がそのように独り言を呟き、目を瞑る。すると、あの音が消える感覚、くらっと体から力が抜ける感覚、覚えがあった。次に目を覚ますと、
ピコンピコン、ピリリン、ピリリンと音が鳴る。貴方を悩ませる原因である、光っている壁の中だろうか。そして貴方の目と鼻の先にいるのは、
シア「やあ、下級身分さん。」
ちび「天翔!?シアベアさん、天翔を返してください!」
シア「その前に、感想を聞かせてくれよ。あのカップケーキはどうだったかな?まあ、君の様子を見ていればしっかり機能しているのは伝わるよ。」
ちび「なんの話ですか?」
シア「ああ、気づいてなかったのか。君に食べさせたあのカップケーキには、薬が入っていたんだよ。」
ちび「薬、?」
シア「この街の真実を、君たちに伝えようとしていたんだよ。」
ちび「街の真実?っあ、」
ちび「あの方々が言っていた下級への真実って、私たちのことだったんですね。じゃあ、王様っていうのは、、」
シア「そう、私のことだ。最近上級身分が日に日に減ってきていてね。下級身分にこの街の真実を伝えて上級身分を増やし、街を保とうとしているんだ。」
シア「、、上級身分とは、死ぬ以外に減らないんだ。だから、その原因を調べてみた。そしたらね、驚いたことに君といつも一緒にいるこの子が殺しまわっていたとは!」
ちび「天翔がそんなことするわけない!!」
シア「しているんだよ。具体的にいえば”勝手にしていた”なんだけどね。まあ、この子は気づいていたみたいだけど、」
ちび「勝手にしていたって、、」
シア「知りたいかい?でも、これはこの子に関係することを全て言うことだ。知ってしまったら、君は上級身分となってずっとこの街にいなくてはならない。勝手な行動は許されない。どうする?」
ちび「、、聞きたいです。天翔は、何があってこんなことをしているのですか?」
この世界は、ただの世界ではない。この世界は、私たちが知らない世界で使われている物
の中にある世界だ。ここでは、キャラクター「主人公」というものを操作できる【プレイヤー】がゲームを攻略していく。その操作されている主人公が
シア「君だ。ちびちゃん。」
天翔「私が主人公?」
そして天翔は、ちびちゃんを支えるゲームキャラクターでプログラム通りに動く。つまり意思がない。
“はずだった”
天翔は、君と過ごすうちに意思・気持ちを持つようになってしまった。あっちの世界でいう〔バグ〕だ。そのせいで、プログラム通りに進むはずの物語が進まなくなって、天翔がプログラム以外に好き勝手行動できるようになった。
シア「天翔は、両親を上級身分に殺されている記憶を持っていてね。両親を殺した上級身分を殺す、という元あるプログラムは作動していて、小さい頃から上級身分を殺していたんだ。天翔の意思とは関係なく。」
シア「それを止めるのが君、主人公の役目なんだけど。さっきも言った通り、プログラム通り物語が進まなくなった。だから、君にはここを守ってもらうため【真実の薬】を与えた。君は今、上級身分になった。つまり天翔に命を狙われる立場だ。君も含め、この街が助かるには、
以外に方法がないんだ。」
シア「さあ、君はどっちを選ぶんだ?」
ちび「、、私は、」
コメント
2件
投稿お疲れ様です♪ す、凄すぎます…天翔様…そうだったのですね… 頼むよそこの世界の私!天翔様を守ってくれー!😭 2日連続投稿大変お疲れ様です!