⚠注意⚠
・死ネタです
(ピーーーがピーーーのこと○します)
ここから本編⤵⤵⤵
電車やバスに乗ったあと少し歩き、辿り着いたのは勿論遊園地だ。ジェットコースターやコーヒーカップなど。カラフルな見た目をした乗り物が沢山あり、子供から大人まで楽しめる遊園地となっていた。渡されたパンフレットを覗き込み、どこから回ろうか、と話した。
『全部回って見せようじゃないか!』
「そうだね、ところで司くん」
『む、なんだ?』
「僕は少しお腹が空いていてね、あそこに美味しそうなソフトクリームがあるのだけれど、君もどうだい?」
『おお!いいな!』
まずはソフトクリームを食べることにし、近くの売店へ寄った。類はソフトクリームを2つ買い、綺麗にできた方の1個をオレに渡してくれた。最近気づいたことだが、類はこういう優しさを例え最悪な関係になったとしても捨てることは無かった。オレの嫌がることは、余程のことがない限りしない。類が唯一守ったラインがそれだった。それを優しさと呼ぶのは消極的すぎるかもしれないけど、今思えば類は、そういう類の優しさばかり出す人だった。それがこんな関係になってからなのかもしれないが、今のオレの記憶の中にいる類はそういうやつだった。
⭐⭐⭐
ジェットコースターからのメリーゴーランド、ミラーハウスからコーヒーカップに至るまで。およそ人が遊園地に求めるものを全て堪能したはずなのに、それでも観覧車は圧倒的な素晴らしさを誇るものだった。順番にゴンドラに乗り込み、中から外の景色をみた時に思った。様々なものがライトアップされ、更に遠くには住宅街の明かりなどが灯っている。
『………綺麗だな』
「そうだね、高いところから見る景色はやっぱり綺麗だと思うよ」
下手くそな作り笑いで外を見る類を、綺麗だなと思った。
『……………類』
「なんだい?」
『オレ、類のことが好きだ』
いつから?そんなのは覚えていない。気づいた時にはもう好きだった、なんてつまらない言葉だとは思う。でも、実際そうなんだから仕方がない。演出案を優しく擦る姿を見て。唯一守ってきたラインを未だに守る姿を見て。心のどこかではときめいていたんだな、と類を見て気づいた。美しい横顔は、綺麗だなんて言葉じゃ表しきれないほど綺麗だった。
「…奇遇だね、僕もだよ」
こちらを見ずにそう言った。これも守り続けてきたラインなのか?と思う。そんな見え透いた嘘なんかに、守るも何も無いのに。
本当は殺したいくらいに思っているだろうに。
ゴンドラを下りると、雨が降り始めた。来た時から少し空は曇っていたし、仕方がないと思う。
「司くんは傘もってきているかい?」
『いや、持ってきていないぞ。そういう類はどうなんだ?』
「フフ、僕もだよ」
スマホで近くに何か無いかと2人で調べた。少し歩けばホテルがあるらしいので、そこで雨宿りすることにした。
⭐⭐⭐
2人で雨に濡れながら入ったホテルは防音性に優れていて、部屋の中に入ってしまえば何の音も聞こえなかった。まるでシェルターのような部屋だった。
先にシャワーを浴びた類は濡れたまま、顔を出した。
『お前…!ちゃんと拭け!!これで風邪ひいたら意味が無いだろう!!』
「ちょっとぐらい大丈夫だよ」
大人しく座ったままケラケラと笑っていた。何故かそれを見て悲しくなる。最近は涙腺が弱く、些細なことで泣きそうになってしまうが、それを堪えて髪を拭き続けた。
濡れた髪も乾き、ありがとうとお礼を言う類を引っ張ってベッドに倒れ込んだ。部屋に置かれていたベッドは大きく、男子高校生2人が並んで寝ても狭くはなかった。広い、という訳でもないが。
「シャワー浴びなくていいのかい?」
『…後で浴びる』
「しなそうだね」
寝転ぶの上に跨ぎ、白く細い首元へ両手をかけた。
あの日からどうするべきかずっと考えて、辿り着いた答えはこれだった。「死にたい」と吐き出された言葉を頭の中に溜めておきながら、オレは今日を楽しんでいたのだ。心の底から、とかはもうどうでもいい。これはこれで素敵な思い出になったし、嘘でも楽しめていればいい。
「……そうかい」
類はそう言って、目を閉じた。諦めたのか、それとも受け入れたのか。こればっかりはわからなかったが、わからない方が良かったのかもしれない。類が目をもう一度開けたのを合図に、両手に力を加える。顔を歪ませ、苦しそうな顔をする類を見ているのが辛くて目を逸らす。
もっと、もっと。
ちゃんとしなければ、殺せない。ここまで来て中途半端に終わらせるのは良くない。
そう自分に言い聞かせて、両手に更に力を加える。類の星のように黄色く細い目から涙が溢れ、口元からは唾液が垂れた。息ができないのに必死に息しようとする類の口から、何の位置も持たない呻き声が漏れた。今すぐにやめたいが、やめられない。逸らしていた目を戻す。歪んでいた類の顔は、嬉しそうな笑顔に変わっていた。ありがとう、とでも言うかのように笑って。それでもうダメだった。堪えてきた涙は溢れ出し、枯れることを知らずにただただ流れ続ける。痛む指の力を抜き、そっと手を離す。一体どれくらい力を込めていたのだろうか。真っ赤な跡が残った類の首元に触れると、温かくも冷たくもない温度が伝わってくる。無表情のまま目を閉じ大人しくしている類を抱きしめ、出てきてしまいそうな声を必死に堪える。
『ごめんな、類……………』
コメント
3件
ちょっ誰かティッシュ取って、((