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さて、お店に向かって電車でGOだ。
池流と鍵留も興味があるとかで今回は付いてきた。
自分達のお金が正しく使われるかという監視ではないと信じたい。
二十~三十分に一度の電車に揺られて二駅、徒歩十五分。やってきました公式装備販売店。
目星を付けていたランクアップカードは取りおきを頼んでいたので良いとして、フェアリーは…… あった。お値段五十三万。値上がりか。あと二万まで大丈夫だったけど危ないところだった。スキルオーブは丁度良いのが無かったので今回は見合わせた。今回はその分装備に回そうと思う。
取り急ぎレジにて精算。お買い上げ完了。一安心である。
精算後に裏の神社に予約内容に契約の追加をお願いしたところ、時間的に問題なかったようで受け入れてもらえた。
神社のスケジュールによっては深夜まで覚悟していたので助かる。
年末の忙しい時期に無理をお願いして申し訳ないので次に使う時は奉納品を持っていこう。
予約時間まで余裕があるので一旦店に戻り二人に話しかける。
友人二人の様子を見ると、池流は武器売り場、鍵留はカード売り場にいるようだ。
池流は試着コーナーで剣の素振りをしていた。試着コーナーといっても、服の試着室+フェンスで覆われた試しに動けるスペースがあるので結構広い。地下には射撃用のスペースもあり、ここでは少数ながら実銃も売られている。
「なぁ、守は銃を撃てるのか?」
「撃てない。要許可証・要試験・要訓練」
俺だって安全確保の為に最初は銃を使いたかったのだよ。だがしかし、
1.銃保管の要件を満たして審査を受ける。
2.1が合格できたら筆記試験二回・面接一回
3.2が合格できたら一ヶ月分の講義と訓練、最後に実技試験
4.3が合格できたら許可証発行
まず所持の許可証取るだけで、これだけの手続きが必要なんだ。
さらにダンジョン向けの銃となると輸入しないと実用的な物が無いので、追加で輸入手続き・審査・輸入待ち……
待ってられるかあああああ!!!!! 半年以上確実、下手すれば一年掛かるわ!
手に入れる前も手に入れた後も二桁万円の金が掛かるし、泣く泣く諦めた。金が出来たら絶対取るけどな!
弓はまともに撃てないし、ボウガン・クロスボウはまともに使えるか分からなかったので今まで使わなかった。
そう、今までだ。バルクさんは自分にはまだ不要と言っていたが、佐助と剛武と俺は今までの経験から多分使えるようになると思う。
阿吽の呼吸で何も言わずとも連携を取れるようなレベルではないが、事前に打ち合わせて訓練すれば戦闘前の先制射撃位は出来るはずだ。戦闘中は俺だけが使うことで誤射の発生を防げれば、いいなぁ(目そらし
ボウガン本体・持ち運び用ケースバッグ・ショルダーベルト・予備の矢百本。これらを三セット併せて十八万円で購入。
ついでに剛武に渡している金属メイスはそのままでいいとして、自分用のメイスの代わりに対モンスター用の特殊警棒を試しに三万円で追加購入。装備が増える分、軽量化を計りたいし。
防具は最初に良いのを買っているし、今回は買い替えの必要は無いだろう。強化は…… うん、いつ出来るんだろうね。
軍用の金属製ヘルメット・ガスマスク機能付きフルフェイスガード・防刃防刺服+首周りまで防御する警察の特殊部隊用のボディアーマー・指周りの稼動を重視した手甲付きハンドガード・米軍採用実績ありのダンジョン仕様の改造コンバットブーツ。
当時、手の届く範囲で良いのを買ったらこれだけ揃った。その分武器が割りを喰った形になっていたが。
一回支払いをした所で池流が、
「さっきも見たけど万札を束で支払うってスゲーな」
「俺も最初は手が震えたよ。今でも仕事だから見たいな感じでやってるけど、そうじゃなかったらいつもは万札での買い物はすげー悩む」
「だよなー」
「で、池流は剣振ってたけどどうだった?」
「うむ、良くぞ聞いてくれた。実は江戸時代から当家に伝わる三地流剣術があってだな」
「出典は民○房書店かな?」
「知ってるのか、守!」
アホな遣り取りをしつつ、カード売り場にまだいた鍵留に近づく
「何か気になるのでもあった?」
「おお、お二人とももう時間ですかな?」
「いや、時間はもう少しあるよ」
「そうでござるか。いや、冒険者ではない拙者だと普段冒険者用品店に近づくのは躊躇われるものでしてな。今日は久しぶりに来たので心がピョンピョンしているのでござるよ」
「さよーでゴザルか」
「うむ、いかにも。それでは拙者はもう少し見ているので時間になりましたら声を掛けていただきたいですぞ」
「了解」
「んじゃ俺ももう少し見て回るわ」
そうしてカード売り場を見て回る。
今回買ったランクアップ用のカードはFランク。
冒険者の間では召喚モンスターは挑戦するダンジョンランクの一つ下のランクまでは通用する事もあると言われており、Eランクにはギリギリ挑む事ができると見てもらえるだろう。イベントではそれを証明できるように全力を出さなければ。
そして、Eランクに安定して挑めるようになるにはやはりEランクのモンスターが欲しいな、と思いながらカードを眺める。
中級になるとEランクを消耗品扱いする冒険者が多いようで、F・Gカードのようなダブつきはあまり無い。
不人気カード以外のストックがあまり多くないようで、Eランクのコーナーはすぐに見終わってしまった。
そういえばイベントの副賞はCランクモンスターだったなと思い、見てみるかと移動する途中でBランクのカードエリアに通りがかる。
カードが何枚か売れていたようで、前に来たときに見たカードが何枚か無くなっていた。
前に来たのが八月末だから…… 四ヶ月の間に数億、数十億のカードが何枚も売れたのか。
売れたのはなんだろう、えーと確かここにあったのがコレじゃなくて中国の仙人っぽいやつだったはず。武器の名前で、鉈だったかな? こっちにはたしかウル……ウルトラ? いや、ウルスラ何とかだったかな?こっちは覚えている。一目連だったっけ。何か妖怪みたいな名前だったから覚えているなぁ。おおぅ、ここには黄泉醜女があったはずだったのに無くなっている。売れたのか……
結局、時間が近づくまで俺も鍵留と同じようにカード売り場をうろついていた。
カード、いいよね……