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第九話「幹部・ザッド」
夜のビルの屋上。
古流斬とマフィア幹部・ザッドが向かい合う。
風だけが静かに吹いていた。
⸻
ザッドはゆっくり口を開く。
「古流斬。」
「いや……黒のランと呼ぶべきか。」
古流斬の表情がわずかに変わる。
「その名前で呼ぶな。」
ザッドは苦笑した。
「やっぱり、お前はまだ捨てきれていないんだな。」
⸻
ザッドの本心
ザッドは武器を構えない。
「俺は最初から気付いていた。」
「お前は誰も殺していない。」
古流斬は黙ったまま聞いている。
「報告書も、血の量も、現場も。」
「全部、不自然だった。」
⸻
「……それでも俺は黙っていた。」
古流斬は初めて驚いた表情を見せる。
「どうしてだ。」
ザッドは空を見上げる。
「俺も昔は、お前と同じだったからだ。」
⸻
戦う理由
「だが、ボスの命令は絶対だ。」
「俺は幹部として、お前を倒さなければならない。」
ザッドはゆっくり剣を抜く。
「来い、古流斬。」
古流斬もナイフを握る。
「……分かった。」
⸻
幹部戦
二人が同時に地面を蹴る。
剣とナイフが激しくぶつかる。
火花が散る。
ザッドは力で押し込む。
古流斬は速度と技でかわす。
屋上を縦横無尽に駆け回りながら激しい攻防が続く。
⸻
ザッドが笑う。
「強くなったな。」
古流斬も静かに答える。
「あなたが鍛えたからだ。」
一瞬だけ、二人は師弟のような空気になる。
⸻
決着
しかし、その一瞬が勝負を分けた。
古流斬はワイヤーを放ち、ザッドの剣を弾き飛ばす。
そのまま首元へナイフを突きつけた。
勝負あり。
⸻
ザッドは目を閉じる。
「やれ。」
だが古流斬はナイフを下ろした。
「殺さない。」
「俺は……もう誰も殺したくない。」
⸻
ザッドの決断
ザッドは静かに笑う。
「最後まで甘い奴だ。」
立ち上がると、古流斬に背を向けた。
「行け。」
「次は俺じゃない。」
「デッドが来る。」
「……あいつは手加減しない。」
古流斬は小さく頭を下げる。
「ありがとう。」
ザッドは振り返らず歩き出した。
⸻
ボスの怒り
その頃、マフィア本部。
ボスは報告を受ける。
「ザッド、敗北しました。」
部屋に重い沈黙が流れる。
ボスは静かに立ち上がる。
「ならば次は……。」
「デッドを出せ。」
その一言で、空気はさらに冷たくなった。
一方、遠くから古流斬の戦いを見ていたケイトはつぶやく。
「やっぱりあの人は……敵じゃない。」
古流斬の孤独な戦いは、さらに激しさを増していく。
――第九話「幹部・ザッド」 完
コメント
1件
第9話、一気に読み終えました!ザッドが「俺も昔はお前と同じだった」って言うシーン、すごく染みましたね…。組織の命令と自分の信念の間で揺れる感じ、重かったです。それでも古流斬を逃がすために背を向けるザッドの決断、よく分かります。次は「デッド」か…どんな奴なんだろう。続きが気になります!