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「……ん……?」
律の瞼がゆっくりと開いた。
間近に華の顔があることに気づき、彼は一瞬だけ驚いたように瞬きをした。
「さ、桜坂さん……?」
「ち、違うんです! あの、その……起こそうと思って!」
声が裏返り、華は慌てて腕を引き抜いた。
頬が熱くなるのを隠すように、背を向けて距離を取る。
律は寝ぼけたまま首を傾げたが、すぐに目をこすり、何事もなかったかのように資料を手にした。
「……すみません。少し、寝てしまっていました」
ぶっきらぼうな声色。けれど、その耳の先がわずかに赤く染まっていたことに、華は気づいていた。