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番外編
『甘やかして』
tg視点
tg …うぅ、あっとくん…
声がかすれて、鼻も詰まって、もうぜんぶしんどい。
体も熱っぽくて、頭もぼーっとする。
ベッドの中でうずくまってたら、
ピンポーンって玄関が鳴って――
at …来たよ、ちぐ
ドアを開けたら、マスクをつけたあっとくんが立ってた。
その手には、ポカリとゼリーと、俺の好きなプリン。
tg え、な、なんで……?
at 具合悪いって、メッセージで言ってたじゃん。来るに決まってるでしょ
tg で、でも、俺…ぐちゃぐちゃだし…寝ぐせとか、顔とか…!
at それでも、可愛いけど?
tg ~~~っ!!
ばっと布団をかぶる俺に、
くくって笑いながら、あっとくんが近づいてくる。
at ほら、水飲んで。熱も測ろ?
tg うぅ、あっとくんが天使に見える……
at うん、ちぐが可愛いのが悪い
tg そんなこと言って……風邪うつっても知らないもん……
at うつるなら、うつってもいいよ。ちぐの看病できるし
そんなの、ずるいよ。
熱のせいじゃないのに、顔がどんどん熱くなる。
at ちぐ、汗かいてるね。拭くよ?
tg い、いいよっ…は、はずかしいし…っ
at よし、じゃあ2人で照れよう
tg ~~~っ!!
額に冷たいタオルが当てられて、
その手がとても優しくて、指先が俺の髪をすっと撫でてくれる。
at ちぐがしんどいと、俺もしんどい…元気になってほしい
tg うん、あっとくんがいるなら、俺すぐ治る気がする……
at …んじゃ、お薬、俺だよ?
そのままあっとくんが、ちょっとだけ顔を近づけて。
おでこに、ちゅってキスをくれた。
at 回復魔法。効果はばつぐん
tg だいすき…あっとくん、だいすき…
風邪なんて吹き飛ぶくらい、
あっとくんの“好き”が全身に染み渡る。
――甘さで治る風邪って、あるんだよ。