テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
なんてことを不思議に思いながら、料理を作っているともう作り終わりました。
ダイニングへ料理を運び、リビングに居る皆さんを呼ぼうとドアの前に立った時、声が聞こえてきました。
『炎利、炎加、颯太』
『三人ってさ、吉の先代…………英厳(ひでのり)のこと、嫌い?』
仏華の真面目そうな声。
『ん〜、なんとも言えないなぁ。僕は、ほとんど、お姉様…………仏華の姉さんで先代の、西華に育ててもらったし』
いつも通りの呑気そうな炎加の声。
『俺は、あんまり思い出したくないかなぁ』
多分まだ寝転んだままの颯太の声。
『俺は、嫌いです。あんなドール』
いつもより少し低めの声で話す炎利。
あぁ、矢張り、あの頃の俺は、嫌われているんだな。俺は、好かれていないんだ。
私でなければ、いけませんね。
『だって、』
『じゃあさ!jeの先代の、西華は?』
炎利が何か言いかけた時、仏華が遮るように話題を変えました。
良かった。仏華が話題を変えてくれたおかげで、炎利からの、嫌いな所を言われて、傷付くことが無いですから。
『ん〜、何か、掴めないドールだなぁって思ってた』
半分適当そうに颯太はそう返しました。
『余り関わりが無いので、なんとも』
真面目な炎利らしい応えですね。
『ん〜〜、恋する乙女って感じだったかも』
炎加は相変わらず呑気に応えました。
恋する乙女!?!?あの頃から彼女は私と両片想いしてたんですか。随分と長い片想いを二人でしていましたね。
『聞かなきゃ良かった』
ポツリと仏華はそう呟きました。
今更ですが、聞き耳を立てているとは、紳士のやることではないですね。少し気まずいですし、キッチンに戻りますか。
そうしていると、いつもより遅い私を心配してという名目で仏華は此方に逃げて来ました。
「吉、ううん」
「英厳。私、どうしたら良いのか時々、分からなくなるんです。過去の事をあの子達に話したいけれど、怖いんです」
此処に来たのは、フランスさんのドールの仏華としてではなく、過去の、フランス王国さんのドールとして生きていた、西華として、来たようです。
どうやら、ご指名のようですね。
「私は、、、、、、、。俺は、今でも怖いさ。彼奴等に、嫌われているのは仕方が無いはずなのに。俺は、不器用、だよな」
自傷の笑みが溢れる。そう、炎吉と英厳は同一人物なのです。仏華と西華も同一人物です。
それから、長い一分の沈黙を続けてから、皆さんをダイニングに呼び、美味しくお昼を食べました。