テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
3,641
炭酸@サイダー🌠💙🎧️
1,857
千ト大好き日本好き
159
908
瑠「お…お邪魔します……」
眩「いらっしゃいー!!貴方が瑠衣君ねいつも仁から気いてるわ」
瑠衣の退院祝いをした日の帰り
未だあいつの処理ならなんやらで忙しいのは分かっていたので
あのとき話した通り飯を食わせる為に瑠衣を家に連れてきた
初めて俺の母さんを見てめちゃくちゃ緊張しているのが目に見えてわかる
零「ちょっと、眩ちゃん瑠衣君がびっくりしてるだろ」
眩「だって、仁がいつも…
仁「おい」
眩「はっ…そ、そうねこれは秘密だったね」
零「そうだよ、眩ちゃん、たとえ仁がいつも茶の間で楽しそうに瑠…」
仁「おい」
零「はっ…!」
瑠「?」
この2人のことはおいといて、俺は瑠衣の手を取り中に入る
仁「おっさん、ただいま」
杖「あぁ、おかえり仁」
瑠「………杖道…先生?」
杖「物怪くん…仁、話して無いのか?」
仁「忘れてた」
杖「はぁ…私は、司波家に居候している身なんだ」
瑠「そう…なんですか、だからいつも仁は『おっさん』って呼んでたんだ…」
杖「聞き捨てならんがな」
瑠「あはは…」
瑠衣を椅子に座らせ
キッチンに行き茶を人数分入れ机に出し
瑠衣の隣に座る
杖「せっかくなんだ、宿題の手伝いをしてやろう」
瑠「良いんですか?」
杖「あぁ、って言っても国語以外はそこらの生徒と変わらないぐらいだがな」
瑠「確か、杖道生徒は2年生の国語の先生なんですよね?」
杖「あぁ、仁の授業もしているぞ」
仁「毎回、授業の度に当てるのどうにかしろよ」
杖「すまないが、それは出来ない」
仁「ちっ……」
そういう会話をしていると、遠くから俺を呼ぶ母さんの声がする
杖「行ってこい」
仁「………はぁ、瑠衣そこで待ってろ」
瑠「う、うん…」
ーーーーーーーー
瑠衣視点…
そういうと仁は部屋を出ていった
部屋には杖道先生と俺……
あまり話したことのない先生だから…気まずい。
杖「物怪君…君の家については仁から聞いた。守る立場のはずなのに…守れず、申し訳ない」
瑠「え?!き…気にしないで下さい。隠してたので気づかないのはしょうがないですよ」
杖「いや、教師は生徒の少しの異変も見逃してはいけなかった…未来ある君達を育て護るのが私達教師の役目なのだ…だから、どうかこの謝罪を受け入れてほしい」
まっすぐとした目で頭を下げられる
初めての事だった
初めて…大人からちゃんと向き合ってくれたような気がした
そして、初めて…
大人がカッコいいと思えた。
瑠「……もちろん…こちらこそ、ありがとうございます」
この感謝がどういう意味なのかは自分でもよく分からない
でも、この人になら…この大人になら、自分の弱さを見せられると思った
きっと…支えてくれる
助けてくれると思ったのだ。
瑠「あの…あの人はどうなったか知ってますか?」
杖「あぁ、それは…少しだがな」
瑠「そうですか…」
杖「物怪君…話を聞いても良いだろうか?詳しく…」
瑠「…はい」
あの人のことについては俺もあまりよくは知らないんですが…
昔、母から言われたことがあったんです。
あの人は…
「産まれる場所が悪かった」
と…
ーーーーーーーー
16年前…
ユ「姉さん、聞いて!!私…やっと妊娠したのよ」
ミ「あら…やっとなのね、おめでとうユイカ」
私と姉さんは2歳差の仲の良い姉妹だった
私には華道を扱えるほどの才は無かった…それでも、勉学に勤しみ続けた
姉さんは産まれたときから華道の才があった。
この、物怪家を継ぐのは姉さんなのだ…
それは、私にとっても嬉しいことだった。
大好きな姉さんは誰よりも美しく華やかになってほしい。
だから、良かったのだ。
私と姉さんは政略結婚をした
もちろん、初めから愛し愛されていた訳じゃない
それでも…互いに年月を重ね
互いが互いを愛すようになった。
もちろん…子作りもしないといけない。
ただ…私は何年経ってもいまだに妊娠しなかった。
姉さんはすでに妊娠していたと言うのに…
焦りもあった…それに…それ以上に、才も無ければ子も出来ない…役立たずにはなりたくなかった。
子供は大好きだった。
きっと…この人との子なら愛せる自信があった。
そして…やっと……やっと、出来たのだ。
私とあの人との間に…小さな命が
幸せだった。
この人と共にこの子を愛して幸せに生きていこう…
そう…決意してすぐに……
ユ「事故?」
あの人が死んだ…
飲酒運転の車に跳ねられ死亡した…即死だった。
我が子の顔も見られるずに…亡くなってしまった。
悔しかった…悲しかった。
それでも…あの人が託してくれた命があったから…
なんとか、立ち直れたのだ
私1人でもこの子を愛してみせよう…
立派な子に…育ててみせよう……
何ヵ月もお腹に宿し
膨れ上がる腹…なにを食べても吐いて吐いて
辛くて…苦しくて……寂しい…
でも、諦めたくない…
我が子の顔を見たい…
この世界に産み落としてあげたい。
ただ…ただ…それだけだった。
母としての最大限の愛だった。
そして…
医「おめでとうございます…元気な女の子ですよ」
産まれた我が子は小さくて
暖かかった。
ユ「はじめまして……産まれてきてくれて…ありがとう。」
小さな小さな命…
少しの衝撃で壊れてしまいそうなほど…儚かった
ミ「おめでとう、ユイカ…」
数ヶ月経つと姉さんが来てくれた
妹の子を見たいと言われ、たまらなく嬉しかった。
姉さんの子は男の子
きっと、次の当主は姉さんの子なのだろう
それでも…良い
この子が幸せなら、母としては嬉しい
ミ「疲れているでしょう?…少し、休んだらどう?」
姉さんにそう言われたので…この子を姉さんに任せたのだ
たった…たった…2時間
今でもずっと後悔している。
あの時…姉さんにこの子を託さなければ良かった……
2時間の睡眠から起きると…周りが騒がしかった
使用人達が廊下を行ったり来たりしていた
ユ「どうかしたの?」
使「ユイカ……様…実は…」
ユ「姉さん!!!どういうことなの!!なんで…なんで……あの子に蜂蜜なんか食べさせたの !!!」
姉さんが私の子に蜂蜜を食べさせたのだ
産まれたばかりの子供にとって蜂蜜は毒
そんなこと、姉さんが知らないはずがない
救急車に運ばれた我が子…
診察を受けている間…姉さんを問い詰める
なんとか、言ってよ…黙ってないでよ
姉さんは目に光を宿さなかった
そのまま、不気味なほど…気持ちの悪い笑顔をうかべ
ミ「ごめんなさいね、でも、子供なんて、また産めば良いでしょ?それに、女の子なのよ?女なんて役に立たないじゃない。良かったわね…きっとあの子は……」
姉さんが言い終わる前に
医者が出てきた
姉さんの真意なんてものよりも…
ユ「先生、あの子は…どうなったんですか?」
先生の視線は下を向いた
いやだ…いやだ…嘘だと言ってよ…ねぇ……
先「手は…尽くしました……」
ユ「あっ……い…いやぁぁぁぁああ!!!」
ミ「ふふ…あっははは!」
泣き叫ぶ私を見ながらあの悪魔は笑った
許せない…あの人が私に最後に残してくれた宝を…あの女は……
そのあと…私は、あの2人を殺した
姉さんとその旦那を…
最後に…姉さんの子供も殺そうとした
刃物を持って…振り上げる……すると、
この子は笑った…
理解…していなかった
今から殺されるなんて…分かっていない
無邪気に笑いかけたこの子はまるで…あの子のようだった
触れてたら…壊れてしまいそうなほど…
儚く…可愛かった。
ユ「っ……無理…無理よ……」
私にこの子は殺せない
私は、無邪気に笑う物怪瑠衣を抱え日本に逃亡した。
物怪瑠衣は…あの子に…本当にそっくりだった。
牢獄の中…天井を見上げながら……私はこう囁いた。
ユ「花香……私の、大事な大事な…子供」
守ってあげられなくて…幸せにしてあげられなくて…大きくさせてあげられなくて
ごめんね……
来世は…来世でも……私の子になってくれる?
返事はこない…
ただ、無音だけが響いた。
ーーーーーーーー
瑠衣視点…
自分が分かる最大限のことを杖道先生に伝える
杖「そうか……」
杖道先生はなにも言わずただ、無心に聞いてくれた。
瑠「俺は…あの人が嫌いです。……それでも、憎いとは思えなかった。知っていたから、あの人は…誰よりも傷ついていたって」
我が子を失う悲しみは俺にはまだ分からない
それでも…あの人は愛に溢れた人だった
そんな人の子を殺した両親には心底虫酸が走る
それでも…
杖「それでも…君は当主になるのだろう?」
瑠「はい…」
自分の道からはもう、逃げたくなかった
あの人はきっとそれを望んではいなかったと思う
それでも…俺の両親がした罪を貴方に返したい
許してもらおうなんて思っていない
それでも…俺は……
杖「なら、私も協力しよう」
瑠「あ…ありがとうございます。」
貴方にもらったものを今でも感謝しているから。
これが、偽りの愛だったとしても
愛してもらったことには…変わりはないから。
ありがとう…愛してくれて。
ーーーーーーーー
瑠「ご馳走さまでした」
眩「どうだった、お口に合ったかしら?」
瑠「はい、とても…美味しかったです」
眩「良かったわ~」
ご飯を食べさせてもらって
少し、お茶を飲んだりしてから俺は帰った
仁が家まで送ると言い付いてきてくれた
仁の両親と杖道先生にお礼を言い家を出た
外は綺麗な満月が出ていた
仁「行くぞ」
少し、気温が寒かった。
少し前を仁が歩いてその後ろを俺が歩く
学校に入ってからいろいろあった
友達と言える人が出来た。
自分と…家族と真剣に向き合えた。
自分の本音を言えた……。
でも…まだ……なにか…あるような…
仁「瑠衣」
瑠「なに?」
仁「お前は…これから、どうする?」
瑠「……とりあえず、学校は卒業して…そのあとは、まだなにも。」
仁「そうか……なら、卒業したら…俺のところに来るか?」
瑠「?」
仁「あんなだだっ広い家にいるのは嫌じゃないか?」
いや…とは、思わないが
でも…仁達と居られるのなら…そっちの方が……
瑠「いや…では、無いけど……仁が良いなら…」
仁「自分で提案しといて嫌はないだろ」
少し、仁の顔が赤い気がする
でも…夜で暗かったから……たぶん…気のせいだよね。
瑠「なぁ……仁、俺さ…今、幸せだよ」
小さな声で言った
昼間なら絶対聞こえないくらいの小さな声
それでも、仁は聞き取ったのか
少し微笑んでいた。
『ありがとう、俺を見つけてくれて。』
ーーーーーーーー
2年後の春…
縦「見てみぃや!縦人ちゃんの晴れ舞台やで!!」
仁「お前の晴れ舞台では無いだろ」
縦「うっさいわボケ!!」
長いようで短い時間が経って
仁達は…卒業した
俺より1年早く
大「そういえば…仁……」
仁「…………」
なにか、話しているようだが……
あまり、こういうのは行かない方が良いのだろうか。
少し、遠いところから仁達を見る
寂しいという感情はある
教えてもらったから
でも、前よりも友人と言える人は沢山出来た
だから、3人が卒業してもすごく寂しい訳では無い
でも……でも…
ここに居てはいけない気がした。
その場から離れもう少し遠いところに行く
卒業式の片付けもあるのに体育館に行かなければならないのに
俺の足は反対側を向いていた
瑠「…………」
数分歩いて気がついた。
瑠「ここ……どこだ?」
2年この学校にいたのに
まだ、知らないところがあったとは……
目の前には大きな桜の木があった。
古い木のようで少し、木の幹が腐っていた
このままでは危ない……恐らく、そのうち切られてしまうのだろう。
木の周りには柵があった。
瑠「……分かっていた…ことじゃないか」
時は戻らないし止まってくれない
だから、いつかお別れがくるのは知っていたが…
やはり……きつい。
瑠「行かないと……」
目から出てくるそれを拭い
体育館に行こうとすると……
仁「ここにいたか…」
瑠「仁?」
目の前には息を切らした仁がいた
なにか、用だろうか?
約束をしていたわけではないはずだが…
仁「うろうろするな」
瑠「ごめん…なにか、用?」
仁「まぁ……」
瑠「?」
2年前のあの夜のように仁の顔は赤くなっていた
あのときは気のせいだと思っていたが
今回は明るかったので、分かった。
仁「瑠衣は……この学校に来てどうだった?」
瑠「楽しかったよ?仁と大地と縦人と…会えて良かった。」
これは、本音だ。
本当に3人に会えて良かった
探し続けた想いを…自分を仁達は見つけてくれた
それが…俺にとって、どれほど救いになったか…
瑠「だから、ありがとう。」
仁「そうか…瑠衣、俺は……俺は…ずっと、瑠衣が好きだった。」
風が吹いた
地面に散らばった桜が一斉に風に乗り宙を舞った。
瑠「す……き………?」
好き…とは、どういうことなのだ?
知らないとは言わないが
友情的な好きと
恋愛的な好き…
仁の好きはどっち?
瑠「それは…どっちの?」
仁「……どっちだと思う?」
仁は空気を読めと言っているようだった
ほぼ…99%……仁の好きは…
恋愛的な意味なのだろう
でも…もし、違ったら死ねるほど恥ずかしい!
瑠「……」
でも、友情的な意味だったとしても…恋愛的な意味だったとしても
俺は…
瑠「俺も……好きだよ」
顔が熱くなるのが分かる
初めてのことで頭がまわらない
落ち着かないと…いけないのに……
ぐるぐると頭が回っていると突然体に衝撃がきた
瑠「仁?」
抱きしめてくる仁の体は冷たかった
春といっても…少し冷えるからな
寒がりの仁には今日は寒いのだろう
仁「……お前は、分かっているのか?どういう意味なのか」
瑠「…………分かってるよ。だって、教えてくれたじゃんか。」
なにも無い、空っぽの人形に感情を想いを与えたのは紛れもない。
仁達だったんだよ。
仁「そうだな……」
さっきより力を入れて抱きしめてくる
痛くさせないように気をつかってくれているのが分かる
瑠「仁…俺、片付しに行かないと……」
時間がヤバい
本当にそろそろ行かないといけない
仁は抱きしめるのを止め、むすっとした顔をしていた
瑠「すぐ、終わらせるからさ」
仁「…………瑠衣」
瑠「なん………
仁に呼ばれ歩くのを止め振り返ると
目の前に仁の顔があった、そして…そのまま……
唇になにか触れた気がした
柔らかく、暖かい
一瞬、触れて離れた
仁「待ってるからな」
仁はそれだけ行ってどこかに行った
俺は、しばらく動けなかった
それで……バッとまた、顔が熱くなった
瑠「仁の……馬鹿…」
少し、深呼吸をして体育館に向かった。
コメント
60件
最高 我が人生に悔いなし
あっ、くそかわ!尊死†┏┛墓┗┓†(
あ、4ぬ...