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恋を知らない僕に戻りたい。
僕にとって、《恋》は憧れだった。
なんていうか、ドラマとかそういう影響だったんだと思う。
だけど、実際恋をすると厄介なもので。
しかも、初恋でその相手が同性でメンバーなんて。
仲間に嫉妬してしまうし、
作業も進まない時もある。
だから、この恋は消してしまおうと考えた。
だけど、恋はなかなかやめられなくて。
ただ、どんどん好きになるばかり。
自分に嫌気がさしてくる。
「ドキドキ、ズキズキ、ドキドキ」
この繰り返し、繰り返し。
さすがにやばいな、と思いつつも
やっぱり好きだなぁ、と思ってしまう。
恋の相手は、
恋愛上級者といっても過言ではない「さとみくん」。
何人もの彼女が居た、彼。
しかも、イケボでイケメン。
性格も良し。
普段はかっこいいけど、
時々可愛くなる姿も好ましい。
筋肉もあるし、
なんなら顔立ちは
筋肉がない僕より可愛いのだ。
ギャップが互いにあるけど、
やっぱりさとみくんには適わない。
そんな彼が好き。
「恋を辞める方法を知りたい?」
「…うん」
今日は僕の先生である、
「ころん先生」のお家にいる。
通称「ころちゃん」に相談をしにきた。
「さとみくんには、告白したの?」
それで振られたならそうくるわ、と付け足す。
僕は首を横に振った。
「してないよ」
「馬鹿だねぇ、まーた一人で考え込んで」
「どうせ振られるもん…」
「…はぁ」
急にころちゃんの声が低くなり、
びくっ、と肩を揺らす。
「そんなに辞めたいなら、告白してきなさい」
「……..え?」
久しぶりに敬語を使われたので、
少しびっくりする。
ころちゃんが急に敬語になるときは、
アドバイスをくれてるとき。
だから、今の言葉は
少し荒々しいけど、
ころちゃんなりの優しさだと分かる。
「振られてくるね」
「うん、頑張って」
「振られたら泣きにくるから」
「はいはい」
そして、僕は、ゲームをするためにリビングに移動した。
「…別の意味で泣きにくると思うけど…」
なんてころちゃんのつぶやきは誰にも届かず、雨の音でかき消された。
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