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俺はコレを本当に不思議なことだと思っている。


「え?なんでそんなこと聞くんだ?」

「あ、いや。別に。気にしないで」

「なんだよ、かざねさん。変だぞ?」

「ん、そうだね」

「????」


ふうはやに『しゅうとのことどう思ってるの?』って聞いてみたけど、こんな感じで返事をされて本当に不思議そうな顔をされた。

その顔をしたいのは俺の方だ。

頭の上に?マークを飛ばしたまま腕を組むふうはやに俺は小さく、気が付かれないように溜息を吐いた。


「……そういえば、りもこんとしゅうとがご飯行こうかって話してたなー」

「え!?俺になんの話もなく!?」

「焼肉でも行くか〜って言ってた」

「俺も行かなきゃ!かざねさん!またな!」


何でふうはやに飯食いに行く話をしなくちゃならないのか。

何でふうはやも一緒に行かなきゃならないのか。

リーダーだから?

ふん。馬鹿らしい。

結論は出ている。


「あいつ、しゅうとのこと好きすぎだろ……」


マジの無自覚。

マジの天然。

俺としゅうとが喋ってるとするりと近寄って来て割り込んでくるふうはやは本当に何も考えてない、全てがオートで行なわれて感覚で動いてるっぽい。


「はぁ……マジでめんどい」


ふうはやの中には好きだって想いも、誰かを邪魔してる自覚もない。本当に全くないんだ。

不思議すぎる。魔訶不思議だ。


「焼肉かぁ……」


俺だって行きたいけど、今は無理。

マジで面倒くさいのは、実は自分自身だ。

『しゅうとのことどう思ってるの?』

なんでこんなこと聞くのか?だって?

そりゃあ聞くでしょ。

俺だって、しゅうとのこと大好きなんだから。

独占欲を伴ったソレはきっとふうはやが無自覚に抱え込んでいる感情と同じだと思う。

でも俺は自覚あるからな。

ふうはやみたいに天真爛漫に振る舞うことは出来ない。

その代わり、自分を変えることが出来ると思う。

好きだって自覚してるから何度でもぶつかっていける。

これは強みだよな。


「俺もしゅうとと行きたかったな……」

「え、本当に?じゃあ行こうよ」

「!!!???」

「え!?」


びっくりし過ぎて漫画みたいに飛び上がった俺の背後にはしゅうとがいて、扉から顔を覗かせていた。

俺の動きに驚いたしゅうとの目が真ん丸になっていて、ものすごく非常に可愛い。

じゃなくて!!


「今の独り言……聞いてた?」

「え?あぁ……俺と焼肉行きたいって話?」

「ま、まぁまぁ……そんなとこ」


良かった。

とんでもない独り言までは聞かれていなかったみたいだ。

しゅうとは首を傾げて笑った。

クッソ可愛い。


「かざねさんのおごり?」

「えー?マジかぁ……。仕方ない、このかざねさんが奢ってやるよ」

「ええ!待って、良いの!?」

「俺の奢る焼肉食いたくないの?」

「食いたい!」

「はいはい」

「ねぇーしゅうとー?まだー?」

「俺もりもこんも準備できてるよー!」


玄関の方からりもこんとふうはやの声がする。

優しいしゅうとは俺を迎えに来てくれたんだな。


「行くか」


ふうはやが待ちきれなくなってしゅうとを迎えに来てしまう前に、しゅうとの頭をひと撫でしてから部屋を出た。


「奢るのはしゅうとのだけね?」


しゅうと、君の笑顔ずるくない?

ふうはやも俺も、もしかして、りもこんも?

そんなに無邪気に笑うもんだから、ヤられちまってるわ。

愛されは赤のひと

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