第17章:使徒アルダ=ズと魂を裂く雷
アーカ=ヴェスを離れ、現実世界へ帰還したゲズとセレナ。
だが、彼らを待っていたのは、焼き尽くされた村と――空に浮かぶ黒い球体だった。
「あれ……あの空の球体、“あの日”の隕石に似てる……」
セレナが声を震わせる。
その瞬間、球体の中心から何かが落下するように降りてきた。
それは、人型に似て非なるもの――漆黒の鎧をまとった異形の存在。
「我が名はアルダ=ズ。ルシフェルの使徒にして、魂を狩る者」
地面に着地しただけで、地脈が腐り、草木が枯れた。
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―襲撃と交戦―
ゲズが前へ出る。
「あいつは、ルシフェルの“尖兵”か……!」
雷の鎖剣を構える。
セレナは支援魔法《雷迅加速》でゲズの身体を強化。
「行け、ゲズ!あなたの刃なら、あの黒い魂にも届く!」
ゲズが雷をまとい、アルダ=ズに突進!
「ソウルスレイヴ――解放形態ッ!!」
雷の鎖がうねり、剣へと変形。
振るったその瞬間、空気が真っ二つに割れる!
アルダ=ズはそれを剣で受けるが、刃の先端が深く“魂の殻”を削った。
「ッ……なるほど。“魂に触れる力”か。
ならばこちらも、魂で返そう――!」
アルダ=ズの体から黒い触手が飛び出し、
ゲズの心臓へと直撃――!
⸻
―魂の揺らぎ―
その瞬間、ゲズの意識が一瞬だけ“深い闇”へ落ちかける。
命ではなく、“魂”そのものを攻撃された感覚。
「あ……ぐッ……!! これが、“魂を削る戦い”かよ……!!」
だがセレナの声が、再びゲズの意識をつなぎ止める。
「大丈夫、あなたは負けない。私は、あなたを信じてる!」
その声が、再び雷を導く。
「なら……魂ごと、こいつをブチ抜く!!」
ゲズが踏み込み、**“空間を断つ斬撃”**を放つ!
「雷魂断・裂界ッ!!」
雷が直線に走り、アルダ=ズの胸を貫いた!
黒い煙が吹き上がり、アルダ=ズの姿が崩れていく――
「……この感触……確かに、“滅び”だ。
だが……我々は無限に現れる。
魂を得た分だけ、“神”は進化する……」
アルダ=ズはそう呟きながら、黒く溶けて消えた。
⸻
―戦いの後と、予感―
「ゲズ、大丈夫!?」
セレナが駆け寄ると、ゲズは膝をつきながらも笑う。
「はは……なんとかな。
でもやっぱり、“魂の戦い”ってのは……マジでしんどいな……」
ふたりが空を見上げると、
黒い球体が消え、空に一筋の光が差していた。
だが――
その光の先に、**遥か遠くに浮かぶ“巨大な浮遊都市”**が姿を現していた。
《アヴァロン・ネクス》
ルシフェルの本拠地、神すらも届かぬ空の城。
そして、そこには――再生された“レル=ザイオス”の影も見えていた。