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第18章:約束の分岐点
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【1. 静かな夜】
星が降るような夜。
二人は焚き火を囲み、黙って空を見上げていた。
ゲズ「……こんな夜が、ずっと続けばいいのにな」
セレナ「そうね。
こんなに静かな時間……、あなたとじゃなきゃ味わえないかも」
焚き火の赤が、セレナの頬を照らす。
ゲズは言葉に詰まりながら、何かを飲み込むように黙り込んだ。
ゲズ「セレナ、お前……怖くねぇのか?俺といるの」
セレナ「怖いわよ、たまに。
あなたは、まるで“爆発寸前の星”みたいに見えるときがあるもの」
ゲズ「……だろ?
俺はどっかで、また誰かを失うんじゃねぇかって、怖くてたまらねぇんだ」
セレナはそっとゲズの肩に寄り添った。
セレナ「だから私は、あなたの“暴走”も“涙”も、全部そばで見ていたいの。
……あなたが壊れないように、私がそばにいたいの」
ゲズの目が、わずかに揺れる。
ゲズ「……セレナ、お前……ほんと変わってんな」
セレナ「あなたに出会ってから、もっと変わったわ。
強くなりたいって、心から思えたの。……誰かのためにね」
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【2. 触れ合う記憶】
風が吹き、セレナの髪がゲズの肩に流れ込む。
ふいに、セレナが囁くように言った。
セレナ「私、誰かに“愛された”記憶って、ほとんどないの。
でも……あなたといると、あたたかいの」
ゲズ「セレナ……」
セレナ「この先、また誰かを失うかもしれない。
でも私は……“あなたを選ぶ未来”を選びたいの」
ゲズは一言も返さなかった。
けれどその手は、静かにセレナの手に触れた。
ゲズ「……じゃあさ。
もう、逃げるなよ。俺からも、運命からも」
セレナ「うん……約束する」
ふたりの影が、焚き火のゆらめきの中で寄り添っていく。
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【3. 忍び寄る黒い兆し】
その夜。セレナの寝顔を見守っていたゲズは、ふと風の中に“黒い羽”が舞っているのを目にする。
ゲズ「これは……」
静かに拾い上げたそれは、ルシフェルの尖兵たちの証だった。
星の穏やかな瞬間は、やがて崩れゆく――
だが、いま確かにここに、“戦う理由”が芽生えていた。