コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私がかき氷を食べ終えたのは、頼んでから5分しか経っていない時だった。
るいはいかにも一口くれ、と言いたげな顔をしていたが、私はあげなかった。
このかき氷だけは独り占めしたかった。
「あーあ、無くなっちまった」
「食べたかったんでしょ?」
「当たり前だろ」
「まあ、同じのを頼んだら良いよ!」
「はぁ…」
るいは呆れたとため息をついた。
「そんな簡単に頼めるわけねーだろ?こんなたけーやつよ…」
「二つ頼んだだけで4000円するんだぞ?」
「ありえねーわ」
「ごめんってば〜笑」
「俺は大人しく安いやつ食うわ」
そう言って、注文ボタンを押した。
近くにいた店員が駆けつけてくる。
「ご注文をお伺いします」
「えーっと、オレンジジュース一つ」
「以上でございますか?」
「はい」
「かしこまりました。すぐお持ちいたします」
店員はてきぱきと動き、わずかの時間でオレンジジュースを運んでくれた。
「オレンジジュースでございます」
「ありがとうございまーす」
るいはコップに口をつけた。
そんな るいの横顔をじっと見つめていると、何故か落ち着くんだよね―――。
「おい、るな?聞いてるのか?」
「えっ?あ、るい」
「ごめん、ぼぉーっとしてて聞いてなかったよぉ」
「全く…」
まさか、るいの横顔を見つめていたなんてことは言えない。
「ジュースも飲めたし、満喫できたろ?」
「そろそろ店出るぞー」
「えぇ?でも、まだやること決まってないし…」
本当は、ただこの店でくつろいでいたいだけだけれど。
そんな言い訳をすると、るいは意地悪っぽい笑みを浮かべて言った。
「もう決まってるぞ?スケジュール」
「うそ!!いつの間に!?」
「楽しみ〜!」
「まあ、昨日徹夜して考えたからな」
「嘘でしょ?」
「ああ」
「嘘かいっ!!」
そんな他愛もない会話をしながら、私達は店を後にした。