テラーノベル
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第5話
「……何で、それを聞く必要がある?」
俺は伸びをして誤魔化しながら問うた。
会ってるのか?
というか……S級ドラゴン……馬鹿じゃないの。
一刀両断だ。そんなやつ。
「礼を言わないといけなくてな。もしかしたら、と思ったが……どうなんだ?」
「さぁな。俺は、少なくともその瞬間をこの目で見ていないから分からない」
でも。と言うように続けた。
「あいつが、そんなS級ドラゴンなんて気にするわけ無い。瞬き一つする間にドラゴンの首と胴体は離れ離れになっているぞ」
そう言い残して俺は、部屋の中に入った。
やはり、会ってるのか……面倒事に変化しそうだな。
✵
あの日……森で会った女の子と似ているやつに助けられてから一週間後。
追われる事が不自然に無くなった。
……ということは、あの人が……
「何者なんだ?」
朝早い図書室の真ん中に座っていた、そいつ……ハンナの隣に座った。
「……平民育ちの使い魔持ちです」
「それだけじゃないだろ」
「そうだとしても、私に答える義務などありません」
逃げられそうになった時、ボソリと「今日の放課後、ベランダに防音結界を張っときますね」と言った。
きっと、何か伝えてくれるのだろう。
その日の放課後。
俺は約束通りベランダに来た。
すると、強力な癖に周りから見て分かりにくい防音結界が張られているのに気がついた。
「こんにちは」
隣のベランダから七歳くらいの女の子の声がヒョコリと顔を出した。
「この姿で会うのは久しぶりですね。結界の外からは普通に会話しているようにみえるんです」
「え……?」
開いた口が閉じない。
何が起こった?
「やぁ。俺は、黒猫だ」
黒猫の獣人が現れた。
見た目は、十六歳か、十五歳くらい。
外からは同じ原理で見えてないのかな……?
「私は、笛吹の少女と呼ばれたり、ウィザードと呼ばれたり……本当の名前はありません」
「笛吹の少女……?!」
俺は、ピンときた。
笛吹の少女とは、山の中で笛を吹く少女の姿の影を見た冒険者から出た名前だ。
……そして、とんでもない魔法を使うとの噂も……
「……名前が無いって、親族の顔も知らないのか?」
「はい。今までの殆どを、ルイスって人と、黒猫と過ごしてきたので」
「そうか」
街に出れないって理由で付いてこなかったよなぁ……?
ココにいるのは何でだ?
上野文
9,209
#探偵
橘靖竜
6,553
ライラ🔮🌸🌙
32,651
#シェイプシフター
柊遊馬
5,990
「……血濡れている。私は、そういいましたよね? 血濡れているんです。この手は」
ハンナは、何か寂しそうな顔をして、俯いた。
「あまり詮索はしないでやってくれ。俺みたいな使い魔でも、知らない事は沢山あるんだ」
「……そうか」
俺は頷いて空を見上げた。
綺麗に澄んでいる。
そうか。ハンナの周りには、こんな澄んでいる人が沢山いるのか。
やじろべえみたいに、揺れ続ける心を支えられる人が。
「……黒猫。私、でかけてくる」
「は? 何だよ。藪から棒に……って、そういう事か」
二人とも、深刻そうな顔をした。
なんだ? 魔物の大群でも来てるのか?
「私は、外に出てきます。きっと、明日の朝には分かるでしょう。教皇様に『ウィザードは、森へ向かった』とお伝えしていただいてもよろしいですか?」
「わ、分かった」
俺は、その深刻な空気に呑まれて何も聞かず頷いてしまったが、その方が良かっただろう。
「では行ってきます」
「あぁ。帰ってこいよ」
何か嫌な予感が過ったから、一言付け足した。
「はい」「分かってる」
二人ともベランダから……空間魔法か何かでどこかへ行ってしまった。
……父上に、伝えないと……
俺は、校長室の扉を三回ノックした。
何拍か空いて、扉が開いた。
「あぁ、お前か」
「父上。ハンナから伝言を預かりました」
父上は、少し顔をしかめて『中へ入れ』と言うように大きく扉を開けた。
俺は、そのままソファーで父上と対面になった。
防音結界を張った。万一にも盗み聞きされてはいけない事というのは、俺でも分かった。
「ウィザードは森へ向かった。そう、言われました」
父上は、俺がそう言うと目をかっ開いて、前のめりになった。
「……ハンナに心当たりはあるか?」
心当たり?
ええっと……会った事あるか? って事か?
「俺が、倒れた日にS級ドラゴンと対面した時に救ってくれました」
「……会った事あるのか。ミヒャエル。お前には、護衛を付けた。無論、その護衛はハンナなんだが……まさか離れるとは……言いたい事は分かるな?」
俺は頷いた。
護衛が護衛対象から離れるということは……それより大切な物事が無いと動かないだろう。
ハンナたちにしか分からない何か大変な事が起こってる……
「朝には、その原因が分かる。とも、言われました」
「そうか。ミヒャエル。休め。あんなやつが、こんなに急いで動くなんて……嫌な予感しかしない」
「はいっ。失礼しました」
俺は軽く頭を下げて自室へ向かった。
コメント
1件
うわぁ第5話読んだよ〜!!!😭💕 ハンナってまさか「笛吹の少女」だったんだね…!? しかも黒猫の使い魔と一緒に幼い頃からルイスって人に育てられたって…なんでそんなに血に濡れてるの…切なすぎるよ🥺 S級ドラゴン倒したのハンナだったんだね! でも今度は「森へ向かう」って…めっちゃ嫌な予感する…「帰ってこいよ」ってミヒャエルが言ったシーンほんとジーンときた😢 続き早く読みたいよ〜!!! ハンナ無事でいてね…!🌸