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別のところにいた出雲達は、ドーン!という大きな音に反応をした。
「な、なんですか、今の音。」
伊吹が困惑しながら後ろを振り返った瞬間、彗がその音の方に飛び出して行った。
「おい!彗!!何してんだ!!」
「阿須の強い能力を感じる!!出雲がいねぇどうにもならねぇ、全員来い!!! 」
彗が焦りながら2人に向かって叫んだ。
伊吹と出雲は深く頷き、音がした方へと向かっていった。
阿須は剣を抜き、あっという間に青い炎に纏われた。炎の猫のような耳が少し見える。本当に化け猫のような姿だった。疾風も佑由も、本当に人間なのかと疑うぐらいの姿だ。阿須は剣を振り回しながら、楽に向かっていった。
「おい!阿須!!それ以上1人で突っ走ったらあかん!!はよ帰ってこい!!!!」
阿須には疾風の声は届かなかった。佑由も疾風もどうしたらいいのか分からず、その様子を見ることしか出来ない。阿須が剣を楽に刺そうとした瞬間、楽の目の前に鬼のお面を付けた男女二人が目の前に現れた。阿須は、1歩足を引いた。
「楽様に手を出すものは許しませんわ。」
「それに、楽を殺すなんて100年早い。」
2人は喋りながらお面を取り、素顔を見せた。女の方は、綺麗な黄色の目でハーフアップの綺麗な赤い色の髪。男の方は、青い髪のウルフ、2人ともキラキラと光る黄色の目がよく目立つ。
「礼儀がなっとらんな。最初に名を名乗るやろ。」
疾風が阿須の隣に来て、言った。
「私は、潤井阿南(うるいあなん)。元華国に居た者よ。今は鬼様の信仰のためにこちらにいるの。」
「俺は、空琉那々斗(あくるななと)。同じく俺も華国に居た者だ。」
2人とも華国出身。和国出身の阿須、疾風、翠国出身の佑由は2人のことは見覚えにない。
「まぁ、名前を聞いたところで俺の能力でてめぇらは焼け死ぬんだから、関係ねぇけどな。どけ、俺は鬼龍楽に用があんだ。 」
阿須は1歩前に出て、2人に言った。だが、2人は聞かない。楽には近づけさせないと言うような顔をしていた。そして、2人も刀を出した瞬間、阿須はニヤッとし、2人に向かっていった。
「おい!阿須!出雲達と合流するまで待て!!」
「疾風くん、もう無理だよ。あそこまで行っちゃったら、もう止められないよ…。私、あんな姿の阿須くん、初めて見た。」
佑由が疾風の手首を掴み、話した。阿須を止めることが出来ない。疾風は無力な自分に腹が立った。
「俺もや。けど、自分たちができることをした方がええと思う。佑由は、守護を頼む。俺はあいつと一緒に戦う。出雲達が来たら状況を伝えてくれんか?」
疾風は佑由の頭を撫でながら、優しく話した。
佑由はコクリと頷き、自分の後ろを見、他のお面の敵達を見回した。疾風も同じく後ろを向き、背中合わせになった。
「よろしくな、佑由。」
「分かった。ありがとう、疾風くん。」
そう言った後、2人は自分がやるべき場所へと向かっていった。
「彗、何か感じるものは?」
「どんどん阿須の能力が近くなってる気がする。多分この辺だ。もうちょい行くよ。」
彗は、能力を感じながら2人を連れて進み続けた。
続