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――コンコン、ガチャ
「ドレークさーん」
ノックをしてドアを開ける。中には書類仕事をしているであろうドレークさんの姿があった。
「ジェディ」
ドレークさんは俺を見るなり、ふわ、と目元を緩ませる。それにつられるように俺も頬をゆるませた。
「はい、書類です」
「ありがとう、わざわざ悪いな」
いえいえ、と首を横に振る。そして俺もソファに座った。他の人だとすぐに部屋を出ていくことが多い俺だが、ドレークさんのとこにはついつい長居をしてしまう。ドレークさんも特に何も言わないしな。
俺がコキ、コキと首を鳴らしていると、ドレークさんが心配そうな顔をしてこちらを見た。
「大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。ここにいる人、身長が高い人が多いので首痛くなるんですよねぇ」
あはは、と笑う。するとドレークさんは納得したような表情をした。
それからしばらく他愛もない話をしていたのだが、ふと俺がドレークさんの方を見る。
「どうした?」
「いや、ドレークさんって悪魔の実の能力者ですよね?」
「あぁ」
「俺、見たことないなぁ、と思って……」
俺の言葉に、そういえば、といった様子で考え込む。
「見たいのか?」
「えぇ! ドレークさんがよければ!」
「獣型だと部屋を壊すことになるから、人獣型でもいいだろうか…」
「大丈夫ですよ!」
急な申し出なのに了承してくれるドレークさん本当に優しいなぁ。
ドレークさんの食べた悪魔の実はリュウリュウの実 モデル〝アロサウルス〟、恐竜だ! 恐竜好きなんだよなぁ! めちゃくちゃテンション上がる! 俺が目を輝かせて待っていると、ドレークさんが俺の方に近寄ってくる。
そして次の瞬間、ドレークさんの姿が変わる。普段より一回りくらい大きいだろうか。俺は目の前にいるその姿に思わず「おお…」と声を上げた。深緑色の鱗に、鋭い爪と牙。わわ、尻尾もある……!! ゆらゆら揺れてる……。なんかちょっと可愛いかも……。猫みたいで。
俺が興奮しながらまじまじと見ていると、ドレークさんは照れたように頭を掻いた。
「触ってみてもいいですか?」
「……あぁ、いいぞ」
そう言ってドレークさんは頭を下げてくれる。
「失礼します……うぉ、硬い……!」
ペタペタと触ってみると、想像以上に硬くて驚いた。でもそれが何とも言えず気持ちよくて、俺の手は止まらない。尻尾も同じように撫でる。
俺が夢中で撫でたりしていると、不意に俺の体が浮かび上がった。驚いて顔を上げると、そこには顔が赤くなったドレークさんがいた。
「ドレークさん?」
「そろそろ終わりだ」
「えええ~」
俺は不満げな声を出すが、持ち上げられてしまっているのでどうしようもなく、渋々手を引っ込めた。
しゅるしゅるとドレークさんが元の姿に戻ってしまう。残念……。
なんて思っていると、ドレークさんが俺の頭を撫で始める。俺がキョトンとしていると、ドレークさんは優しく微笑みながら撫で続ける。
「ふ、へへ、くすぐったいですよ。ドレークさん」
そう言えば、両手で顔を包まれる。ドレークさんの手は大きいから俺の顔はすっぽり隠れてしまう。ちょっと楽しい。そのままじっと俺の目を見つめてくるので、俺も目を合わせてみる。
「ドレークさんの顔、ほんと整ってますね~。かっこいい」
「ッ…!!」
あれ? なんか固まった? そう思ったのも束の間、俺は抱きしめられていた。……んんんんんん??????
俺が困惑したまま動かないでいると、さらに強く抱き締められる。なんとかドレークさんの背中に手を回してぱしぱしと叩く。
「っ、あ、す、すまない」
「大丈夫ですよ、びっくりしただけなので。どうかしましたか?」
「いや、その……なんでもない…」
なんでもないわけないだろう。でも詮索されたくないっぽいし、ここは黙っておくか。
「……ジェディ、その…」
「なんですか?」
「今度の休み、一緒に出掛けないか?」
「いいですよ! どこ行きましょうかね~」
こうして、次の休日はドレークさんと出かけることになった。