💛「残業しないつもりだったのに……」
チーム全体の連帯責任、ということで、佐久間さんのミスを被って、彼が誤って消してしまったデータをみんなでいろんな資料を繋ぎ合わせて復元させていたら、終電ギリギリになってしまった。
それでも、留守中、例の小窓だけは開けておいたから、猫も腹が減っていたり、帰りたくなったら出て行っただろう。俺はそう思いつつも、なんだかアイツがまだ家にいる気がして、コンビニで適当に選んだキャットフードを買って帰った。
💛「ねこ〜〜いるか〜?」
呼び掛けたら、
💙「いるよ〜」
と、人間の声がした。
💛「………ショウタ」
💙「おう。おかえり」
ショウタは、ソファで寛いでいる。貸したTシャツを着ていたが、後ろ前だ。そして、ジャージは穿いていない。
💛「なんでまだいるの。てか、帰ったはずだろ?」
💙「俺、この家から出てねぇけど?」
ん?
んんんんんん?
💛「あ」
今さら、気づいた。
猫が付けていた首輪と同じ物を、ショウタは首に嵌めている。こんな異様な光景に、たった今まで気づかなかったなんて。
💛「え?猫なの?」
💙「だからぁ、そう言ってるじゃん」
そう言うと、ショウタはめんどくさそうにソファの上で伸びをした。
うつ伏せで下半身は折りたたみ、両腕を思い切り伸ばして、そう、まるで、猫みたいに。
💛「まさか」
💙「なあ、腹減った」
白い手をTシャツの中に突っ込み、腹をさするショウタ。
💛「俺もこれからラーメン食うけど…キャットフードとどっちがいい?」
思わずバカな質問をする。
💙「ラーメン!」
猫のはずのショウタは、可愛らしい笑顔でそう答えた。
コメント
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無邪気だわー。愛おしいわー🥺🥺🥺