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『あ…夕陽。』
タンポポが咲いた公園から車に戻った私達は水族館に行ったり、動物園に行ったりして2人の思い出を創った。
それから、時間が過ぎ、夕時。
「夕陽、見に行く?」
『え?』
「そろそろこの角度じゃ見れなくなるけど」
『見たい!みていいですか?』
んーーって、翔太くんが目をキョロキョロさせてる。もしかしたら、疲れたのかも。
「あ、いいとこあんじゃん」
先生の視線の先には、車が2、3台停まってる駐車スペース。ちょっと休憩したい人達のために作られたような小さな場所。
そこに車を停めて、外に出た。
『さむー !』
「さみぃな」
アウターのポケットに先生は手を突っ込み、
私はその隣でコートのポケットに手を入れた。
2人並んで、柵に手をかけて海を見る。
『綺麗…』
「夕陽があると余計にだよなぁ。」
『私、夕陽が昇る時間は神様が決めてると思ってました。』
「ん?神様?」
『うん。神様の感情で夕陽がおちる、って。小さい頃お母さんと読んだ本に書いてあって』
神様が、辛い事があって暗い時はすぐおちて
神様が、嬉しくてハッピーだったらずっと昇ってて
「絵本かー。〇〇は小さい頃から好きだったんだな、本。」
『あー実は、そうじゃなくて⋯』
「ん?」
先生が、意外って顔をして私を見る。
空はだんだんと暗くなってく
『高3になるまで私が読むのは漫画か雑誌でした』
「日本語が好きってオレに言ったのに?」
まだ、そんなこと覚えてくれてるんだって嬉しいんだけど、
少し胸が痛い
『本当は、あの時⋯違う事しか思い浮かばなくて⋯』
「うん?」
暗くなり始めた空を眺めながら、私はあの時の本当の気持ちを語り始めた。
コメント
3件
毎回最高すぎるー