srngで六兆年と一夜物語の曲パロです。
主は小説見てないので、個人的解釈が存分に含まれますあらかじめご注意くださいm(_ _)m
注意:暴力(殴る蹴るなど)、若干のBL、(モブからの)嫌われ表現含まれます。地雷の方はここで退避することを推奨します。
初投稿なので、色々と大目に見てくださるとうれしいです♪
それはまだ名も無い時代。ある集落に名も無い幼い少年がいた。これは誰も知らないおとぎばなし。
少年は産まれついた時から忌み子、鬼の子としてその身に余るほどの罰を受けていた。浮世離れしたピンクブロンドの髪や、不老不死であったことが人々の恐怖心を異様に掻き立てたのだ。人は元来、自分と違う生き物を嫌うようにできている。少年にとって悲しい事は何も無かったが、夕焼け小焼けに手を引かれて…
(俺は何も知らない。叱られた後の優しさも、雨上がりの手の温もりも)
(でも本当は本当に寒いんだ)
(俺はなんで死なないんだろ?夢だって見れないくせに)
誰も知らないおときばなしは、静かに夕焼けの中へと吸い込まれていった。
吐き出すような暴力と蔑んだ目の毎日に、君はいつしかそこに立ってた。艶のある黒髪に、レンズ越しの紫の瞳がよく映えている。俺に話しかけちゃダメなのに、
「あなたの名前が知りたいです」
ごめんね。忌み子の俺には名前も舌もないんだ。
俺の居場所はどこにもないのに…
「一緒に帰りましょ」
手を引かれてさ
(俺は何も知らない。君はもう子供じゃないことも)
慣れない他人の手の温もりはただ、本当に本当のことなんだと少年に実感させた。
(なんで君はやめないの?見つかれば殺されちゃうくせに)
雨上がりに忌み子が2人。夕焼けの中に吸い込まれて消えてった。
日が暮れ、夜が明けて遊び疲れた俺たちは村人に囲まれた。
ドカッバキッ
大人たちはどんどん俺たちを殴り、蹴っていく。別に何も思わなかった。いつも通りだったから。でも、朦朧としていく意識の中ではっきりと彼の声が聞こえた。
「やめてッ…!やめてくださいっ!」
(こんな世界、俺と君以外みんな居なくなって仕舞えばいいのに)
強く、強く願う。彼が傷つくことがどうしても許せない。
その時、知らない声が聞こえ、気づけば俺たちを囲んでいた村の人たちが……いや、俺と君以外の全人類が抗う間も無く手を引かれ、夕焼けの中に吸い込まれて消えていった。残されたのは赤い夕焼けと俺と君だけだった。
「みんな、どこに…?」
不安そうな彼を見て、俺は彼が教えてくれたことをやってみる。
ギュッ
手を握ってあげると彼は驚いたようにこちらを見た。その瞳は相変わらず綺麗で、彼を守れたことが俺の救いとなる。
(俺は何も知らない)
(これからのことも、君の名も)
(でも今はこれでいいんだと本当にそう思うんだ)
知らないあの耳鳴りは夕焼けの中に吸い込まれて消えてった。
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