「10月には」
焼酎のボトルでも入れてやるか、と思いながらメニューを見ていると、急に生ビールがテーブルに置かれた。
顔を上げると、 藤木(ふじき)がふてくされた顔で俺を見下ろしている。
その表情が笑えて、思わず「お疲れ」と小さく笑ってしまった。
「言っとくけど、奢ってやらねーぞ」
「お前、俺が口つけてから言うなよ」
生ビールを飲み、笑ってもう一度藤木を見たところで、藤木が尋ねた。
「それで、サイン会はどうだった?」
「あー……」
じっとりとした藤木の視線は、サイン会に行った者への嫉妬と期待が混じっていて、受け止めるのが重い。
俺はすこし間を置いて、軽く笑いかけた。
「それが、あの後俺も仕事の呼び出しがあって。結局サイン本はもらってないんだ。整理券無駄にして悪かったな」
「えっ まじかよ!じゃあ榊(さかき)先生の姿も見なかった?」
「あぁ、サインもらう時しか顔が*************
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