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こはる
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#切ない
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第54話
「ここに立つお二人を新郎新婦と宣言します。誓いのキスを」
そう言って二人の唇が重なった。
二人はとても幸せなのだろう。魔力で分かる。
そういえば、結婚式なんて、前世の妹――夏蓮の時以来かな。懐かしい。大体、十三年前かな。
友人の手紙は、ラルフさんが読んだ。
二人の出会い話や、学校での事。仕事する姿。沢山話していた。
というか、めっちゃ日本って感じだけど……記憶アリの転生人が国ごと造ったのかな?
……一回目なんだろうね。誰だか知らんけど。
私だって、前前前前世以上の記憶はカスッカスになってて覚えてない。でも、私じゃ無い気がするけどね……誰だろうか?
「ニルスさん。お姉ちゃん。結婚おめでとう」
「「ありがとう」」
私が式が終わった夕暮れ時、記念撮影をする前の二人に話しかけた。
「ニルスさん。とても似合ってますよ」
「ありがとう。リナも上手にできている」
そんな話をしていると、ローベルトさんが近寄ってきた。
「ニルス。エリカ様。おめでとうございます。リナとニルスにお世話になっているローベルトです」
そう言ってローベルトさんは、一礼した。ニルスさんとは、タメ語だけど、貴族という事もあって礼儀作法は完璧。
「こちらこそ、お世話になっております」
エリカも上品に頭を下げた。
ローベルトさんの事は私も手紙で書いたことあるから、エリカも、心に余裕ができたのだろう。
……だって、誰だろう? って思いながらこんな行動するって、結構難しいよ。
「ローベルト。来てくれてありがとう」
「あぁ。こちらこそ呼んでくれてありがとうな」
そんな会話を交わしている三人の間には、私たちは入る間は無い。
私は、その場から離れて独りで何か考え込んでいるノアの元に行った。
「ノア。何か悩んでるの?」
「いや、違う」
少しムッとした顔で吐き捨てるように言われた。
「私ね、来週には、星霊の剣探しに出るって話を皆にする。私のお母さんにはもう話したんだけどね」
そう言っても、ノアはそのままだ。
なんだろうか? こんなにムスッとすることなんてあるんだね。
「でも、あの神様みたいなやつは今すぐにでもって……」
そこまで言ったところで、私はノアの口を人差し指で塞いだ。でも、ノアがいつもと違う。
顔を真っ赤にさせている。少し恥ずかしそうだ。
「そんな反応されちゃったら、勘違いしちゃうじゃないの。私なんかを意識しないでよね」
私もムスッとすると「ごめん」と謝られた。
……やりすぎちゃったかな……?
ノアの真面目くんはいつまでも変わらないな……
「いいの。私も、昔のまんまじゃ、いられないね。変わらないと」
「か、変わんなくていい。変わっわたら、リナじゃなくなる……」
そう言ってノアは、何かを思い出すように震え始めた。いつもと違う。ちょっとやそっとの魔法では治せない。
「ノア。幾度の人生を歩んできた私が少しのことで変わるとでも思ってる? そんな、簡単に変われたら苦労してないよ」
私が抱きしめると、ノアも嗚咽を漏らしながら腕を回した。力加減が強い。でも、それほどノアは想ってくれている。それは分かる。
数分もすると、ノアも少し落ち着いてきた。魔法はかけているけど、あまり強くない。ニルスさんに怒られちゃう。
私は、腕を解いてからノアの赤い瞳を見つめた。
「……本題に入るけど、その剣探しにノアをあまりつけれて行きたくないの。腕には文句は無いし、もしかしたら、ノアを選ぶかもしれない。だけど……過酷なの」
……ノアは、強い。ちゃんと強いけど……万が一の怪我をされるのが嫌なんだよ。
それに、私のリスクを目の前で黙って見てろなんて私だったらできないし……
もしそれで、失明とか難聴とかになったら……心配させちゃうじゃん……
「ノアは行きたいの?」
ノアはさっきから固まっている。
良心がヤジロベエみたいに揺れているのだろう。私の理想か、自分の理想か。
「例え誰が傷ついても、ノアはノアを守ってほしい」
私は最後の一押しをした。今、ノアは良心のどこにいるかわからない。
でも、そう声をかけてほしかった時期がある。そしたら、あんなに心配させる必要はなかったかもしれないって……
「……行きたい。リナを独りにはさせない」
「分かったわ。でも、剣探しだけじゃないわ」
「え?」
「予感よ。剣を取った後に何かある。そんな気がするだけ」
……的中しないといいんだけどね……
「あ、それと一日で剣は見つけられるから安心して」
そう言って私は微笑んだ。
コメント
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うわー、結婚式のシーンから始まって一気にほっこりしたけど、リナとノアのやり取りで胸がぎゅっとなったよ。ノアがあんなに感情を見せるの初めてじゃない?「変わんなくていい」って必死なところとか、リナを想う気持ちがじわじわ伝わってきてこっちまで切なくなった。それにしても星霊の剣探し、ただの旅じゃなさそうな予感がする…。次が楽しみ。