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「ロレッタ様、ロレッタ様…」
私は自分を呼ぶ声に目を覚ました。
体を起こすと寒さにぶるっと震える。見れば何も着ておらず裸でいることを思い出した。
「あっ!」
慌ててかけていたシーツで体を隠した。
「お体の調子は大丈夫ですか?」
優しく声をかけられる。顔を見るとにっこりと笑った目尻にシワのある女性が私を見下ろしていた。
「は、はい…大丈夫です」
別に体に痛いところなどは無かったが、少し下半身が疼いている。
「それはよかったです。フレッド王子は無茶ばかりする方なので…」
フレッド王子ときいて先程の行為を思い出し顔を赤くする。
「あら? そんな反応は新鮮ですね、王子の相手は手馴れた方が多いのもので、おっと口が滑りました。この事は内密に…」
困った顔でウインクされ、私は慌ててこくこくと頷いた。
「ありがとうございます。私はロレッタ様のお世話を任されましたエミリーと申します。御用があればなんでも仰ってくださいませ」
そう言って深々と頭を下げられる。
「エミリーさん…よろしくお願い致します。ご迷惑はおかけしないように致します」
私は人質らしく頭を下げた。
「まぁロレッタ様そんなお礼など必要ありません。頭をおあげ下さい! それに私はエミリーと呼び捨てで構いません。ロレッタ様のメイドなのですから」
エミリーは優しい笑顔でゆっくりと頷く。
「ですが私はコスリガ国の人質です。この国の方を呼び捨てなどできません」
「あら~本当に聞いていた方と違いますね」
エミリーが興味深そうに見つめてきた。
「はい?」
私はなんの事かと首を傾げた。
「ロレッタ様は人質ではなく客人のようにもてなすようにと言われております。どうかこの国をいつか好きになってくださったら嬉しいです」
エミリーの優しい言葉に私はポロッと涙がこぼれた。
両親からは母親らしい事や父親として何かしてもらったことが無かった。
しかし人質となった隣国で母のように優しい言葉と眼差しを貰えるとは思っていなかった。
「エミリーさん…ありがとうございます」
私はエミリーの手をギュッと握りしめた。
エミリーは差し出されたロレッタの手が微かに震えていることに気がついた。
思えば年端もいかないまだ少女のような子が一人知らない国に連れてこられ、いきなり王子に襲われたのだ。
その恐怖は凄まじかっただろう。
エミリーはこの子を守ろうと決心する!
「ロレッタ様、何かあればなんでも言ってくださいませ! まずはその冷たくなった体を温めましょう。あちらに湯浴みを用意してあります。ご自分で立てますか?」
「は、はい…」
ロレッタは立ち上がろうとするが腰が抜けてしまったのか上手く立ち上がることが出来なかった。
「あらあら、どうしましょ。このままでは風邪を引いてしまいますし私一人ではいくら軽くてもロレッタ様を持ち上げることは出来ませんわ」
エミリーは困ってしまう。
「では俺が運ぼう」
するといつの間にかフレッド王子が部屋の中に立っていて、こちらに歩いてきた。