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その後カーリーは二人の疑問に丁寧に答えて行ったのである。


今現在の二人はルキフェルの補完によって完璧な記憶を有していること。

肉体の一部でも在りし日の姿を取れる依り代に、全身、骨格から脳、臓器に至るまでありとあらゆるパーツが揃った肉体を使っている二人は、中身のアートマンと同じく、永遠なる存在、不老不死と言っても良い強靭さを手に入れたであろうこと。


そもそもオリジナルのコユキ善悪は既にブラフマンかアートマンとして旅立っていると思われ、今更ルキフェルの半身の二人がどこかに行っても無意味なこと。

何よりも二十五年後の天体衝突から世界を救って貰わなければ困ること。


最期に一層力強い口調で言ったのである。


「消滅する覚悟を決めてまでやりたかった事が自分達の手で出来るんじゃないの! 本望でしょ! 世界を魔力災害から救うんでしょ? それだけじゃないわ、その後に地球がヤバイ二十五年後まで、やれる事全てをやっていかなくっちゃいけないわ! 結果がどうあれ後悔だけはしないようにね! どう? 違う?」


善悪が納得した顔で答える。


「違わないでござるよ、カーリーさんの言う通りでござる! んでもこの状態の僕チンたちって何かデメリットとか無いのでござるか? 大概あるでしょ、そういうの、三分間しか戦えないとか邪眼の暴走を抑える為に苦しむとか、そんなの無いの? どう?」


カーリーは即答だ。


「残念ながらある、と思うわ…… 恐らくだけど、ルキフェルのアートマンが同化する以前、昔の記憶が第三者的な目線で記憶されていると思うわ、つまり他人の経験のように客観的な物に感じられると思う…… 混乱するでしょうけど、慣れるしかないわね……」


コユキが安心したような感じで答えた。


「ああ、あれね! だったら経験済みだから心配要らないわよ、実害無いし! 良しっ! 今出来る事を一所懸命に、か! 散々同じ様なことを言ってきた筈なのに、二十五年後までにって期限がつくと俄然気合が入るわね! ねえ、アンドロマリウスちゃん、さっきアンタ言ってたわよね? 『盟約を交わした友好勢力』ってさっ!」


「え、ええ、確かに言いましたよ、実際いらっしゃったでしょう? カシオペアさんとか」


コユキは鼻息をフンスとさせた後言葉を続けた。


「良ーし、って事は居るはずよね、盟を結んでいなくて非友好的な勢力がさっ!」


「まあ、そうですね、ただし面と向かってルキフェル様と敵対するような馬鹿な勢力は過去に我々が駆逐して来たので、残っているのは小規模な勢力だけでしょうね」


「それでオケイよっ! んじゃまずは力を貸してくれる悪魔を見つけて仲間になって貰うことから始めようじゃない! それに併せて信用出来る人間たちに魔法やスキルを教えるのよ! 忙しくなりそうだわね、ねえっ! 皆も力を貸してよぉっ! 待った無しなんだからねぇっ!」


『御意』


コユキの声に一斉に跪(ひざまず)いて声を揃えた悪魔たちは総数五万を数えた。

既に帰ってしまった友好勢力も合わせれば当初の予定を大きく超える協力者を得たことになる。


立ち上がって『ルキフェル万歳、コユキ万歳、善悪万歳』を連呼し続けている悪魔達に手を振りながら、コユキの横からアスタロトが言う。


「カシオペアには我から協力を頼むとしよう、一度しっかり謝って置きたかったんだ、クラーケン、ケートスをけしかけて迷惑掛けたこと……」


善悪の隣からバアルも言った。


「じゃあ、妾は今日姿を見せなかった古い死霊や妖魔にでも声を掛けるとするよ、そうだヴィイを訪ねてみるね、クロアチアかな、それともまだウクライナかな?」


「頼むわね」


「気を付けるのでござるよ、手土産も忘れちゃ駄目でござるからね」


「ちっ!」


「むむむっ」


「どうしたのでござるサタン、判りやすくオラ付いちゃったりして」


「ケッ! いい気なもんだぜっ! ペッ!」


今まで他の悪魔達の幹部、何(いづ)れ強力な大魔王種達の端、アガリアレプトの隣に座って居たはずのサタナキアが、わざわざコユキ達の目の前まで移動してきて乱暴そうな動作で胡坐(あぐら)をかき、善悪の言う通り、判り易過ぎるオラつきを見せる、なんとも反抗期的な態度である。

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