テラーノベル
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Episode…2 :side/S:
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「んあ、翔ちゃんか…」
最近、大野くんの様子が可笑しい。
いつもならボーッとしていて俺が来たら「ようこそー」とか出迎えてくれるのに、最近は俺の顔を見るとがっかりしている。
好きな人でもできたのか?…本当に人が変わったみたい。
どうしちゃったんだろ。大野くん。
なんだか自分も大野くんを気にかけて変わっちゃったな。
あー、ダメダメ。今は講義のことに集中しないと。
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放課後に一人、自習室でずっと今度の講義についての資料の整理をしているところに、ノックもなしに部屋の扉が開けられる音がする。
なんだ?同じ科の人か?ノックもしないだなんて…
「あれ?櫻井くん、ま~だお仕事してるんだ。」
確か、二宮和也…って言ったっけ。
本当に話し方が躊躇無いな…少しだけ噂は聞いていたけれど…
「ここは就職生限定の自習室ですよ。二宮さん。」
手を止めて彼の方を向く。
彼はニコニコしながらこっちを見てくる。
変な人だな…社交的なんだろうけど、なんか奥に秘めてるみたいな感じがするんだよなぁ。
「ダメなんですか?ふーん。知らなかった…です。」
先程までおちゃらけていたかれとはまた一変してよくいる後輩みたいな雰囲気を出してくる。
…生意気な。
「それで、なにしに来たんですか?」
資料をまとめて閉じる作業をしながら彼に話しかける。
「うーん、何ででしょう?最近櫻井くんが有名…だからですかね?」
意味のわからないことを…なんなんだ本当に…
ため息を深くついて、帰り支度を始める。
どうやらここでは作業をするのに適していないと言うことだ。
「有名ですか。それは有難いですね。どんなことでしょうか。」
「…ふふ、櫻井くんが美那ちゃんと付き合ったことですよ!あれは驚いたなぁ…
ふふ、元副部長と元部長、ですか…なんだか禁断の恋、みたいですね?」
…
思わぬ発言に体の動きが止まってしまう。
「…はは、それはどこからの情報なんですか?」
一瞬言葉煮詰まる。
なぜそれを知っている?それに…その事が有名…?
これは、ただ事じゃないな…
しかも下の名前でちゃん付け…何様のつもりだこいつ…
「知りたいですか?知ったら、後悔するかもですよ?本当にいいんですか?」
なんなんだこいつは…!
言うなら早く言ってくれ…
本当にイラつく性格してるな…
彼はゆっくり近づいて、そっと耳元で囁く。
「その彼女さんの…美那ちゃんからですよ。ガード緩すぎてもう最後までいっちゃいましたよ?…本当に可愛い彼女さんですね?美那ちゃん…ふふ。」
その一言を聞いただけで怒りが最高潮に達した。
今まで押さえていたものが一気に出るみたいな。
相手の胸ぐらを掴んで睨み付けたあと、机に叩きつける。
あ…やってしまった。
自分でも反省はしていたが、それ以上に怒りが押さえきれなかった。
荒い息の中痛がる相手を無視して再び胸ぐらを掴んで立ち上がらせる。
「お前なぁ…!ふざけるのもいい加減にしろよ?あ?元がいいからって調子に乗んじゃねぇよ。」
「はッ…ぁ、乱暴ですねっ…っ、櫻井さんも、そんなんでよく美那ちゃんの隣取れましたね?僕の方がふさわしいですよ。」
嘲笑うその顔すらも鬱陶しい。
こんなゴミクズをいかす必要なんて無いんじゃないか?
本当に、終わってるやつだな。
「薄汚いお前の方がよっぽど似合ってねぇよ…このクズ野郎…」
その続きを言おうとした所で自習室の扉が勢いよく開かれる。
「何の音ですか?!って、翔…と、ぁっ…二宮、くん…」
シネマ
871
それは迎えを頼んだ美那だった。
美那は二宮を見た瞬間気まずそうに目を泳がせた。
は…?何だよ、本当なのかよ…?
あの美那が?
そんな、そんなはず無いだろ。
「あ、美那ちゃん。昨日ぶりだね?どう?体の具合は。」
美那が扉を開けた瞬間、俺の手から何事もなかったかのように離れる。
「大丈夫です。昨日は…その、ありがとうございました…」
何いい感じになっちゃってんの?
お前みたいなやつが…美那と…?
「美那?ねえ、聞きたいことあるんだけどいい?」
美那に詰め寄る。
美那は焦った顔つきでありながらも平常心を保っているかのように話す。
「…その、二宮、くん…とは、ちょっとした借りがあったって言うか…」
聞いてもいないのに答える素振り、そして明らかに目が泳いでしまっている。
本当に…そうなのか?…はは、失望だな。
「どんな?ねえ、この俺が居ながらもそんな、こいつとそんなわけ無いよな?」
「そんなわけないじゃん!私は、翔一途なんだよ?」
美那はわざとらしく目に涙を見せる。
んだよ…はぁ…
「じゃあ何があったんだよ!」
そう怒鳴った瞬間、後ろに引っ張られる感覚がする。
床に倒れるのかと思いきや、そこにあったのは椅子だった。
なんだよ…これ。
「大人しく美那ちゃんの話聞きなよ…子供じゃないんですから。」
俺を見る二宮の目は明らかに俺を貶している目だった。
「っち…はぁ、で?何があったんだよ。」
そいつの目を睨み返してから美那に目線を戻す
正直言ったことを信じるかは二の次だ。
「…昨日…に、二宮くんと…」
目の端で二宮の顔を見る。
その顔はなにか巧んでいる顔だった。
「あ…の、翔、運動苦手でしょ?…だから…」
…は?
ふざけんなよ、だからって、こいつとなんて…
「運動、得意な二宮くんと教え方練習…してたの。」
…は…なん、何?じゃあ最後までって、
再び二宮に目を向ける
「ははははっ…はぁ~…櫻井くんって本当に…悪いことしか考えない。」
腹を抱え、俺を小馬鹿にするように笑う。
勘違い…はは…そんな…
こりゃ面倒だぞ…
「…じゃ…ガードが緩くて最後までって話は?」
そう言うと一瞬目を丸くして再び笑い出す。
「それは、話のことですよー!察しも悪いんですね、新情報ゲッチュー」
ガッツポーズをしてにやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべる。
くそ…こいつ…
「噂に振り回され過ぎですよー!もー、久しぶりに大笑いしました!」
自分も口角を上げようとするが、どうも顔がひきつってしまう。
なん、なんだよ…この…はぁぁ…
いっらつくなぁ…
「そう言えばこの人…「帰るぞ美那」
二宮が話している最中に美那の手首を掴んで早足で部屋を出る。
んだよあいつ…
イライラしていると突然、美那が手を振り払ってくる。
思わず振り替えると手首を抱えた美那がこちらを睨んできていた。
「翔ってさ、こんなに乱暴だったんだ。もっと落ち着いている人かと思ってた、」
どうしたんだ…美那?
なんだか様子がおかしい美那をただ見つめることしかできなかった。
「私、見ちゃったんだよね。翔が…二宮くんの胸ぐら掴んでいるのも、
二宮くんに乱暴したのも。それに、私今手首掴まれてすごく痛かった。ねえ、翔、」
あぁ…そうか、見たのか…
今日は本当にツいてないな。
必死に訴えていることでさえ、もうどうでもいい。
美那の声が右から左に抜けていく。
「ねえ聞いてる?翔!何かいったらどうなの?ねぇ…翔…」
どんどん美那が涙目になっていく。
女の子泣かしちゃった、男として最低だな…
「ごめん、別に美那泣かそうとした訳じゃなかったんだ。美那が浮気したかと思って。」
そう言うと美那の目から涙が落ち始める。
「何で私のこと、信じてくれ、なかったの?…やっぱ、翔、私のこと…好きじゃ、なかっ、たんだ、」
別にそういうわけではなくて…
あ…あぁもう、言い訳のしようがないな。
「元はと言えば、あい…二宮さんが、変な言い方をしたからで…あぁ、ごめん、悪気は無かったんだ…」
なにいっても耳を傾けてくれない。
そりゃそうだよな。自分でも自分に失望したしな…
折角、付き合えたのに…
失恋ってこんなに辛いんだ…
あぁ…胸の奥がずきずきするなぁ…
暫く目も会わせずに黙っていると、美那は足早に去っていった。
ごめん、ごめん…美那…
悔し涙がじわじわと湧いてくる。
「櫻井くーん、残念ですね?交際期間はたったの2ヶ月!でも、楽しかっ」
陽気な声が頭にうるさいほどに響く。
はぁ…落ち着け落ち着け…
と心を落ち着かせているのも束の間、衝動的に相手を壁に打ち付けていた。
「た…ですか…?櫻井くん…?え、いや、なんです?」
予想外のことなのかそいつは目を丸くして間抜けた顔をしていた。
こいつ…なんだ?なんで慌ててるんだよ…
その顔だったら…あぁ、こいつ横取り癖あるんだったわ
「お前のせいで…はぁ、どうしてくれるんだよ?」
一気に顔を近づけると、一瞬焦りを見せる。
「ぇえっ…?いや…ふふ、顔、近いですね?」
調子に乗るように首に腕を絡めて来たかと思えば、ぐいっと頭を押され勢い余ってキスをしてしまう。
「は?…ちょ…なん…?は…?」
衝撃的な展開に脳が理解を拒んでいた。
こいつと?俺が?キス?
なん、なに…?それ、訳がわからない…んだけれど…
しかも…美那ともしてねぇのに…!
「ふふっ、櫻井くんって超可愛いですね?さっきのケガの代償です。」
気持ちの悪い笑みを浮かべながら頭を撫でてくる。
背伸びしてる癖にこいつ…勝ち誇ったかのように…
暫く黙って見つめあっていると、どこからか足音が聞こえ始める。
「それじゃ、櫻井くん。また会おうねー」
喋りの躊躇の無さに呆れていると、再びキスをしてくる。
唖然としている俺をよそに二宮は慣れた素振りで俺の目の前から居なくなると、楽しそうに手を振って帰っていった。
あいつ…カップルかよ態度が
そうやって悔しんでいると、横から声がかかる。
「翔ちゃんー!」
その相手は相葉くん、今か…今、来る…?
まずい…見られたか?
「どうした?相葉くん。」
なにもなかったかのように振る舞う。
バレてないよなぁ…
心臓の鼓動が倍以上に聞こえる。
「あったま良いー翔ちゃんに勉強教えてもらおうと思って!」
…バレてなさそうだな、
いつもみたいな馬鹿らしい笑顔を見せる相葉くんを見て安心した。
「仕方ないなー…どこ?教えてあげるよ。」
え、また…
何度教えてもここすぐ忘れる…
はぁ、もう相葉くん…!仕方ないなー
さっきのことなんて忘れた、と思っていた…
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なんか、若干感覚残ってる…
…なんなんだ…
ん…はぁ、初めてのキス、だったな…
あいつ…そんな悪いやつじゃないのか…?
いやでも…う…
忘れろ忘れろ…!
あんなやつ…この世に居て良いやつじゃない…
簡単に人に相談できる話題でもないし…
どうしたら…くっそぉ…
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