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Episode…3 : side / A :
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一目惚れ、ってやつだった。
七歳の頃、初めて会ったんだ。
人見知りだった、僕ら二人とも。
家族ぐるみでの付き合いで、何度か遊んだ。
けれど、それから年月が経って、十歳の頃。
信じれなかった。転校だなんて、
どうして、彼が、この町を去らないといけないのか。
薄々感づいてはいた。
その頃ぐらいは両親どちらともいる機械が少なかった。
時折喧嘩する姿も、彼が怖くてうちまで走ってきたこともあった。
それでも彼は純粋無垢だった。
だった…
それから別れた数年後、高校の入学式に立ち寄ったとき、見覚えのある後ろ姿が見えた。
きっと彼だ。いやそうに違いない!
私情を押し殺して他人の振りをする。
俺に昔の影はほとんどないからたまにボロだしてもばれない。
直接会ったことはまだ片手で数えれるくらい。
あー…会いたいなー…
でも…でもな…悪い噂…最近よく聞くし…んなぁ…
でも…でも…!あと三ヶ月したら文化祭、文化祭ー
ふふー、楽しみだなー。
あ、…
…
あの後ろ姿…うん、まぁ…そう、だよね。
翔ちゃんと一緒にいたな…
頭なんか撫でちゃって、
もう俺のこと…忘れてる?
そんなわけないか…
もういっそのこと吹っ切っちゃう?
家では迷惑かけたくないし…
学校でならアピールできるかもだし?
もうそんな輩近づいてこないんじゃないかな…
どうしたら良いのかな…
「おーい、相葉?相葉?」
ああでも下手に動くとダメだし…うーん…
ヤバい…俺だけじゃわかんない…うう…翔ちゃん…
「…相葉?なあ、どうした?」
部活仲間に肩を叩かれて気が付いた。
やべ、なんも聞いてなかった…
「あ、ごめん!ちょっと…考え事!」
こんなこと考えてたのばれたら恥ずかしくて恥ずか死しちゃう…
「ふーん、相葉が考え事なんて珍しいな。もしかして好きな人できたのかー?この野郎!」
うん…なんでわかるの?エスパーじゃん。
う、…うわあ…恥ずか死する…
「え、相葉好きな人いたん!?」
「ま、まあね…高校生だし。当たり前でしょ!」
いやはや、自分から言うと恥ずかしさ増倍だな…
「相葉が好きになるやつなんて絶対美人!」
「わかる!それな!」
「え、相葉、それって年上?年下?」
うわめっちゃ詮索される…恥ずっ
「ま、あ…年下?」
「うおー!怜奈ちゃんかな?それとも心ちゃんかな?」
「いいや、逆にクール系で悠さんとか!」
「それなら幸さん!?」
ま、そりゃ当てられるわけないか。
「…でもさ、かわいい子とかと付き合うと何かしら二宮が引っ付いてくるんだよな…」
うん?…二宮…ここでも。
なんか、恋人の話になると必ず聞くなぁ…
そんなに遊び人になっちゃったの?
「うわわかる。この間だって、翔美那カップルが二宮のせいで別れたって聞いたし。」
やっぱり…別れたんだ。翔ちゃん最近可笑しかったもんな…
「折角お似合いだったのに、残念だな。」
「うーん、二宮?って子は他になにしたの?」
勇気振り絞って聞いてみる。
「え、聞く?めっちゃヤバいぞ。」
「うんうん、まずさっきのでしょ?あと、晴樹から澪寝取ったし、古仲から紗愛も」
「花実ちゃんともやったらしいぜ」
「ウワサじゃ、あの新任担任の川瀬とも…」
「奏太と穂南も!考えてみるだけでもめっちゃNTRしてんな…」
「ほらあの、芋っぽい和喜田ともしたらしいぜ。」
「女って、なんでああも騙されやすいんだ?」
「あんなやツがどうして俺らからかわいい子ちゃんたちを奪っていくんだ…」
「許せない…懲らしめてやりてぇ…」
聞けば聞くほど出てくるな…
こいつらの情報把握もすごいけど、相手も十分ヤバいな…
絶対この学校で一番してるだろ…うええ…
体力どうなってるんだよ…
「はは…すごいね。」
「すごいって量じゃないぞ!週5はしてんじゃねえの?あいつ」
「あり得る!今度調べてみる?」
「うわそれ楽しそう!」
「お?やる?やる?」
「いいねー、いつにするよ?」
ー♪
携帯の通知音が鳴る。
『今日帰れない』
…今日もかよ…
『今日は帰ってこいよ』
『約束は断れない』
『今日ぐらい良いだろ』
『今日ぐらいもくそもない』
『なんで?』
『なんでって、理由はない』
『ごめん』
『また明日』
…はぁ、また明日って…
いつもそうじゃん、
週5なんてほどじゃないよ…もう…
「うん?おい、相葉また止まってんじゃん…」
「おーい、相葉ー」
「え?あ、うんどうした?」
見られる前にポケットに携帯をしまう。
「だーから…」
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その後の会話は耳に入ってこなかった。
用事だって言って途中で別れたけど、本当はなんにもないんだよね。
どうしようかなー…
適当にぶらぶらあるいてるとあらま偶然。
冗談だけど。
「大ちゃん…と、にの…?」
いや、本当は大ちゃんに会いに来た、会いに来たんだけど
なんで、君が…
え?大ちゃんの変化も?原因は、君?
なんで?
ああ、そういうこと?
…つら、片想いって
「…大ちゃん!」
内心グサグサになりながらも大ちゃんに声をかける
「ほら…どしたの相葉くん?」
俺を見ると大ちゃんは気まずそうに離れる。
くっついていても良いんだよ?別に、さ?
「いや、たまたま通りかかったらいたから。挨拶がてら?」
本当は挨拶じゃない、邪魔しに来た。
頭より先に体が動いていた、ってやつ?
あれ賢くない?俺
「そ、そう?ありがとう。」
「珍しいね外出なんて。それにお友達?雰囲気似てるね二人とも。」
出来る限り長く居れるように、二人きりでいる時間が減るように
「え、いや、…そう、だね?どうしたの相葉くん、」
「別に、いつも通りだよ。二宮くんだよね?翔ちゃんがお世話になりました。」
こんなの慣れっこなクセに、焦るような顔でさ。
こっち見ないでよ。
「…翔くんが?え、まって、どういう…」
「ふふ、どうだろ、なにも知らないよ俺は。」
知らん振りね…まあそう来ると思ってた。
「話があるんだけど良い?」
「あ…僕?」
大ちゃんがはたまた気まずそうにする。
「違うよ、二宮くん。」
「え、なんで?折角の…「いいから、ね?」
「え…どういう…」
追い付けなくて大ちゃんは戸惑っている。
そりゃそうだよね。俺らのことしらないもん
「二宮くん、いいでしょ?」
「…行こう、大野さん。」
「あ、うん…」
逃げるようにして俺の横を過ぎ去っていく。
…やだな…待ってよ。にの、
「待ってよ。」
「へ?…」
「…はぁ…」
あ、あは、声に出てたか…
そんな面倒そうな顔しないでよ…悲しいじゃん。
……
「まだ何か。」
「相葉くん…もうやめなよ。」
二人がかりでって…そんなに嫌?
俺は嫌じゃないけど…っ…
「来たいなら来ればどう?」
「えっ?」
「別に変なことないじゃん。」
「まあ…そうだけど…」
そんな…そんなことじゃ…
違う、違うんだけど…
ん…痛い…
「…それじゃ、」
待って…いや、やめとこう…
邪魔、しちゃダメだしさ?
わかるよ俺でも…
うん、ごめんね、二人とも…
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結局なにもできなかった。
これじゃ俺が悪役じゃん。
…ま、そっか。立ち位置的にはそうだもんね。
悪役なら悪役らしい立ち回りしないと、
君の視界の中には入れない。
なら、俺は悪役になる。
…代償はなんだって良い、君が、俺のことを気にしてくれるなら。
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