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私は、森の中に逃げ込みました。
この森にはかつて木こりが使っていた、朽ちかけた小屋があるのを知っておりましたので、そこを仮住まいとして使わせてもらうことにしました。
確かに、オリバーと暮らしていた家より、ずっと古くて、カビ臭い場所でした。
ですが、今この時だけは、雨風だけ凌げるだけでも十分幸せだと、私は実感しております。
近くにはオリバーとの思い出の泉と、愛する娘を残してきた街があります。
ここであれば、いつでも2人のことを想って生きていくことができると思いました。
もしかすると、私を国に差し出したい人たちは、この場所すらあっという間に見つけてしまうかもしれません。
本当なら、もっと遠くの方に行かなくてはいけなかったのかもしれません。
シャルロットという名の、夫を亡くした女性など知らない世界に。
だけど私には、オリバーとシャリーの思い出に縋るしか、この苦しい毎日を生きさせられる苦しみに耐えることができなかったのです。
せめて愛する人の面影の側にいさせてください。
それだけで、もう良いのです。
そしてゆっくりと死なせてください。
あの人の元に、逝きたいのです。
しかし、真実はもっと残酷でした。
この体は、何も食べなくても、眠らなくても生きていける……まさに化け物のようになっていたということに、気付かされる出来事が起きました。
それから数日後の事です。