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渋谷アカリエは、商業、文化施設、オフィス等が入居する高層ビルで、渋谷駅とはスカイウォークで結ばれている。地上61階、地下5階の建造物は弓形型のデザインで、クリスマスや、年末年始のイベント時には建物全体がライトアップされ、近頃では『シブヤのミカツキ』のタイトルで、アカリエ11階展望カフェからのスクランブル交差点風景を撮影した動画は、海外で人気となっていた。

商業フロアの店舗シャッターは全てが下りていた、

中には、閉店の張り紙がされてある店もあった。

その通路を進みながら、ケイは安座間の後を追った。

不思議な感覚だった。

以前はスーツを着こなして通っていた職場への道を、今は自動小銃を抱えた男と進んでいるのだから。

無人の施設はケイを安心させた。

人を殺しかねない状況に追いやられている。

それは自分でも理解していた。

解雇させられた過去が、頭の中を駆け巡っている。

言葉や断片的な映像が、意識にちらつき始めていたからだ。

エレベーターで21階へ向かう。

窓明りをそのまま利用した間接照明と、ブラックトーンで落ち着いたシックなロビーがケイの心をえぐる。

安座間が、厚い扉の前で言った。


「ケイさん。ここでしょ?」


ケイはコクリと頷いた。


「どうやって開けんだろ?」

「社員証がなきゃ無理よ、そこにかざさなきゃ開かないわ」

「ふぅ~ん」


安座間は少し下がって銃を構えた。

タッチパネルと、扉目掛けて銃弾が飛んだ。

ケイが悲鳴をあげてしゃがみ込むと、直ぐに警報機がけたたましくフロアに鳴り響いた。

火薬の匂いと白煙、扉には穴が開いて中の壁が見えていた。

安座間が笑って言った。


「見かけが凄い頑丈そうだったからビックリしたあ~、でも案外ペラペラじゃん」


その顔は、子供の様にあどけなかった。




東京が世界地図から消えたあの日の落日

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