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「この街に来て、一番びっくりしたのはこれだよ」
旅人の声が風に乗る。青年は、海とこの街を仕切る大城壁の陸側に体をあずけている。レンガの凸凹を背中に感じている。これがアラブやペルシャから、キリスト教ギリシャ帝国を一千年間守ったんだ、と青年は心の中で言った。
太陽が雲に隠れた。石畳の上の影が薄くなった。草むらに折れたエンタシスの柱が立っている。少し離れた草間に、柱頭が見えた。おそらくあのエンタシスの上にこの柱頭が載り、その上にはキリスト教聖人の彫刻が載っていたはずだ。
「この街に来て、一番びっくりしたのはこれだよ」
旅人の声が風に乗る。青年は、海とこの街を仕切る大城壁の陸側に体をあずけている。レンガの凸凹を背中に感じている。これがアラブやペルシャから、キリスト教ギリシャ帝国を一千年間守ったんだ、と青年は心の中で言った。
太陽が雲に隠れた。石畳の上の影が薄くなった。草むらに折れたエンタシスの柱が立っている。少し離れた草間に、柱頭が見えた。おそらくあのエンタシスの上にこの柱頭が載り、その上にはキリスト教聖人の彫刻が載っていたはずだ。