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🇯🇵「…ぅ…、?」
目が覚めてまず思ったのは暗い、という事だった。覚醒しきっていない頭で考える。
何があっただろう。
首を動かしたところで激痛が走った。
🇯🇵「う゛っ…ぁあ…」
ああそうだ、あの時、何かから逃げていた時。路地裏に逃げ込んだはいいがパニックになってアメリカさんに連絡している間に追い詰め、られて。
あの後私はどうなったんだ。
あの時追いかけてきていた人物は誰だったのだろう。疑問は山積みだが、まずは今置かれた状況を整理するのが最優先だった。
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まずはじめに暗いと思ったのはどうやら目隠しで視界が覆われているからのようだ。さらに異常なのは私が今居るのはベッドの上で、それも左腕は鎖で繋がれているということだ。
それもいやに大きく上質なベッドであることが手触りによってわかる。
着ていたはずのスーツの上着も取り払われ、シャツとズボンだけの状態。
目隠しをされた状態で分かる状況はこのくらいだろう。
🇯🇵「……??」
ますます状況が掴めない。
ひょっとして監禁とか。
いやいやまさか。こんな奴監禁して何になるというのだろう。いや過去の恨みだったりなら納得がいくか。
🇯🇵「……あの…誰かいますか…?」
声が反響した。
そこそこ大きな部屋だということはわかったがそれ以上得るものはない。もう訳が分からなくなっていた所でドアの開くような音がした。
🇯🇵「っ、」
誰かが部屋に入ってくる気配がする。
🇯🇵「……、あの…?」
その人物は話そうとしない。
ただベッドへと近づいてくる足音が聞こえる。
プス
🇯🇵「え、ぁ?」
先程激しく痛んだ首筋に、何かが突き刺された。その注射針が刺されるときのような痛みに恐怖を感じる。
先程まで鈍っていた思考が急に焦燥を全身に通達しはじめる。
🇯🇵「や、やだ!やめ、…」
「大人しくしなさい。薬液が変なところに入っても知りませんよ」
🇯🇵「───ぇ…?」
その声を聞いたことがあった。
その低く落ち着いた声を。
🇯🇵「いぎりす、さ…?」
気づけば抜け落ちるようにその名前を口にしていた。
🇬🇧「あは♡バレてしまいましたか。そうですよ日本さん」
彼はそう言って肯定した。それは私をストーカーしていたのも、気絶させたのも自分だと認めたことになる。
🇯🇵「イギリスさん、これ、…は嘘、でしょう?」
早くこんな茶番劇を終わらせて、いつもの、なにも代わり映えのしない世界に戻るんだ。
🇬🇧「嘘でもなんでもありません。…そんなに私を信頼していたんですか?」
恋しさも苦しさも、心痛さまでもない混ぜになったような声に、彼の奥深くに横たわる何かを見た気がした。
だがそれも一瞬で、注射器から薬液が体内に入ってくる感覚がした。
🇯🇵「あ゛、いや…ッいた、」
🇬🇧「痛いですよね?私はもっと痛かったんですよ。貴方がずっと彼と居るのを見ているの」
彼?誰のことだ。
🇯🇵「な、んで…こんな…」
🇬🇧「あなたの事が好きだからです。でもあなたは私の事を見てくれない 」
イギリスさんの顔が近づいてくる。
その手が私の頬にそっと添えられた。
互いの唇が合わさる。
🇯🇵「ん゛ッ?!ぅ゛!」
次第に貪るような深いキスに変わっていく。
🇬🇧「ふ、んッ♡」
🇯🇵「ん゛ぅ、あ」
唾液が絡み合う。長い触れ合いのあと、ようやく口が離れた。
🇯🇵「はーッ、はーッ…」
イギリスさんがくすりと笑う気配がして、目隠しが外される。いっきに明るくなった視界に目が眩んだ。
🇬🇧「これから自分がされること、 なんとなくわかってきたのでは?」
🇯🇵「ッ…ぁ」
それは私の知っている彼の表情とはかけ離れているものだった。
そうだった、この人は。過去に見た彼の鋭い視線を放つ瞳と、今の鈍い光を収めた瞳はよく似ていた。
🇬🇧「それはそうと、もうそろそろ苦しくなってくる頃でしょう?」
🇯🇵「え…?」
🇬🇧「先程注射器で打ち込んだ即効性の媚薬です」
笑った彼の表情からはまるで温度を感じられない。けれど見え隠れする欲望の片鱗がギラついて暑苦しい。
着実に身体が熱を持ち始めたことが嫌でもわかった。
🇬🇧「私がしっかり調教して差し上げます…♡」
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コメント
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めちゃくちゃ好きです!!性癖にめっちゃ刺さってます!表現の仕方めっちゃ上手で尊敬です✨