TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
ある夫妻のお話

一覧ページ

「ある夫妻のお話」のメインビジュアル

ある夫妻のお話

7 - 決して不幸ではなかった

♥

1

2024年09月27日

シェアするシェアする
報告する

オセロさんが病院へ連絡をとりに台所を出たその一瞬、違和感を感じた。

その違和感を理解したとき、手のひらに血の海が噴き出しているのを見た。

再発だ。母からの遺伝性が今再発したのだと。

目の前が霞み始めてますます冷や汗が止まらなくて。我が子が無事に産まれてくるのか分からなくなって。

「クローバー!!!」オセロさんの声で我に返った。「なぜだか、、病院の受け入れができないって、、、とりあえずベッド行こう!」何かが起き始めたのだと本能が叫ぶ。ベッドへゆさゆさと運ばれてゆく。白髪の髪が乱れていてオセロさん自体も緊急事態なのだと思っているのだろう。

「待ってて。島の人たちにも連絡を、、、」

______________________________

「なにか、鳴って、ますね」「、、、警察」「、、え」

「警察よ。何が起きて、、、」孤島に警察が来た。

これはきっとなにかの暗示。「ニュース、まだ何も来てないわ。」ビショップさんが自白した訳ではなさそう。絶対にないのだ。

《クローバーちゃん》甘たるい声、何かをいつも狙っていて声が泳いでいる、覚えがある。

「コー、、ラムさん」コーラムさん。今最悪な仮定を想定した。私がビショップさんに教えた別名。あれは、コーラムさんと2人で決めた2人だけの別名。それをビショップさんに教えた。もしコーラムさんがビショップさんにその言葉を言われていたら?もしかしたら、今ビショップさんは、、

「ゲホッゴホ!」「クローバー!」島の人にも連絡はつかないだろう。怪盗一味と関わっていたなどそんなこと人生の汚点であるから。つまり、

私に生きる道は残されていないのだ。そう考えていたとき、お腹の痛みがフッと消えた。それまで波のように痛かった痛みが急に消えたのだ。

「オセロ、さん。赤ちゃん、どうなってますか?

まだお腹から出てないですか?」オセロさんの声が聞こえない。「クローバー。産まれたよ。可愛い赤ちゃん。男の子。お母さんになったね」震えている。感動したのかな。

「目が、見えなくて、、耳も、聞こえなく、て、、元気ですか?」「うん。めちゃくちゃ元気」吐血を繰り返して血の気がどんどん引いていくのを感じる。きっと私は,,,,,,

「、、この場に、ビショップさんがいなくて良かったと思いながらも悲しいと感じ、ます。」「、、何言ってるのクローバー?」「こんなみっともない姿、、見せられる訳がない。、でも、、」

最期のときに最愛のあなたに会うことも出来ないというのは悲しいな。

でもそれが私の選んで進んだ道であったのだから間違いはない。

「、、、ビショップさんが帰って、来たら、、」

買ってきた卵でプリンを作って、、


それで




7時間

帰ってきた孤島には警察が溢れかえっていた。

隠しておいた地下通路をこれまでよりももっと早い全速力で駆け抜けて仮家の床下に出た。

血の跡を辿って寝室に行くと

血だらけで横たわる妻を抱えた戦友がこちらを睨む。そして優しく枕の上へ寝かせたと思えばこちらへきて胸ぐらを思いっきり掴む。

「何してたんだよ!!!あの子はずっと待ってた!ずっと!!!」「オセロ、あのとき連絡を貰っていても俺たちは」「それでも声を届けることくらいできただろ!」「でもな」「松五郎は黙ってて!」

拳銃で撃たれた足など気にせずに妻へ寄り添う。

近くには赤い塊が横たわっていた。きっと俺たちの、、、

「、、、ビショップ。アタシはあんたと縁を切ることにする。矢張りお師匠との事があったときに切るべきだったんだ。」「、、俺は、一戦から退く。完全には退かねえけど、怪盗専用の武器でも作ってこの社会を生き抜くよ。」妻を黙って抱いた俺を静かに見つめて2人はそう言った。ずっと3人で過ごしてきたこの日常は4人目の死を持って終わりを告げる。

「あぁ、じゃーな」



あれからどれくらい歩いただろうとにかく遠くへ来た。もう2人がいつあの家を抜け出したのかとかも分からない。警察もどうなったのか分からない。ただ


妻を雨の中抱えて歩いた。

しばらく歩いたあと何も無い野原を見つけた。普段の土は硬そうだが、雨のせいでぬかるんでいる。


一昨日まで普通に話していた人を埋める。

何度もハグした体に土をかける。

キスをした頬に土を被せる。


輝く金髪に汚い色の土をかけた。

そこらにあった大きめの石に力を込めて刻む。

最愛の人が亡くなった時でさえ涙が出ない。

君は俺を優しい人だと言ってくれたけれど

それはやはり間違いだったよ。





数十年後、ある学者がその墓の場所を見つけ出した。その学者はその事例をこう発表した。

『大怪盗の名が刻まれた墓石

    地中には女性の骨

             名はクローバー・○○○

        最愛の我がベターハーフ、最愛の我が子

             ここに眠る』



この作品はいかがでしたか?

1

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚